Case 01-6
2019年9月19日 改修完了
2020年4月28日 第二次改修完了
2020年7月13日 第三次改修完了
2020年12月12日 ノベルアップ+版と内容同期
2021年02月03日 上記修正内容と同期
2021年02月10日 上記修正内容と同期
通路の奥に居た仲間と再会する。
だが八朝は彼らに荒唐無稽な疑義を向けた……
【TIMESTAMP_ERROR 篠鶴地下遺跡群・出口付近】
「え……ど、どうしたの?
私達があのダンゴ虫ってそんなわけないじゃん」
まるで心配するような声音で八朝の問いに答える。
向こうの生き残りたちは、橋の途中で立ち止まった俺たちを見て何事かと蠢いている。
「そうだな、普通はそう考えない」
「だよねっ!
じゃあ、時間も無いし……」
「最初に現れたあのダンゴ虫の文様
アレは俺を幻惑した奴の髪飾りと瓜二つだったな」
目の前で急かそうとする緑髪で雪結晶の髪飾りをしている仲間に向かってそう呼びかける。
恐らく女性である彼女に、今更な質問をもう一つ投げかける。
「アイツが最初から見えないんだが、どこに行ったんだ?」
「そ、それはえっと
そう! きっと別ルートから……」
「REって言葉に聞き覚えはあるか?」
それを聞き届けた彼女の態度が豹変する。
どころか顔の全てがどろりと溶ける。
自重で歪んだ顔は、まるで嘲笑しているようにも見えなくもない。
「バレちゃったんだね
デモ、モウオソイヨ……」
その様子を確認して、女の子に反対側へと逃げるように指示する。
その目の前でダンゴ虫へと変じた彼女は、石橋を焼き溶かしながらこちらへと向かってくる。
「Ghmkv!」
依代である霧で視界を遮ってその隙に八朝も逃げようとする。
「危ない!」
上から落ちて来た先程のとは別の巨大ダンゴ虫の奇襲を受ける。
両足で踏ん張ろうとした力が膝上で全て掬い飛ばされ、ダンゴ虫とともに石橋の下へ吸い込まれていくように落ちる。
数秒ぐらいの浮遊感を感じた後、背骨を砕くほどの衝撃を全身で受け止める。
うめき声すら上げられずに肺からすべての酸素と、口内を満遍なく汚す喀血を吐き出す。
それは相手も同じであった。
地面と接地した歩脚は全て砕け散り
更にその身体の半分が折れ曲がり、装甲に真一文字の深い亀裂を走らせる。
『ショウブ……シロ……』
「な……お前は確か東岸……」
『"ヒロミ"ヲ……カケテ……オレトタタカエ!!』
東岸だったものが、残った頭部を動かして巨大な顎で何度も八朝を刺し貫く。
激痛で行動不能になる八朝は未だに訪れない意識消失を呪いながら左手を伸ばそうとする。
持っているだけの端末の上で黒い球体が形成される。
唱えてもいない固有名から呼び出される霧であの暴力の化身に勝てるはずもなく。
故に激痛を無理に抑え込んで足に力を籠める。
化物が真上に跳ね上げられ、尾部と頭部が泣き別れをしながらも顎の切っ先をこちらに向け直す。
顎の間で赤く灯る光点をこちらに向けながら自由落下に備え始める。
先程の女の子を守れなかったなとその場に似つかわしくもない事を思っては、地獄から目を背き始める。
『"ヒロミ"をオマエノ……
オマエノヨウナ卑怯者ニ!』
「卑怯者だと……?」
その瞬間脊髄を砕く激痛の如き怒りに襲われる。
脳が変形し、視界が赤く染まり始め正気を保てなくなり始める。
(まだ見捨てたわけではない……!)
東岸は"ヒロミ"を、八朝はあの女の子を……
それぞれに思惑がすれ違った瞬間
「ふうちゃん!!」
無事でいてくれと願っていた声が上から聞こえてくる。
あの女の子が石橋から飛び降りて来たのである。
少女がが眩い光と共に八朝の端末へと吸収されていく。
その端末の身体と東岸だったものの牙が激しい火花を散らす。
(このままでは……ッ!)
またも酷い頭痛に襲われる。
◆◆◆◆◆◆
ソウゾウするは、絶対均衡の大樹
十の果実と、それを育む二十二の幹枝が絡む緑色の天空
その姿は最初の回想の姿を取り始める。
即ち、少女……あの黒髪の少女を幼くした子との指切りの場面。
だが今度はそれがバラリと無数の光る線に変じる。
(これは一体……)
沈む暗黒の中で光の線が次々にカタチを取り始める。
// 荳?ア。縺ォ蜻ス縺倥k
ascent(cols in 0..30){
ascent(v in 0..6){
それはCのようでそうでない架空の統一言語。
だが、これだけでは何をしようとしているのか分からない。
// 謔ェ縺励″繧帝仆繧
let vtx = 90+v*60;
let edgeX = GetX+cos(vtx)*200+cos(120+vtx)*cols*10/3;
let edgeY = GetY+sin(vtx)*200+sin(120+vtx)*cols*10/3;
(何かで六角形を定義しようとしている……?
それにこれは……あの女の子の力なのか……?)
なおも読み進めていく。
// 鄙?蜉帙?螳医j謇
CreateShotA((col+1)*(v+1),edgeX,edgeY……
『ようやくたどり着いたか』
『これが、君の真の力だ
そしてぼくは君であり君はぼくだ』
『故に、その使命は正しい』
『例え、虚構に身を投じる結果となっても
記憶を……全ての始まりから目を逸らさないで』
『さぁ、叫べ』
// 繧ィ繝ェ繧ケ
loop(2){ yield; }
◆◆◆◆◆◆
『……Immofa be baqrqdj / Sptrhe jw dhnomu / Ocufuvdm ai jmthjqax』
『Hpnaswbjt!』
端末を貫かんとする牙の前にハニカム構造の魔力障壁が生じる。
牙が障壁に負けて砕け飛び、ダンゴ虫が潰れた悲鳴を上げる。
「エリス!」
『!?』
すっかり端末になってしまったあの子を握りしめる。
まだこれだけではダンゴ虫に勝てない。
『ふうちゃん……信じてくれる?』
頷いてみせる。
だが次の瞬間、猛烈な苦痛に襲われる。
『Vrzpyq!!!』
横になった視界の中で、障壁が小さく縮む。
そのまま急加速してダンゴ虫の身体を貫き、その体を霧散させた。
「あ……が……ぃ……ッッッ! あ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
双頭の犬、体表面がギザギザの尺取虫(4m)、地面を泳ぐ骨だけの大鮫、岩盤に穴をあけながら進む蜂の霧、分裂する猫の身体だけで出来た巨大蜘蛛etc...
それらが八朝を一顧だにせず通り過ぎていった。
次でCase1が終了します