新妻産婦人科に馬鹿笑いした頃のこと
ちょっとしたことで笑った日。
その日は珍しく10も離れた姉と隣の隣の隣の県庁所在地がある市までドライブをしていた。ここまで年が離れていると話は合わない。わたしはガキで、姉は恋愛と仕事と友達なんかで頭の中がいっぱいだったかも知れない。あまり姉のことに興味がなかった気がする。
2人でおしゃべりして車の中で楽しかった。なぜか前方に出てきた「新妻産婦人科」に大笑いした。新妻ばっかりの産婦人科だっとか。今思ったらなんだそれって話だ。ゲラゲラ笑っていたらそのうち繁華街の立体駐車場に着いた。服屋を見たりして夜ご飯をイタリアンレストランで食べた。
そこまでそりが合わなかった私たちにあれもこれも一緒だったねという様な思い出は少ない。姉しか覚えていない幼少期を何度もネタにされて傷ついたり、こちらはただ面白がって失敗を親にちくると姉にはそれはそれは大損害だったりした。育ちが違いすぎる姉妹だった。相手のことをよく知らないのだ。
良いことも辛いことも家の中にはたくさんあった。その家に耐えかねて姉よりも早く出た私を彼女は寂しくて泣いたのだそうだ。私は傷が深すぎて、そんな姉に白けていた。というよりは感情麻痺だったのだろうと労りの気持ちで仰ぐ。
育ちが違い過ぎてお互いの存在にイライラしただろうと思う。なんでこんなことがわからないんだろう、と。
ずいぶんと性格が違っていても笑いの沸点は低く、手先が器用でセンスの必要な部分は人よりこなせること、どちらもある意味で愛情に飢えていて結婚には苦労したこと。
それぞれの人生観のなかでまた大きくはばたく。
私の心の動く城がどうでもいいことも覚えていてあの看板にクスッとくる。
どうでもいいことで笑える日々が道端で揺れてる花の様。