第2話 現場検証と聞き込み
高級レストラン「山谷のディナー」での悲劇的な出来事の後、現場には緊張感が漂っていた。警察と鑑識チームが現場を封鎖し、厳重な検証が始まった。
氷川光一警部は部下の中原淳一警部と田宮晶子刑事とともに現場に残り、早速調査を進める準備を整えた。そこへ、鑑識の芝岡雄三が到着し、現場の状況について報告を始めた。
「氷川さん、これが現場の状況です。被害者は南山宗吾、48歳。一流料理人で、店の特製ハンバーグを食べた直後に急に苦しみ出し、そのまま死亡しました。」
氷川は芝岡の言葉に耳を傾けながら、現場を注意深く見渡した。
「毒物の可能性が高いということですね。被害者のカバンの中には新品のフライパンがあったと聞いていますが、それについて何か分かりましたか？」
芝岡はフライパンを取り上げ、細かく観察しながら答えた。
「今のところ、誰もこのフライパンに心当たりがないようです。被害者自身が持ってきたものかもしれませんが、まだ調査中です。」
一方、中原と田宮は現場にいた従業員や目撃者への聞き込みを開始した。まずは、店主の山谷修吾に話を聞く。
「山谷さん、南山宗吾さんとは以前からの知り合いだったと聞いていますが、彼がこちらに来た経緯を教えていただけますか？」
山谷は緊張した表情で答えた。
「はい、南山さんとは昔からの知り合いです。しかし、今日は突然の訪問でした。彼は特製ハンバーグを注文され、食べ始めてすぐに体調が悪化しました。」
続いて、料理人の栗沢里子に話を聞いた。
「栗沢さん、南山さんはあなたの元師匠だったと伺いましたが、彼の訪問について何か知っていますか？」
栗沢は悲しそうな顔で首を振った。
「いいえ、突然のことで驚きました。彼は厳しい方でしたが、尊敬していました。今日は久しぶりに会えて嬉しかったのに、こんなことになるなんて…。」
次に、料理人の邦方竜紀と高岡祐斗に話を聞いた。
「邦方さん、高岡さん、南山さんとはどのような関係ですか？また、彼が持っていたフライパンについて何かご存知ですか？」
邦方は緊張した様子で答えた。
「南山さんは私たちの師匠です。今日は南山さんに今日の夜、食事をするために来ました。でも、フライパンについては何も知りません。」
高岡も同様に答えた。
「私はまだ未熟な弟子で、師匠からフライパンを受け取るほどの技術はありません。フライパンが何か特別な意味を持っているのかもしれませんが、私たちには分かりません。」
全ての聞き込みが終わった後、氷川は現場の検証を終え、捜査本部に戻る準備を始めた。
「このフライパンが何か重要な手がかりを握っているようだ。誰も心当たりがないというのはおかしい。引き続き、このフライパンについての情報を探る必要がある。」
氷川たちは次の手がかりを追い求めるために捜査を進める決意を固め、現場を後にした。彼らの捜査はまだ始まったばかりであり、多くの謎が残されていた。
