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黒猫クロマルの異世界さんぽ  作者: さちかわ
クロマルと村の幼女レベッカ
13/72

13にゃ

レベッカは吾輩を抱きしめながら泣いていた。

「クロマルー!無事でよかった!」

その様子をダニエルが驚いた表情で見ている。

「本当に生き残るとはな。大したやつだ。」


事の本末はこうである。

森から無事に戻れたダニエルたちは一度村にレベッカの治療をした。

そのときには森で採った回復草が役に立ったとのこと。

回復草はポーションにした方が効果が格段に高くなる。

だが、一応そのまますりつぶして塗っても多少効果があるらしい。

そして疲れをとるために一度休息をとった。

目を覚ましたダニエルが吾輩を探しに行こうとする。

すると同じく目を覚ましたレベッカが自分も行くと言い出したそうだ。

ダニエルはレベッカを連れていくことに当然は反対する。

レベッカは絶対について行くと泣きわめいたのであきらめたそうだ。

ダニエルはレベッカに弱そうだからな。

しかも、不思議なことに吾輩が小川の方から戻ってくると言い切ったらしい。


レベッカは一体何者なのであろうか?

もしかしたらこやつは魔法使いというやつなのではないか?

魔法少女レベッカ、元の世界だったらありそうなアニメである。

まあ、そんなことを気にしてもしょうがない。

それよりも問題は今の状況である。

吾輩の体はレベッカの涙でびちょびちょに濡れていた。

そして吾輩はレベッカに強く抱きしめられすぎて、死にそうになっていた。



吾輩は小川で体を洗った後、レベッカを背負い村へ帰るダニエルについていく。

レベッカはダニエルに背負われながら、吾輩の方をじっと見つめている。

そんなにじろじろ見られても困るのが……

少し居心地の悪さを感じながらも、吾輩たちは村に戻った。


家に戻った後、ダニエルはすぐにレベッカを寝床に寝かせた。

そして、事の本末などを村の人たちに伝えるに出かけた。

吾輩はやることもないので、昨日と同じカゴに入ってひと眠りしようとした。

しかし、吾輩をじっーと見つめる視線が気になって眠りにつけなかった。


「じーっ」

寝床に横たわっていたレベッカは見つめるどころか、口に出してしまっていた。

仕方がないので、吾輩はレベッカの方に近寄っていく。

それに気づいたとたん、レベッカは笑顔になった。

「クロマル、おいで!」

最初からそう言えばよかったのではないか?

そう思いつつも、優しい吾輩はさらにレベッカの手の届くところまで近づいた。

するとレベッカは吾輩を両手で捕まえて、自分の顔を吾輩の顔にうずめた。

「クロマルだ―」

はいはい。クロマルですよ。かわいくて天才なクロマルですよ。

吾輩はレベッカが眠りにつくまで、しばらくなすがままにされていた。


レベッカが吾輩のぬくもりによって眠りについたので、吾輩もカゴに戻った。

そして、ようやく眠れるかと思ったときにダニエルが戻ってきた。

ダニエルめ、タイミングが悪い奴だな。

吾輩は文句の意味を込めて、ニャーとひと鳴きしてやった。

すると、ダニエルがカゴの中にいた吾輩に気づいた。


「おお、クロマル。ここで寝ていたのか」

寝てはいない。むしろ寝ようとしていたのをお前が邪魔したのだ。

というかお前、吾輩の名前覚えていたのか?

吾輩が妙なことに感心していると、ダニエルが突然こう言った。


「今から村の長老のところへ行く。ついてきてくれ」

次話は12/18の17:00に更新予定です。

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