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グゼインバルト  作者: 金子ふみよ
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ニキクの訓練

 この件に関わるようになって、ニキクは騎士団長自ら戦闘訓練を手取り足取り指導され、グゼインバルト本体が見つかってからは、さらには騎士団の作戦に協力する時もあり、戦術や戦略、兵法まで学ばなければならなくなった。騎士団の教授の熟練さの甲斐あってか、ニキクの呑み込みの早さか、グゼインバルトの操作技術はうなぎ上りで上達し、焔の闇の前触れと思われる現象――獣の暴動、自然災害など――を鎮圧、市民の安全確保と八面六臂の活躍だった。ただ、グゼインバルトに搭乗すればするほどニキクの身体に顕著な変調が起こり始めた。それは乗り始めて三か月が過ぎた頃だった。陽気にして前向きなニキクの性格ゆえに、周りがそれをくみ取れなかった、と言えば結果論で、確かに『フモン』にもグゼインバルトに関わる者の身体的・心理的変調、および身体の一部に図象が現れるとの記述を発見したのは焔の闇と決する、ほんの数日前だった。ニキクの右の手の甲に現れた図象も時がたつにつれて、肘にかけて幾何学的モザイクな図象へと広がり、それも無痛というわけではなかった。チクチクとした熱を帯びて痛み、その処方については、ソシエルは緩和の方法は見当がついたのだが、グゼインバルトとの親和性を保証できないと見込まれるため、療術までできなかった。さらに付け加えるなら、ニキクの右腕に広がったその記号を解読できれば、あるいはと言い出したのはチンモクだったが、結局、その日その時まで、ソシエルは意味を見出すどころか、解釈さえできなかった。チンモクはその様子を黙って見続けるだけだった。

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