第七話 貴族になってました
レストさんの
「ついでに言ってしまえば、王都から調査を依頼されてもいる。」
という発言。
ということは、マリアード子爵の伝令が王都に届いたことでもあるし、
自分の特異ステータスについては知られているということだ。
それ以外にも多分、情報は言っているはず。
だったら下手な隠し事をするならば、
余計なことを言わないで、説明と協力を引き出すのが、最善手だろう。
「わかりました、ではお話ししますね。」
ある日マリアード子爵に、自分が魔物に襲われてたところで、助けられたこと。
その際に、それまでの記憶がまったくなく、自分自身のこともよく分からないこと。
その代わり、不思議なよく分からない知識があり、考え込むと顔に出やすいこと。
調べてもらったステータスが、この世界で特異的な状態であったこと。
簡単にまとめれば、こんなことを話して、説明した。
正直言って、前世界からの話なんて、よっぽど信頼がおけないと話せない。
だからその話の部分は説明の中には、入れていない。
「ふむ。君が何者で、どういったことなのかは、わかった。」
レストさんは呟く。しかし、
「だが、君は何かを隠しているのか、話せないことがあるのかしているね。」
と質問を返してくる。
さて、ここをどう切り抜けるかか。
言ったとおりの内容で、押し通すつもりだし、
たとえ条件を提示されても、話すつもりはない。
「どういうことです?僕は、記憶を取り戻してからのすべてを話しましたよ。」
レストさんへ、そう答える。
しばらくレストさんは黙り込み、何かを考えていた。そして、
「ふむ。まあいい。そういうことにしておこう。多分、君はこれ以上は話さないだろう。」
と顔を上げて話し出す。
「多分、治癒魔法の超級の魔導書や秘伝の書物を提示したところで、重要な部分をはぐらかして話すだろう?」
確かに、魅力的な交換条件ではある。
治癒魔術師としてやっていけるのであれば、喉から手が出るレベルでほしい。
だが、それよりもこの秘密を守ることの方が重要である。でも、欲しい。
「ははは。気持ちというか思いというか、考えが顔と魔力に駄々洩れだな。」
そう顔を見たレストさんは笑いながら声をかけてくる。
「では、魔法と魔力の説明に行こう。魔力の波長からだな。」
生物として生けるものすべてが、魔力を持っている。
生物としての魔力の量は限界があって、それを超える場合には暴走する。
動物の場合には、たいていの場合には暴走し、命を奪われる。
しかし、時折人間を襲う状態になることも多い。特に肉食動物は比率が高い。
そういった場合には、冒険者への討伐依頼が出される。
魔物の場合には、やっかいで種別としてのランクが上がってしまう。
例えば、初級冒険者の格好の的、練習相手、お得意様とも称されるEクラスのゴブリンだと、
ゴブリンリーダーとなりCクラスに昇格してしまう。
年に数回ほど、魔物の暴走化が起き、冒険者への緊急依頼で集団討伐が行われる。
人間や亜人、獣人などの人型は、基本的には暴走には至らない。レベルが上がるごとに、
魔力の量が上がっていき、暴走レベルに至ることが稀だからだ。
ただ、全くないわけではなく、暴走すると廃人化する。
つまり外見は人型を保つが、理性も知性もなくなり、しゃべることもない。
そして特に害もない状態のため、人里離れたところや洞窟内で、人知れず死んでいくらしい。
魔力にはそれぞれ固有の波長があり、身分証以外、魔力の波長でも、身元の特定が可能である。
ただ、その波長を判断できるのは、上級の魔術師だけであり、基本的には波長を見ることは少ない。
調査や尋問などでは、嘘や隠し事を判断するために、見ることがあるらしく、
先ほどからそういう理由で考えていること隠していることがあると見抜かれていた。
そういうことでもあるので、魔力が切れる=枯渇することは生命維持に危機を発する。
完全に枯渇すると、枯渇した生物は死んでしまう。
「といったところだ。魔力は生きるためにも必要な力なんだよ。」
とレストさんは説明を続ける。
魔法は、火属性・風属性・水属性・土属性・光属性・闇属性の6種類があり、
初級・中級・上級・特級・超級・神級に分かれる。
これとは別に、生活魔法や収納魔法、付与魔法などがある。
魔法は、実戦で試して覚えたり、精度を高めたり、威力を上げたりする方法と、
魔術書や魔法書を読んで、覚える方法がある。
初級魔法なんかは、書物を通じて覚えて、中級や上級へと高めていく、
また超級や神級は書物で覚える方法しかなく、
覚えるにもそれなりに魔法の腕前と十分な魔力量がが必要になってくる。
「ということで、君には光属性の魔法書と魔術書を渡そう。多分、君ならそこから特級や超級まで易々と発展、高められるだろう。」
そういうレストさんは、本を10冊ほど渡してきて、そう言ってきた。
「ありがとうございます。」
正直にお礼を述べる。
「あとは、これだな。」
と本を渡し終えたレストさんは、なにやら輝く水晶玉みたいなのを出してくる。
「なんですかそれ?」
レストさんに質問すると、
「これは、君の隠れたステータスを見えるようにするアイテムだよ。」
とレストさんが言うと、その水晶玉に魔力を通し始める。
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【名前】ダイ=フォン=ウィラー
〔ウィラー家の末裔(???)〕
【レベル】Lv5
【年齢】9歳
【性別】男
【種族】人間族
【称号】特異治癒魔術師
〔無条件で治癒魔法が神級魔法まで使用可。その際の魔力使用量が1/3となる。〕
【出生】アース出生 亥月15日
〔アース:特異者が生まれやすい環境。〕
【体力】3200/4578
【魔力】15050/15100
【攻撃魔法】
火属性魔法(Lv3/5)
〔上級魔法まで使用可。〕
風属性魔法(Lv3/5)
〔上級魔法まで使用可。〕
水属性魔法(Lv3/5)
〔上級魔法まで使用可。〕
土属性魔法(Lv3/5)
〔上級魔法まで使用可。〕
光属性魔法(Lv8/15)
〔超級魔法まで使用可。〕
闇属性魔法(Lv3/5)
〔上級魔法まで使用可。〕
【支援魔法】
治癒魔法(Lv5/30)
〔神級魔法まで使用可。〕
付与魔法(Lv5/10)
〔生活道具・戦闘道具に限らず付与可能。〕
生活魔法(Lv5/10)
〔建物(屋敷レベル)の外壁までクリーン魔法使用可。複数人へクリーン魔法使用可。〕
時空魔法(Lv5/10)
〔転移魔法が使用できる。ただし、行ったことがある場所に限る。〕
【スキル】
鑑定(Lv5/10)
〔食べ物・アイテム・生物への鑑定が可能。情報公開レベル:中〕
アイテムボックス(Lv5/10)
〔収容力:1アイテム50まで。200アイテムまで収容可能。鮮度維持付与。サイズ制限なし。〕
剣術(Lv3/5)
〔剣の扱いが向上する。師範レベル。〕
体術(Lv3/5)
〔肉体戦闘の扱いが向上する。師範レベル。〕
【加護】
生命神Lv30
〔光魔法・治癒魔法の効果が上がり、魔力使用量が軽減する。〕
魔法神Lv5
〔攻撃魔法の効果が上がる。魔力使用量が軽減する。〕
技能神Lv5
〔剣術・体術・アイテムボックスの効果が上がる。〕
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おい。なんか称号とか出生とか増えてるし、いろいろとレベル上がっているし、
なんか説明書きが出てきている。さらに体力と魔力がすごく極端に上がってる。
それに、「フォン」の称号がついているということは、貴族の出になるよな。
「いやー。これは予想外だったわ。ダイ君、君は本当に何者なのか知りたくなるね。」
そう笑いながらレストさんが、声をかけてくる。
むしろ自分でもそれが知りたくなってくるレベルです、このステータスは。
これ、特異的というよりも規格外というよりも人外レベルじゃないか。
「これだったら、この魔導書は必要なさそうだけども、まあ持っていくがいい。」
そうレストさんはいい、
「あとこれも持っていくといい。多分、君以外には使えないし読めないだろうし。」
と少し分厚い本を渡してくる。