Case 13-1:輪郭線に沿って切り取る能力
2020年7月20日 完成
2021年1月26日 ノベルアップ+版と同期
【5月2日・休日|(20:00) 篠鶴学園高等部・3F多目的室】
「あら、お気になさらずに話を続けて頂戴な」
室内の人間全員が開け放たれた扉を凝視する。
何故、この会議が『第二異能部』にバレたのか……!?
「貴殿こそ、ここで何をしている」
「元異能部なのに、つれなのね」
「元であろう
今は違う、帰りたまえ」
「あら
貴方達の犯罪行為の証拠があるのにです?」
瞬間に室内の空気が一変する。
全員が各々の依代を扉の人物に向け始める。
「やめよ
だが、警戒は怠るな」
異能部の部長……禁戸が手を下ろす。
自らは生身で第二異能部部長・里塚真白の槍斧を握る。
「人攫いとは一体何の事か
もしや、貴殿ら第二異能部の……」
「青銅人計画」
今度は禁戸の目まで険しくなる。
だが、里塚に悟られるのだけは何としてでも避けたい。
(あの、お耳に入れたい事が)
禁戸に向かって部下の一人が口をはさむ。
彼女から離れて相談事項を聞くことにする。
(『先輩』はどういたしましょうか)
(……済まないが、今回は帰ってもらってくれ)
(分かりました)
「あら、私に隠れているつもりかしら
それとも……十死の諸力の『先輩』かしら?」
「我々誇りある異能部に十死の諸力のOBは存在しない」
「誇りも何も、あるようには見えませんわ
疑われたくないなら■■■■の情報を早く公開してくれると助かりますわ」
得意げに異能部の暗部に土足で踏み入る里塚。
やがて、禁戸すらも『計算』を始める。
『何でしょう、絃風様』
『抗生……待機しているか?』
『はい』
電話口の素直な返事に口元を緩める。
どうやら天は我々『異能部』を見捨てていないらしい。
『ところで、何かおかしなことは』
『は……はい、特に何も……』
歯切れが悪い……どうやら侵入された後らしい。
まぁ、彼に期待していたのは『そういう所』では無かった。
『そうか
ならば許可する』
その言葉を聞いたのか電話が切られる。
やがて遠くから剣戟の音が響き渡る。
「あら、地下の方で何かありましたの?」
「異能部は半分辰之中なのでな
こうして門番に守らせているのだよ」
その顔が明らかに歪む。
どうやら攻めあぐねているらしい。
そして無為な沈黙を垂れ流したのち
待望の轟音が地面から突き上げて来た。
「な、何があったのですか!?」
その声は2月に裏切った辻守晴斗。
だが、その程度では我々の有利が揺るがない。
ついでにもう一つ布石を敷いておくか。
「落ち着いて辻守
……貴方、能力を発動していますね?」
「我々の会議に乱入した咎であろう
そして急ぐが良い……侵入者が死んでしまうぞ?」
【5月2日・休日|(20:07) 篠鶴学園高等部・3F多目的室】
『Pnizzh!』
『■■!』
MP:1→0
MP:3→1
DAM:3-2→1
「ははははははははははは!!!」
刀を弾かれて尚も哄笑する丸前。
またも攻撃を仕掛けようとして、目の前の触手攻撃に視界を塞がれる。
「邪魔だ!!」
刀をやや水平に薙いで触手を切り裂く。
そしてEkaawhsが放とうとした毒鱗粉を肌感覚で躱す。
『Libzd!』
こちらへの触手は三刀坂の『重量増加』で叩き落す。
殺到する何本かをまるで薙ぐように騎士槍に当てて凌ぐ。
「助かった!」
「こんなの……でも!」
目の前には丸前と不死の怪物。
未だに三つ巴の戦いになっているのが意味不明だが、危機には変わりない。
「エリス!」
『ごめん! 今は……』
「お前にありったけの魔力を流してやる!」
八朝が2回■■を唱え、膝をつく。
頭を掻き回すような不快感……これが異能力の暴走だと悟る。
「八朝君!!」
「これくらいは大丈夫だ
それよりも三刀坂……水を浮かせてくれ!」
あの化物が『13番目の合わせ鏡』であるなら
地面に広がる水の鏡すらも危険に違いない。
「でも八朝君は!?」
「異能力が無くても出来る事はある!!」
八朝が鉄パイプを手に丸前へと走る。
「はははははは!
態々こちらに来ようとは!!」
丸前の薙ぎに鉄パイプを重ねる。
刃は鉄パイプを透過せずに、鍔迫り合いとなった。
「な……貴様まさか!」
「随分と狭い能力で助かったよクソが!」
生身や依代、化物には滅法強くても
水を一切含まない鉄パイプでは『水を切る能力』は発動しない。
こうなれば単純な力比べとなる。
「小癪……小癪な……!」
それでも鍛錬の差で丸前が押し始める。
だが初めから彼に勝つつもりはない。
そして待望の触手攻撃がこちらに襲い掛かる。
「なろぉ!!」
態と鉄パイプを斜めにして刃を滑らせ、同時にしゃがみ込む。
回転を利用した刃で化物の触手が切断される。
『ギシュァァァアアアアアアア!!!』
初めて化物が悲鳴らしい悲鳴を上げ始める。
そして、鏡の向こうにいる自分と後退しようと、その身を真下にくねらせる。
『命無き汝に最大の息吹を与う
土は去れど、やがて青銅の咎にて沈む』
三刀坂の闇属性電子魔術が発動する。
地面を満たしていた水が急激に引き上げられ、化物の逃げ道を封じる。
そして化物が丸前に狙いをつける。
「貴様……まさか……!」
端末を透明ポケットに入れている丸前に向けて触手が襲い掛かる。
自分に迫るもののみ刀で切り裂いていく。
『Vrzpyq!』
そして丸前が刀を急加速させる。
まるで流星の如く飛び立つ刀に掴まり、化物へと吶喊する。
「我等の決闘を汚すでな化物風情が!!」
彼の一撃は確かに化物の核を貫き、一撃で討伐せしめる。
「そんな……」
三刀坂が絶望を口にする。
これでは五体満足な丸前と『もう一方』が……
「さぁ今度こそ……ッ!」
丸前が唐突に何かにしびれたかのように倒れ込む。
そしてその下から『上茸下燕』の巨躯が突如生え始める。
「八朝さん!」
なんか1日更新野郎になりましたDappleKiln(斑々暖炉)でございます
因みにタイトル名は部長の異能力であります
そして今回はEkaawhsとの決戦となります
果たして八朝達はEkaawhsに勝てるでしょうか?




