Case 18-2
2020年8月14日 完成(19:14)
2021年3月12日 ノベルアップ+版と内容同期
今日も退魔師の元へ修行をしに行く。
今回は友達まで連れてきたが、表面上は特に問題が無かった。
【5月8日(金)・深夜(2:00) 隠し通路・異世界入口?】
「はい、今日の所はこれでおしまいね」
間割が額の汗を一拭いして宣言した。
八朝、三刀坂、鹿室、曲橋そして何故か乱入した柚月まで転がっている。
「『外の人』ってこうも貧弱なの?」
「うーん……
暮らしぶりを見る限り便利そうだし、しょうがないかな?」
「にしてもなって無いわね
このままじゃ山に投げ込まれて3日が限界かも」
『退魔師』たちがこうも言いつのっているが、そのメニューは下記の通りとなった。
・準備運動として、腕立て腹筋背筋スクワットそれぞれ300回
・走って丘越え3往復
・一人ずつ間割とぶつかり稽古連続30分
※総当たり式なので平等に休む時間は無かった
・クールダウンに10kmの走り込み
「こんなの陸上部でもやって無いよぅ」
一番運動できる筈の三刀坂ですらこれである。
と、すればそれ以外の人間は口を利く余裕すらない。
「貴方は大丈夫そうね?」
「え、いや……その……」
間割の心からの笑顔に凍り付く三刀坂。
『時すでに遅し』『口は禍の元』、それを悟るにはもう遅すぎる。
「『外の人』にしては見込みがあるわね
もう少し付き合ってくれるかしら、貴方?」
間割に引き摺られ、三刀坂の悲鳴が小さくなっていく。
後には屍4体と、それらを夏休みのトマトを見るように無邪気に見つめる鍵宮が残された。
1時間ぐらいたって全員の息が整うと
徐に鍵宮が『帰ってもいいよ』と口にする。
「じゃあ、そうさせてもらうわね
ふうちゃんはどう? 一緒に帰る?」
「すまんが、もう少し残っとく」
「そ、じゃあ早く帰って来てね」
そう言って柚月が元来た道に引き返していく。
勿論ここでも弘治にバレないよう幻惑を掛けて帰らせる。
「難儀だよねぇ」
「必要経費だ、大して負担でもない」
「そうじゃなくてさ
あの子、化物だったんだけど」
その言葉に全員が凍り付く。
『何故』と口にする前に鍵宮が先に説明をする。
「言ったよね、あたしは『異物』に敏感だって」
「……そうか、lで分かるのか」
「そそ
あの子からは人間の気配がしなかった、っていうか中途半端に妖魔だったし」
「よ……妖魔!?」
曲橋が素っ頓狂な声を上げる。
そんな彼女に鍵宮が近づいて目線を合わせる。
「あれ、聞かなかったの?
ここは鳴下家が妖魔を封じたあの『山地』の中なんだけど」
鹿室はすっかり恐れを為した彼女を庇い、一緒に帰宅する。
そんな状況になっても鍵宮が何か言いたげな表情をしている。
「何か用か?」
「今日のキミは強かった!
『Het-Mem』だっけ、空間詛呪の苗木」
「でもあれは使わない方が良いよ」
「どういう事だ?」
「キミにはまるで合ってない
寧ろ苦しそうにしてた『Waw-Kap』の方が良いかも」
珍しい鍵宮からのアドバイスに目を丸くする。
そんな八朝の反応が面白くて鍵宮が爆笑する。
「うん、でも……
あの子も守れたらいいよね」
またも珍しく柔らかい笑み。
これは大人しく受け入れる必要がありそうである。
◆◇◆◇◆◇
「それじゃあ、ここまで引き離した理由を話しましょう」
「え?」
唐突に足を止め、不審な言葉を口にした間割に騎士槍を向ける。
だが彼女は手を振って敵意が無い事を示す。
「一番小さいあの子は
貴方の友達っていう認識でいいわね?」
「……彼女は八朝君の居候友達です」
「そ、別にどうでもいいけど」
聞いてきた割にそっけない反応にムッとした表情となる。
だが、次なる言葉でその表情すら凍り付いた。
「貴方、うちの弟子に何しようとしてるの?」
余りの核心を突いた言葉に口が空転する。
それを、したりと言わんばかりに間割が言い募る。
「鍵宮があの子から妖魔の反応があったって言ってたわ」
「気のせいじゃ……ないですか?」
「そうね、今貴方が嘘を吐いて確信したわ
やはり十死の諸力は碌でもないのね」
騎士槍の一撃が、ぐにゃりと曲げられて斜め後ろの虚空へ。
その転輪を横倒しにすると、今度は身体を下方向に押し付けられ地に伏す。
悠々と間割が三刀坂の背を踏む。
「柚月ちゃんを悪く言わないで!
あの子も私と同じ様に大切な人を失って……」
「だから忖度しろっていう話?」
「違う……今は刺激しちゃだめ
もう少し、もう少しで説得できるから……!」
「そう、説得ね
貴方だけ悟った風に上から目線で言い続ける限り叶わない話ね」
「……ねぇ、どうして私達の話を知ってるの?」
確かにおかしい話である。
初対面の二人の筈なのに、間割は三刀坂の裏事情を言い当て過ぎた。
今度は間割が口を噤む番であった。
だが、帰路の途中で捨て台詞を呟く。
「貴方の方法では誰も幸せになれない」
三刀坂と間割の確執が深くなった。
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続きます
今回は遅れてしまって申し訳ない




