Case 13-4
2020年7月23日 完成
2020年7月23日 ラストを変更
2021年1月26日 ノベルアップ+版と同期
2021年1月29日 日付再修正
【5月2日・休日|(22:00) 篠鶴学園高等部・第二異能部部室】
「何だ?
何でもするから勘弁してくれるって……」
「いえ
やはり貴方はウチに欠かせない人材だって実感しました」
余りにも素直な惨事に背筋が寒くなる。
それに気付いてしまったのか明らかに部長の態度が悪化した。
「やはり貴方は永遠に仮入部のままです」
「本当にそれでいいのかよ」
「結構です
さぁ、早く帰りなさい」
そのまま部長に三刀坂と一緒に追い出される。
態々施錠までする辺り、彼女の本気度が透けて見えるようである。
「もう遅いし、帰ろっか」
三刀坂の言葉で八朝も帰ることにした。
「それで、どこまで付いてくるんだ?」
「そう言っても私の家も南篠鶴で同じ方向だし」
『クレープ美味しいし!』
『ねー』が示し合わせたかのように重なる。
八朝が気を逸らそうと財布の中身を検めても、更なる絶望が待ち受けていた。
「大丈夫だよ
砂高美典が報酬払ってくれるって」
「そう言ってもなぁ」
今ここにある素寒貧をどうしたものか。
とは言うが、収入があるのは有り難いと思っている。
「でも、本当に倒せたんだね」
「まぁな……」
「これも『今の八朝君』のお陰かな?」
三刀坂が揶揄うように言ってくる。
気恥ずかしさはあるが、ようやく肩の荷が下りた方の感慨の方が大きい。
「明日からもいっぱい集めて来るから」
「明日は休日だ」
「あれ……あ……!」
今更気づく。
制服を身に纏い、1日中学校に居たから今がGWの真っ只中だと忘れてしまっていた。
「だ、大丈夫大丈夫
私の部活は休日とか関係ないし」
「俺の方が来ていないから意味が無いぞ」
「だったら家に押しかける為に位置覚えなくちゃね、しゅっぱーつ!」
「おい、ちょっと待て!」
三刀坂を止めようとして、その三刀坂が誰かにぶつかる。
「おい、危ないだろ!」
「放してくれ!
それどころじゃないんだ!!」
男は謝りもせずに逃げるように走っていった。
付近を見ると、確かに男と同じ方向に逃げ始める人が増え始めている。
「いたた……何が起きてるの?」
「俺も分からない
だが、あの方向って確か……」
『うん、出口だよね?』
それは篠鶴市の唯一の出口である門の名前である。
ここのみが渡れずの横断歩道が効かず、外に出ることが出来る。
「何があったんだ?」
「すまんテレビを見てくれ!!」
この調子で誰も応えてくれない。
嫌な予感がする……
「急ごう」
三刀坂が手を繋いできて、人込みを掻き分ける。
長い事揉まれ続け、漸く家電量販店前まで着く。
その3F……テレビの販売スペースへと走る。
「本当に何が起きてんだろ……」
「知らない
だが、嫌な予感がする」
「みんな焦ってたよね……」
漸くテレビが見え始める。
大画面で流されるニュースというのは何だかちぐはぐであるが、今の彼らにはそれしかない。
そのテレビ画面から衝撃のニュースが垂れ流されていた。
『緊急速報
八丈沖海戦:ミチザネの遁走により失敗
浜松沖にて上昇を始め、■■付近で下降。これにより推定落着地点が判明』
『5月3日23時33分・篠鶴市北方300m沖』
次でCase13が終了します
そして次回……




