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黒猫クロマルの異世界さんぽ  作者: さちかわ
クロマルと魔法使いソフィア
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49/72

49にゃ

確かにそうであるな。

レベッカが村で使ったときは豆粒のような火しか出なかったはずである。


「クロマルちゃん、その首輪をいったん外すわね」

そう言って学院長は吾輩の首輪を外す。

それを外したら、魔法が使えないのでは……?


「じゃあもう一回、さっきの魔法を使ってみてちょうだい」

学院長はそう吾輩に促す。


まあ、とりあえず物は試しである。

吾輩は先ほどと同じように構え、深呼吸をし、そして魔法を放った!


「にゃ!『ファイアーブレス!』」


すると先ほどと同じように火の玉が勢いよく飛び出す。

そして、そのまま部屋の白い壁に衝突した。


つ、使えてしまったのである。どういうことであろうか?

吾輩は首をかしげる。


「学院長、これってもしかして……?」

「ええ、無詠唱魔法ですね」


無詠唱魔法とはいったい何であろうか?

リンと一緒に読んだ本には書いていなかったのである。


「無詠唱魔法って、魔法使いの中でもほんの一部の人しか使えないのでは?」

「そのとおりよ。普通に魔法を唱えるよりもはるかに難しい技術ですもの。発した言葉に魔力を込めるのではなく、頭の中に言葉を思い浮かべて、魔力を込めるの。こんな風にね」


そう言って、学院長は壁の方を向き、そして目を閉じて集中する。

そして、目を開けると同時に勢いよく壁に腕を向ける。


すると、学院長の腕の先から吾輩が出したものよりも大きな火の玉が飛び出した!


「すごいです!学院長の無詠唱魔法、初めて見ました!」

「難しさのわりに使う場面が限られるますからね。詠唱した方が確実です」

「どういった場面で使うことが多いのですか?」

「こういう風に使えるのよ」


そう言って、学院長は再び前を向く。

そして、壁に向かって魔法を唱えた。


「目の前の敵を燃やし尽くせ 炎竜!」


すると学院長の手の先から巨大な氷の竜が飛び出した!

……氷の竜?今の魔法は炎の魔法ではなかったのであろうか?


「学院長、今の魔法って!」

「ええ、言葉の方には魔力を込めずに、頭の中の方に魔力を込めたのよ」

「だから、言葉とは違う魔法が出たんですね、すごいです!」

「こんな形で使うことができるけど、失敗する可能性が高いから基本使わないわ」


とてもすごい技術であるが、言葉を話せない吾輩には無意味であるな。


「とても難しい技術には変わらないわ。それができるなんて」

「クロマルちゃん、すごいです!」


まあ、よくわからないが、とにかく魔法が使えるようになったのである!

次は学院長を真似して、氷の魔法を使ってみるのである。


吾輩は再び、魔法を撃つ構えをとる。

学院長とソフィアが吾輩の姿をじっと見つめる。


「にゃ!(アイスブレス!)」


すると、吾輩の口から氷の球が……出なかった。


「あれ?クロマルちゃん、魔法が出なかったですね」

「あぁ、魔力を使い果たしたみたいね」

「魔力を使い果たした?」


学院長の言葉に吾輩は自分の右腕の腕輪を確認する。

すると、腕輪が赤ではなく白色に戻っていた。


なんと、あの魔法で2回が限界なのか!

魔法を撃ちまくるなんてことはできそうにないのである。


「この子はね、この腕輪の魔力を使って魔法を使っているのよ」

「なんで自分の魔力を使わないんですか?」

「この子は魔力を持っていないみたいなのよ」

「えっ、そうなんですか?魔力がないと死んじゃいませんか?」

「普通はそうなのよ。とっても不思議な子なのよ、クロマルちゃんは」

「そうなんですね。かわいくて不思議な子なんですね」


ソフィアが吾輩の頭をなでる。

不思議で済ませてよいのであろうか?

そういえば吾輩が魔力を持っていないのは誰にでもわかるのではないのだな。

吾輩が魔力を持っていないと見て判断できたのは長老と学院長だけであるな。


「ソフィアさん、あなたの魔力をクロマルちゃんに流してくれる?」

「魔力を流すですか?」

「ええ、魔法具に魔力を流す感じで、クロマルちゃんに流してくれる?」

「はい、わかりました」


ソフィアはそう言って、吾輩の頭をなでるのをやめ、そのまま手を置く。

すると吾輩の体の中に何かが通り、それはそのまま腕輪の方に流れる。

吾輩の腕輪はだんだんと赤く染まっていき、そして真っ赤に染まった。


「さすがソフィアさんね。魔力はまだ大丈夫?」

「はい、大丈夫ですが、思ったよりは魔力を使ってしまいました」

「学院でも魔力が高めのソフィアさんでこれだと、結構貯めるのは大変そうね」


うーむ。魔法の使い方は考えなければならぬな。

いざと言うときの魔力は絶対に必要であるからな。

でも、せっかく魔法が使えるようになったのに使わないのはもったいない。

どうするのが一番良いであろうか……?

と考えていた吾輩に学院長が声をかける。


「じゃあ、クロマルちゃんに向いてそうな魔法をいくつか見せるわね」

「クロマルちゃんに向いている魔法って?」

「魔力の消費がそれほど多くない魔法よ。例えば『身体強化』とかね」

「あぁ、そういうことですね!あとは『自己治癒』とかですか?」


『身体強化』!『自己治癒』!

なかなかすごそうな魔法である。ぜひとも覚えたいのである!


「えぇ、せっかくだからクロマルちゃんに魔法についていろいろ教えるわね」

「学院長!それって私も参加していいですか?」

「ええ、もちろんよ」

「やったぁ!クロマルちゃん、一緒に勉強しようね」


そして、そのまま学院長による魔法の勉強会が始まった。

次回で50話!でも、まだまだ続きます!

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