パピプペポマンとニンジーンズ
パンチはするどく
ピンチにつよい
プロペラくぐってやってくる
ペンダントがきらりと光るぜ
ポテトだいすき
パピプペポマン
今日の晩ごはんは、さっちゃんのすきなカレーライスです。
カレーライスには、じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、お肉が入ります。
さっちゃんは、カレーライスはすきなんだけど、中に入っているにんじんだけは、どうしても食べられないのです。
カレーライスからにんじんを取り出すと、別のお皿に並べていきます。
いつの間にか、にんじんの山ができました。
さっちゃんが、
「にんじん いっぱーい。いやなの〜」
と言ったとたん、にんじんの山がぶわっとふくらんで、オレンジ色の怪獣がでてきました。
目はつり上がり、口は耳まで裂けています。
からだは、ごつごつと岩みたい。
長いしっぽをぶるんとふるわすと、テーブルの上のカレーライスのお皿がひっくり返りました。
「おれさまは、ニンジーンズ。にんじんを食べないとは、ひどいやつだ! こらしめてやる〜」
ニンジーンズが、さっちゃんにつかみかかろうとしました。
そのとき、台所の換気扇が、ぷるぷる回りだしました。
「さっちゃん、今、助けてあげるからね!」
換気扇から、パピプペポマンがとんできました。
「なんだ、おまえ? やるのか!」
ニンジーンズが、しっぽを振り回します。
パピプペポマンは、右へ左へ飛び回りよけています。
「なかなかやるなー。おれさまのしっぽ攻撃をよけるとは、大したもんだぜ。でも、容赦しないぞ!」
ニンジーンズは、口からオレンジ色の火を吹き出しました。
あぁ、パピプペポマンが焼けてしまう……。
「くそ〜! ペンダントの力をみていろよ」
パピプペポマンのペンダントがきらりと光りました。
なんと、オレンジ色の炎は、しゅーっと消えていきます。
パピプペポマンの右手がニンジーンズの胸をどすんと叩きました。
「ぐわっ」
ニンジーンズは、へなへなと座り込んでしまいました。
パピプペポマンは、
「ちょっと待ってろよ」
と言うと、にんじんを持ってきて、すりおろすとホットケーキの粉に混ぜて焼き始めました。
ぷーんといい匂いがしてきました。
「さっちゃん、食べてごらん」
パピプペポマンに差し出されたにんじん入りのホットケーキ。
さっちゃんは、おそるおそるひと口食べてみました。
「おいしい!」
さっちゃんは、ぺろりとたいらげると、
「にんじんもおいしいね」
と、うれしそうに言いました。
それを聞いたニンジーンズは、
「よかった~。おれさまもうれしいぜ」
と言うと、どこかに行ってしまいました。
「じゃあ、またな!」
パピプペポマンは、にっこり笑うと、換気扇から帰っていきました。
ありがとう! パピプペポマン!