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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

みじかいひとりごと。

神さまは言いました。『余所でやってください』

作者: 短文ちゃん


 ──お母さんからのお手紙を見て冷凍庫のパピコを半分こしたいなと思ったのですが、食いしんぼうなわたしは昨日のうちに食べてしまっていました。


 ふとごみ箱がある方を振り向くと、捨てたパピコの容器が目に飛び込んできました。口の部分がささくれていて、ちょっとだけ血の跡がありました。それを見て、次はきれいに切らなくちゃなと思いました。


 そろそろお花に水をあげる時間なので、わたしはよいしょと立ち上がりました。

そこで急にめまいがして、視界が暗転しました。



 気がついたとき、わたしはパピコになっていました。

視界は真っ暗で、フリーザーの音だけがゴーと鳴り響いていました。


 わたしはふと、自分の血の味に思いを馳せました。



 あのときは首を雑にねじ切って、飛びだすパピコにいそいでかぶりつきました。



 わたしはお母さんとお花にごめんなさいと、無い口でそっとつぶやきました。


 ──目が覚めたときすでに日は落ちていて、手には汗をかいてびちゃびちゃになったパピコが握られていました。

わたしは急いで冷凍庫にそれをしまいました。

そしてパピコをもういちど確認して、静かに扉を閉めました。


 明日はいい日になるといいなと、そう思いました。



 わたしは頭がおかしいです。



 ◇ ◇ ◇



 思ったことを即座に口にできる人はある意味うらやましいな、と冷え冷えのモナカをかじりながら思いました。


 言うだけだったら誰でもできるんだよっていう批判もあるけど、そのうち伝えようと思っていて今日死んじゃったら永久に伝えられないから。


 ……サクサクのモナカの皮が唇の裏側に貼り付いてしまいました。

ちょっとイラっとしながらふとモナカの包みに目をやると、


「冷蔵庫での保存は結露するため食感を損ねる可能性があります」


と書いてありました。


 なるほどなるほど、と思いながらひとくちお茶を口に含みました。


 そろそろお花に水をあげる時間なので、ゆっくりと立ち上がりました。


 しばらく座りっぱなしだったせいか、思わず「よいしょ」と声が出てしまいました。



 そこで視界が暗転しました。



 ◇ ◇ ◇



 ──目が覚めたときはもう日が落ちていて、手には汗をかいてびちゃびちゃになったパピコが握られていました。


 これで何個めだったかなぁ、なんてことを考えながらそのパピコを雑に冷凍庫にしまいました。



 わたしは口の中にすこしだけ残った感触の正体を確かめたいと思いました。


 パピコのことはもうそっちのけでした。



 はぁ、やっぱりわたしは頭がおかしいです。


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