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最恐?治癒魔術師が自重しない。  作者: 大熊 猫
領都ベラルーシからガイド街へ
2/21

第二話 自分は誰なのか…

2作目。なるべく早く投稿しますが、いかんせん筆が遅めなので、気長にお待ちください。


=====前回のあらすじ======

身分と素性が判明しました。

「これがでたらめな状況なのは分かるな。」

マリアード子爵は訪ねてくる。


「ええ。」

マリアード子爵の質問に対して、そう答える。


確かにここの世界の標準は分からないけども、

このステータスがかなり異質なのは感じる。


「領主様、お待たせをいたしました。準備ができました。」

先ほどジェイと呼ばれた男性が、カートを押しながら再び現れた。


カートの上には湯気の立つ容器もあり、美味しそうな匂いもする。

そういえば向こうの世界でもあまり食べてなかったな。

食事っていつ取ったっけかと思いを馳せていると、


「ぐゆるるるる」

とおなかが鳴ってしまう。は、恥ずかしい。


そんな音を聞いてか、

「ははは。腹も減るだろ。4日間は寝ていたんだから。」

マリアード子爵は笑いながらそういい、用意された食事の準備が始まる。

笑うマリアード子爵の前で、

食事の用意が次々とされていく。


パンは焼き立てなのか、小麦のとてもいい香りがしてくる。

スープも野菜みたいなのがたっぷり入って美味しそう。


「ぐゆるるるる」

またおなかがなってしまった。


「ははは。とりあえず、食事の用意ができたようだから召し上がりたまえ。」

マリアード子爵に言われ、用意された食事を食べ始める。


うまい。パンは焼き立てで小麦の香りもするし、バターも香る。

たぶん、この世界であればバターは高価なものだろう。

スープも野菜の旨みがたっぷりで、温かく美味しい。

味付けもシンプルになっていて旨みが感じられる。


さてさっきのステータスについてだが、

やはり異端というか異質だろう。


『神の加護ってなんなんだろうか。』


疑問に思ったので、鑑定スキルを使用してみる。

少し思い浮かべて、念じてみると鑑定スキルが起動する。


===================


【生命神の加護:Lv5】

①体力の上昇値が上がる。

②状態異常無効化

③治癒魔法の魔力使用の減少


【魔法神の加護:Lv5】

①魔法使用時の魔力使用の減少

②使用した魔法の効果向上

③魔法の並列使用の開放(Lvによって並列向上)

④全属性魔法が使用可能


【技能神の加護:Lv5】

①アイテムボックス仕様向上(時間停止・容量特大)

②鑑定スキルの向上(Lvによって鑑定内容の向上)

③スキルの並列実施可能


====================


ふむ。これはなかなかの内容だな。

前世界の知識から行けば、治癒魔法に関しては多分最上級のクラス。

普通に考えれば治癒魔法系、支援魔法系が得意であれば、

攻撃魔法が不得手になるが、戦闘も問題がない程度に魔法が使える。


『創造魔法とかは使えれば、治癒能力とか向上できそうな感じだったけどな。』


自分のステータスから治癒魔法でやっていくしかないだろうから、

そんなことを考えていた。


「食べながらで申し訳ないが、少し話をしたい。」

必死にがっつきつつ、考え込む俺に、マリアード子爵が話始める。


この領地、ベラルーシは農業が盛んな地域で、

特に小麦が名産な地域とのこと。

上質な小麦が取れるとのことで、王家にも献上している。


ただ王都からは距離があり、

その上質な小麦を運ぶ際には、魔物や盗賊、不埒な輩が襲ってくる。

そのため、護衛をつけて小麦を運んだ帰りに魔物に襲われていて、

ボロボロになった俺を発見し、助けたとのこと。


「ということだ。それでな。」

マリアード子爵が言い淀む。


「どうかされましたか。」

何を言い淀むことがあるのだろうか。


「君は何者なんだい?申し訳ないが、いろいろ調べさせてもらった。」

マリアード子爵の手元には、いつの間に羊皮紙が置かれている。


「ダイ・ウィラーという人間は存在していない。この領内にも国内にも。」

マリアード子爵がまっすぐ見てくる。


ダイ・ウィラーは存在しない存在。

多分、あの機械のほかの部分にも調べるような機能があって、

その機械が検索というか調べた結果なのだろう。


9歳で、登録されていないなんて、

赤子で捨てられたか、貧しい家系で登録すら出来なかったのだろうか。

自宅で誰にも知られず、生み落として育てれば、

登録がいまでなかったとしても、不思議なことではない。


そんな考え事をする俺にて、マリアード子爵はこう続ける。

「だが、ウィラー家というのは消滅した一族で、過去には存在していた。」


ううん?存在していた?過去形?ということは、


「君が思っている通り、なんらの事情で消滅しているのだよ。ただ、最近の話ではないので、詳細は分からない。」

マリアード子爵はすこし残念そうな表情で話す。


「でも、詳細じゃなければ分かるということですか。」

俺は、マリアード子爵へ身を乗り出して聞く。


前世界の記憶や知識は残っているけども、

この世界での記憶や知識はほぼ皆無だ。

拾えるものは拾っておいておくことで、

生存率高めることとと問題なく生活をできるようにしておく必要である。


「ああ、世に出回っている話程度であれば分かるぞ。」


ウィラー家は、稀代の治癒魔法を扱う一族だった。

一時期は陞爵するほどで、貴族の時期もあった。

しかし徐々に後継者不足に悩まされていき、衰退の一途を経た。

数十年前までは、一族の生き残りがどこかにいるとの噂があったが、

それも最近では聞かれなくなり、消滅されたとのこと。


「ということだ。だから疑問があるのだ。」

マリアード子爵が続ける。


「なので、このまま君をわが領地の民として登録する。手続きは私の方で行っておく。」


うん。どういうこと?


「ははは。わからないって顔しているね。」

笑いながらマリアード子爵が話を続ける。


このままだと、何の身分も素性もわからない人間となる。

素性も身分もわからない人間には市民証が発行されない。


市民証が発行されない場合には、買い物も取引も不可能となる。

また商業ギルトや冒険者ギルトへの所属が不可能になる。

稼ぐこともできなければ使うこともできない。

つまりは生活もそれどころか生存も難しくなる。


「そういうことだ。領主邸なんでな、手続きはすぐにできる。」

そうマリアード子爵は言い、ベルを2回鳴らす。


「領主様、出来ております。こちらを。」

さきほどの機械を用意したスウェードと呼ばれていた男性が、

マリアード子爵にカードのようなものを手渡した。


「スウェード、ありがとな。すまぬが例の用意も頼む。」

そうスェードにマリアード子爵はいい、カードのようなものを受け取り下がらせる。


「さて、ダイ君。これが君の市民証となる。さきほどの機械から出たスキルカードを渡してくれるか。」

マリア-ド子爵はそういい、手を差し出してきたので、

手もとあるスキルカードと呼ばれるカードを渡す。


マリアード子爵はスキルカードと市民証を重ね合わせると、魔力を通し始める。

すると2枚のカードは光り輝き、1枚のカードへと変わった。


「これで完成だ。」

そう言い、完成したカードを手渡された。


シルバーに輝くカードには、

【名前】【年齢】【性別】【種族】

が明記されている。


「基本的には、町に入る時はこれを提示すれば、特に問題なく入れる。」

続けて、マリアード子爵はカードの説明を続けていく。


市民証と呼ばれるカードは、

①身分証明

②スキル公開

③能力公開

といった素性や身分を証明する機能と、

④銀行管理

⑤魔物討伐管理

⑥取引履歴管理

の経済活動支援機能がある。


基本的なこの世界での生活においては、

これが1枚あれば、生活が可能な状態になる。


また冒険者ギルトや商業ギルトに加入した際には、

この市民証と呼ばれるカードを渡せば、情報が同期されるという

超ハイテクシステムとのこと。


「そこでだ。ダイ君。」

マリアード子爵はカードの説明を行うと、

俺を見つめ始める。


「明日の朝、わしと王城に出発し、謁見に臨むことになる。」


突然の発言に、驚く。

「いや、いきなりなんで王城での謁見なんですか?」


いやいや、王城への謁見ってことは、

王族との面会・面談ってことだろ。

そんな肩ひじ張るようなことは勘弁願いたい。


「ウィラー家の末裔というか子孫であれば、王城でも確認を取りたいところなんだ。」

マリアード子爵は、そう話始める。


王家、王城にある図書館と王都の学者たちの下には、国の歴史や貴族の名鑑が集められている。

また領主邸にある機械よりも性能がよく、詳しく調べられる機械が存在する。

そちらで末裔か子孫の真偽のほどを確かめる必要があるらしい。


「そういうことであれば、仕方がないというか。」

少し言葉を濁しつつも、


「ちょうど自分が何者なのかを知りたかったので。」

そう明るく返す。


ということで、いつの間にかに用意されていたちょうどいいサイズの正服を

着せられ、マリアード子爵の馬車に乗せれることになりそうだ。


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