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黒猫クロマルの異世界さんぽ  作者: さちかわ
クロマルと村の幼女レベッカ
1/72

1にゃ

これは一体何であろうか?

吾輩は目の前の黒い箱に困惑する。




吾輩は猫である。名前はクロマルと言う。


吾輩はある特別な力を持っている。

それは「人間の言葉を理解する力」である。


吾輩はこの力をうまく使い、今までうまく生きてきた。

子どもが「なでさせて」と言えば、なでさせて食い物をもらう。

老人が「暇じゃ」と言えば、遊び相手になって食い物をもらう。


子どもや老人相手にエサを巻き上げるのは、簡単だった。

もし食い物をもらえなければ、お腹を見せてニャーとでも言えばいい。

人間はすぐに吾輩に魅了され、食い物を貢ぐようになる。


吾輩はこの天才的な頭脳で、この能力を使いこなし生きてきた。




ある日、吾輩が常連のスーパーのゴミ箱を見に行く。

このスーパーの店長は弁当にこだわりをもっていたようであった。

そのため他の店よりも弁当の味が明らかにワンランク上である。

だから吾輩も巡回ルートにはこの店を入れていたのであった。

吾輩はグルメであるからな!


特にサバの塩焼きは吾輩のなかではトップ3に入るぐらいのうまさだった。

塩味がちょうどよく、身もとてもほくほくとしていた。

骨がのどに刺さることがないように骨の処理もきちんと丁寧にされていた。

あれを始めて食べたときは感動で、ゴミ箱の周りを走り回ったほどである。


今日も期待に胸を膨らませ、ゴミ箱のところに来た吾輩は困惑した。

なぜなら、いつものゴミ箱はなく、代わりに謎の黒い箱があったからである。




少し考えた結果、天才である吾輩はこの箱の正体に気づいた。

これは最新型のゴミ箱であると!


ふう、吾輩としたことが動揺してしまったのである。

店長がゴミ箱を新しいものに変えたのであろう。


確かにあのゴミ箱は壊れかけていたからな。

まあ、理由は吾輩がゴミ箱をよく倒してしまっていたからなのであるが。


と言うことは、おそらく吾輩のサバの塩焼き弁当はあの中にあるだろう。

しかし、吾輩には別の疑問が生まれた。


この箱はどこから開けるのであろうか?

その箱にはふたも開け口も見当たらなかった。


その箱の周りをグルグル歩いてみたが、よくわからない。

どこから見ても、ただ黒いことしかわからなかった。


こいつは本当に黒くて四角いな。「クロシカク」であるな。

ちなみに吾輩は黒くて丸いから「クロマル」である。

公園の子どもがそう呼んでいたのをそのまま使っている。



そして再び少し考えた結果、天才である吾輩は仕組みに気づいた。

これはセンサーで反応するゴミ箱だと!


ずいぶん店長は最新のゴミ箱を買ったのであるな。

このスーパーはそんなに稼いでいたのであろうか?

正直、そんな風には見えなかったが……


まあ、そんなことはどうでもいい。

箱に触れたら、どこかが開く仕組みであろうか?

そう思い、吾輩がその黒い箱にそっと触れた。


その瞬間、吾輩の体はその黒い箱に吸い込まれた。


一体何が起こったのであるか!!

吾輩は恐怖のあまり、目をつむり、体を丸くする。



そして、気が付くと吾輩は薄暗い森の中の中にいた。

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