第3話 借金の裏に潜む真実
「山谷のディナー」で一流料理人の南山宗吾が急死した事件の捜査が進む中、氷川光一警部は現場での聞き込みを続けていた。氷川たちは、南山の死に関する手がかりを得るため、「山谷のディナー」の従業員に話を聞くことにした。
まずは、店員の平山航大に聞き込みを行う。
「平山さん、南山さんのことについて何か知っていることはありますか？特に最近の彼の行動や言動に関して、何か気になることがあれば教えてください」と氷川が尋ねると、平山は少し戸惑った様子で答えた。
「実は…山谷さんは南山さんから多額のお金を借りていたと聞きました。最近、うちの店の経営が厳しくなっていて、南山さんに助けを求めたようです。」
この情報に氷川は眉をひそめた。「多額の借金…それは山谷さんから聞いたのですか？」
「はい、山谷さんから直接聞きました。でも、詳しい金額や理由については話してくれませんでした。」平山はそう答えた。
氷川はこの情報を基に、再び山谷修吾に話を聞くことにした。山谷は最初の聞き込みでは南山との関係についてあまり詳しく話していなかったが、この新たな情報を前にして何か新しいことが分かるかもしれないと考えた。
山谷のオフィスで、氷川は冷静に質問を続けた。「山谷さん、先ほどお話しした時には、南山さんとの借金について触れられませんでしたね。実は、平山さんから彼があなたから多額のお金を借りていたことを聞きました。この借金について詳しく教えていただけませんか？」
山谷は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静さを取り戻し、話し始めた。「そうです…私は南山さんに多額の借金をしていました。投資で失敗してしまい私の店の経営が厳しくなり、南山に助けを求めたんです。」
「具体的な金額はどれくらいですか？」氷川が続けて尋ねた。
「300万円です。」山谷は少し苦い顔をして答えた。「私はは経営に行き詰まり、どうしてもそのお金が必要だったんです。彼は友人として助けたいと思い、お金を貸してくれましたが…それが彼の死につながるとは思いませんでした。」
氷川はさらに突っ込んだ。「そのお金を返す際に何かトラブルはありませんでしたか？」
山谷は首を振った。「いいえ、特に大きなトラブルはありませんでした。私は返済も少しずつしていました。ただ、最近は返済が滞ってしまいましたが、それについては話し合う予定でした。」
氷川は山谷の話を聞きながら、南山のカバンに入っていた新品のフライパンについても尋ねた。「ちなみに、南山さんのカバンに新品のフライパンが入っていましたが、それについて心当たりはありますか？」
山谷は首を傾げた。「フライパン？いいえ、全く心当たりがありません。彼がそのフライパンを持っていた理由は私にも分かりません。」
聞き込みを終えた氷川は、部下の中原と田宮にこの情報を共有した。
「南山が山谷から多額の借金をしていたことが分かった。これは重要な手がかりだ。しかし、フライパンの件についてはまだ謎が残っている。我々はこのフライパンが何を意味するのか、そして南山の死にどう関係しているのかを解明しなければならない。」氷川はそう言いながら、新たな手がかりを求めて捜査を続ける決意を固めた。
南山の死の真相に近づくため、氷川たちはさらなる捜査を展開し、次の一手を考え始めた。
