レベルが違うからってパーティーから抜けさせられました。
前回のお話に評価とブックマークしてくれた方ありがとうございます!嬉しいです!
「あんたは俺たちとはレベルが違う。パーティーから出てってくれ。」
いつもの宿屋で、勇者のリードくんの部屋に呼ばれるとパーティーメンバー全員がいた。
「えっ…なんで…?」
いきなりのことに頭が真っ白になる。
何とか口にできたのは、なんで?という心からの問いのみ。
僕は話すのが得意じゃない、そんな得意じゃない僕でもこのチームではなんとかやっていけてると思っていた。
「前々から思ってたんだ。あんたがいると実力が発揮できない。」
「そうです。あなたにはもっと実力が合うグループに行ってください。」
「私たちとはレベルがちがう。」
リードくんのあとに他のパーティーメンバーも続いて自分に出ていけという。
「えっ…で、でも…こ、これは神託で、…王命で…」
突然離脱通告に、なんとか絞り出した離れられない、抜けられない訳を伝える。
「チッ」
リードくんの舌打ちに体が震える。
俯きがちな顔を少しだけ勇者に向けて様子を伺う。
「確かに、このチームでなければ魔王を倒せないという神託がくだりました。…王命には歯向かえません。そうですね、同レベルになるまで…魔王城前の最後の街と言われているエンドータウンまで別行動はどうですか?」
「あぁ…。それしかないな。」
僧侶のプティちゃんの言葉に、勇者が仕方ないと溜息混じりに承諾した。
「とりあえず同レベルになるまで別行動するってことでね。」
「具体的にはどうしましょう?同レベルになるなんて基準難しくないですか?」
「…魔王城までの最後の街、エンドータウンの酒場。そこで合流してもいい。」
ワタワタしてる間にパーティーメンバー達で話が決まったようだ。
何とか首一枚繋がったことに安堵し、必死に首を縦にふる。
その後もショックとまた一緒にパーティーになれる期待とで混乱しているうちにメンバーは出発した。
「私たちはもう出ます。あなたの分はお支払い済みですので本日はここの宿屋に泊まってください。ではまた。」
最後にプティちゃんが振り返ってそれだけ言ってくれた。
「僕の分だけ宿屋払ってくれたんだ…。」
静かな部屋で自分だけの声が聞こえるのが、とても寂しく聞こえる。
思い返せばみんなに迷惑かけてばかりだった。
勇者のリードくんと、僧侶のプティちゃん、剣士のパティちゃんは同じ村出身の幼馴染だ。
プティちゃんとパティちゃんは双子。
初対面の人はどっちがどっちかわからない人が多いくらい見た目がそっくりだ。
それでも、雰囲気が全然違うので間違えたことはない。
プティちゃんは少し大人しい感じで、常に敬語。趣味は読書だ。僧侶のプティちゃんは回復が得意だけど、攻撃スキルも持っているからある程度は戦えるすごい女の子。
基本的には髪の毛は下ろしている。
パティちゃんは反対に元気で行動的。
すっごい強くて自分の身長くらいある剣を簡単に振り回せる怪力でもある。
髪の毛はツインテールやポニーテールにしてることが多い。
好きなことは食べること。気付いたら何か食べてる。
2人のことは髪型で見分けている人も多いらしい。
人とうまく話せなくて買い食いも本を買うのも苦手な僕に2人は親切にしてくれた。
プティちゃんは、もう読んで飽きたので。と本を譲ってくれる。
パティちゃんも、他の食べたいから!って残った物をくれる。
自分より年下の女の子に恵んでもらうのが申し訳ない。
極め付けはリードくん。リードくんもすごい優しくて、そしてすごく強い。
歴代最高の勇者って言われてるくらい強くて。
剣の腕もすごいし、魔法攻撃や回復さえもできる。
それにすごく礼儀正しいから、行く街、行く国で大人気だ。
僕が1番年上だからって報酬は少し多くくれるし、僕の装備からいつも買ってくれるし、野営での夜の見張りもリードくんが代わってくれる。
僕が頼りないから自分でやった方がいいってことなのかもしれないけど…。女の子たちでさえやるのに。
僕が1番弱いからって最新の装備をいつもつけさせてくれて、本当足引っ張ってばかりだった。
「考えてみたら、足引っ張ってばかりだから、いい加減嫌になったのかな…」
報酬だって、ほぼ何もしてないのに1番良くて、申し訳ないことばかりだ。
優しいあの子たちに甘えてたことを自覚して気持ちが落ちる。
またあの子たちに会って、パーティーメンバーに加えてもらうために、少しでも成長して、頑張ってみんなに追いつこう。
よしっ!!そうと決まれば今日は早く寝て、明日は早朝から特訓だ!!!!
「なぁ、お前らさぁ…エンドータウンまでにアレン様に追いつけると思うか?」
新しい町に行くための道中。野営準備が終わった俺たちは、各々火の回りに集まり飲み物を片手に俯いたまま話し始める。
「無理…って言いたいけど、それでも追いつかなきゃ私たちアレン様のお荷物よ、アレン様に傷ひとつでもつけたら自分が許せない。つけたやつもぶち殺す。」
「アレン様は神様です。神と同じ土台になど無理な話です。アレン様に傷付けるものなど居ないと思いますが、いたら天の裁きを受けさせます。」
プティとパティのカップにヒビが入ってるのは気のせい…ではないんだろうな。
こいつらもアレン様信者だからな。
「はぁ〜アレン様と同じパーティーとか幸せすぎてしんどかった。よくお前ら普通に喋れてたな。」
「普通に?!普通になんて無理に決まってるじゃん!!!だって憧れのアレン様だよ!!?アレン様が肉焼きみて食べたそうな顔してたりするから、可愛くない渡し方したりしたけど!!!アレン様にお供えの気持ちで渡したかったのに、なんであんなクソみたいな渡し方したの私〜!!!」
「私もです…アレン様が読みたがってた本が手に入ったから渡したかったのに、いつもあのような態度で…神に向かって何たる態度。いつも自己嫌悪ですが、アレン様の前ではどうしてもダメなのです…」
見た目はそっくりなのにパティは叫ぶし、プティは項垂れるしでこいつら双子なのにそこは全く違うんだよな。
「いや、そうだよな…俺らツンデーレ村の住人は最上級に好意持ってる人にはそういう態度しか取れねーよな…。」
自分達の生まれ育った村を思い出すと、父さんも母さんも、こいつらの家の両親も。
お互いに対しては可愛くない言い方して自己嫌悪してたよな〜。
父さんなんて、「お前のためじゃないが、イノヴィンを狩ってきた。決してお前が好物だからじゃないからな!!」って言ってその後に「どうしてお前の喜ぶ顔が見たいからって俺は言えないんだ…」って落ち込んでたし。
母さんも母さんで「早いじゃない!何でよ!怪我でもしたの??早く早く病院行きなさいよ!!別に心配だからじゃないわよ!でも一人で行くの大変ならリードも連れて行きなさいよ!!」って。本当はめちゃくちゃ心配して涙目なのに。素直になれない母さんはそのあといつも「どうしてあんな言い方しちゃうの…」って反省しながら泣いてる。
でも俺らの村はこれが普通だから村の住人ならいいんだよ。
自分のことこの世で1番好きなんだと自覚できるから。
そう、俺らの村は現時点で一番好きな相手に嫌な態度をとってしまうとんでもねーやつらなんだ。
「だいたいさぁ、アレン様凄すぎない??私アレン様の前だと緊張していつもより隙のある戦い方になってそうなんだけど。」
「私も詠唱の声が震えそうになります…」
「俺もあの時あなたに助けてもらったガキがこんなに成長しました。っつーのを見せたい余りに過剰攻撃になるしな…」
「あの時のアレン様素敵でしたね。」
「リード目の前でアレ見ちゃったらもうダメだよね〜。ちょっと離れたところにいた私たちでさえ、やばかったんだから。」
俺らが3人で話すときはいつもアレン様と初めて会ったあの日の話になる。
「アレン様は覚えてなんてねぇだろうけどな。あの人息吸うように人助けするからよ。あ〜当時イキッたガキの俺がモンスターの巣に入っちまってもう死ぬか?って時に現れたアレン様は今でも夢に出てくるぜ。」
「私たちは歩くの遅くてさ、リード走るからリードだけ巣に入っちゃって、私たちすごく慌てて本当怖かったけど、アレン様の華麗な攻撃のおかげでトラウマにならなかったのが幸いよね。」
「えぇ。あれのおかげで私たちはいつかアレン様を支えられるようにと各々努力しましたね。」
「アレン様と同じパーティーもしんどかったけど、離れるのもこんなにしんどいなんて…やっぱパーティー入ってもらっとけば良かったかなぁ。」
「馬鹿野郎。アレン様と俺たちじゃレベルが違いすぎるだろ。アレン様の迷惑になるだけだ。俺たちはアレン様の活躍を遠くから聞く程度がちょうどいいんだよ。そのご活躍を励みに俺たちも高みへいくぞ。」
俺たち3人はアレン様に初めて会ったときからずっとずっと、アレン様のお役に立てるように、願わくば同じパーティーになれるように頑張ってきた。
でもこんなレベル差じゃ恥ずかしくて同じパーティーメンバーを名乗れねぇ。
「明日はダンジョン10往復やんぞ。お前らは寝ろ。」
「はいはい。わかりましたよーだ!アレン様の為には不眠不休でも頑張りますよーだ!」
「リード、ありがとう。おやすみなさい。」
いつかアレン様に、リードはすごいな。って褒めてもらえるように明日からは今以上に死ぬ気でやってやる。
首から下げてるあの日アレン様からもらったペンダントに、アレン様に誓う気持ちを込めて祈る。
いつか必ずあの人を超えてみせる。
2回目の投稿です。お手柔らかに…。




