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最恐?治癒魔術師が自重しない。  作者: 大熊 猫
領都ベラルーシからガイド街へ
3/21

第三話 貴族として

いよいよ王都への謁見に向けて出発です。

まだまだいろいろと設定というかあれやこれやが不十分な点もありますが、生暖かい目で見ていただけたらと思います。

翌朝。

「これって、どうみても貴族の服だよな。」

用意されていた服を広げてみてつぶやく。


布地はかなり上質、前世界でいえば絹に近い。

ジャケットは黒地、ズボンはダークグレイ。

ジャケット裏地も瑠璃色という感じの青の布地。

表に施されている装飾自体も金糸で刺繍が施されているし、

要所要所に使われているボタン自体もプラチナ、白金製だろう。


「こりゃ、謁見だけで済みそうもないな。」

着替えを済ませて、部屋にある鏡の前で自分の姿を映し見ながらつぶやく。


「前世界での自分を考えれば、王様への謁見とか考えられんな。」


少なからず前世界では、自分の生活する国には、王様とかいないわけだし。

それを言えば、貴族だっていないわけだし。


「まあこの世界に来たわけだから、この世界のルールというか決まりには従わなくちゃだな。」

そんなことを思いながら、王都へ向かう身支度と荷物を整えていく。


「といっても、昨日もらった市民証と着替えの服くらいなもんだしな。」

市民証自体は、ジャケットの内ポケットにいれてしまうし、

着替えも昨日来ていた簡素な服だから、簡単な袋にいれておしまい。


「準備できたか、ダイ君。」

マリアード子爵がそんなタイミングのところで、部屋に入ってくる。


マリアード子爵も謁見に同行するから、同じように貴族の服を着ている。

まあ当たり前だけど、俺が着ている服よりもさらに豪華な感じになっている。


「マリアード子爵、こんな迄用意してもらって申し訳ありません。」

自分が着ている貴族の服を指さしつつ、マリアード子爵に礼を述べる。


「ははは。謁見だからそれなりの服は必要だろ。」

笑いながらそう返してくるマリアード子爵。


『実際のところ、ウィラー家と言ったら、元々は伯爵家。消滅したとはいえ、貴族家の一端で、かなりの上流貴族だったわけだ。このダイ君がもし本当にウィラー家の末裔だとすれば、ただの領民服では問題がある。』


『それに昨日のうちに、早馬でこのことを王城へ知らせに向かわせている。私たちが王城へ着くころには、ある程度の調べがついていて、ことが判明するかわかっている状況にあるだろう。』


マリアード子爵は、ダイの服装を直しつつ観察しつつそんなことを思っていた。


そんなマリアード子爵の思いも知らずに、知る由もないので、

「マリアード子爵、王都っていうのはどのくらいかかるものですかね。」

と無邪気にというか何も考えずに聞いてみる。


助けてもらった上に、こんな服まで用意してもらって、

失礼な話ではあるけども、この農業が盛んな田舎領地から

王城がある王都まではかなりあると推測できる。


「ダイ君、何を思っているのかまでは聞かぬけど。」

そんなことを考えているのが、どうやらマリアード子爵にはバレているようで、

若干、苦笑されつつ、

「うちのベラルーシ領からだと、馬車で4日くらいかかるぞ。」


領地の位置的には、王都に接しているが、

ベラルーシ領自体、農業が盛んな領地で、

領地内の一つ一つの町や村がそれなりに大きいし、広い。

4つほど町と村を経由し、宿泊しながら王都へ向かう。


「領主たるもの、各町への視察もかねて、様子を見たりする必要があるし、お落とす必要もある。」


前世界では貴族も王家も王族も無いから、

貴族社会のルールも常識もわからない。

だが、マリアード子爵が説明してくれる内容は、

それなりに納得できる内容ではある。


貴族によっての意識の差があるにはあるが、

それぞれ貴族で、領地を守っている以上は、

自分たちの町や村に対してお金を落とさないと

領民の信頼や信用が得られづらくなってしまう。


「経済を回すっていうやつですね。」

話を聞いて納得していると、


「ダイ君、本当に君は9歳なのかね。」

マリアード子爵が首を傾げつつ、苦笑している。


「ほいほいと大人顔負けな言葉が出てくるんだか。」


実際のところ、前世界での20年以上の知識と経験と常識の上での、

この現在の世界の9歳な訳で、多分年齢不相応な状況ではあると思う。

まあ自重というか、やりすぎ言いすぎには気を付けなくては。


『といったって、9歳っぽくは難しいよな。』

そんなこと思いつつ、マリアード子爵に返事の代わりに笑顔返す。


「まあいい。そろそろ馬車の用意も出来るころだ。出発としよう。」


そういうマリアード子爵の後をわずかな荷物を持ってついて歩く。


『まだ試していないこともあるし、調べたいこともある。一応このまま王都へ向かうのはいいんだけど、その後のことも考えなくちゃだしな。』

そんなことを考えつつ、

『話を聞いている限りであれば、冒険者ギルトもある様子だし。最悪、魔物狩りや依頼こなして素材売ったりすれば、稼げるのか。』

と、王都についてからその先の生活についても考えていた。


「ダイ君、大丈夫かい?なんかブツブツと声が聞こえるんだけども。」


考え事していて、どうやら声にも出ていた様子。


「あっ、すみません。考え事してたんで。」


素直に話をして謝る。


「いやいや気にしなくていいよ。さて、この馬車で向かうよ。」


マリアード子爵の目線の先にあるのは、3頭引きの馬車。

馬車自体も大きいサイズで、6人は乗れそうなサイズ。

さらに引く馬にも馬具が装着されており、装飾が煌びやかである。


「凄い豪華な馬車ですね。この馬具は……。」

マリアード子爵にそう尋ねる。


「ああ。ウチの自慢の早馬だ。馬具は疲労回復の効果がある魔道具だよ。」

マリアード子爵はそう答えると、


「じゃあ、馬車に乗りたまえ。」

と自ら馬車のドアを開ける。


すると周りの従者達が慌て始めてしまう。

そりゃぁ、貴族の当主でもある領主が自らドアを開けてしまった訳だ。

通常は従者か行者がドアを開けてから貴族なんかは乗るんだろうし。


「大丈夫なんですか?領主でもある子爵自ら開けて乗り込んでも。」


そんあ慌てるまわりの様子をみつつ、

その領主である当人のマリアード子爵に尋ねる。


「問題ないだろ、いつものことだし。」


ということは普段から、この従者の人たちは

あわあわさせられているということなんですね。お疲れ様です。


「ほれ、王都へ急ぐからな。早く乗れ。」


そんなことはつゆ知らず、馬車の中から手を伸ばすマリアード子爵。

その手を掴み、馬車へと乗り込む。


「よし、乗り込んだな。じゃあ、出発じゃ!」


僕が乗り込んだことを確認すると、

従者に出発の合図を送る。

活動報告を書きました。(2020/3/1)

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