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2021年12月5日 完成(数日以上遅刻)
新入りの金牛に関する懸念事項は解消された。
そこに隊長までやってきて、大手柄だと褒めたたえる……
【5月10日(日)・夕方(20:05) ARRAYINDEX_OUTOFBOUNDS】
「……」
いつもより親しげな隊長に反して二人は緊張の面持ちである。
特に八朝は『異世界知識』という明確な証拠を持っていた。
つまり、篠鶴市民の隊長に『反閇』は不可能という事実である。
「どうしたの、喜ばしい事よ
これで次の標的が確定したものだから」
「……その前に聞かせてくれ、どうやってここに来た?」
その言葉で漸く隊長も視線の意味に気づいたらしい。
苦笑しながら『ある法則』で九回足を踏む。
すると隊長の姿が幻のように消え、更に数秒後戻ってきた。
「一人で居るのも暇なんで付いていって
それで突然消えたりしたから、貴方の真似とかも試したの」
「……そうか、じゃあ標的は俺等じゃないって事でいいな」
「最初からそうじゃないと言ったつもりよ」
「言ってねーじゃんけ」
「……それもそうね」
身の安全が確保されたところでもう一度周囲を確認する。
本当に自分たち以外の誰の気配もせず、堂々と話し合いができるらしい。
口火を切ったのは金牛の方である。
「それで、次の標的ってどういうことだ?」
「その前に貴方たちは先程の話を覚えているかしら」
「ああ、確か昔はここにでかい山があったって話だろ」
「正しくは水瀬神社が『イザナミ教』だった事
それで、その本来の水瀬神社の位置がどこか言い忘れていたわ」
徐に隊長が真下を指差す。
意味が分からず『記憶遡行』を用いた八朝に衝撃が走る。
「……ここは山頂なのか?」
「その通り、ここが旧水瀬神社のある山頂よ」
「へえ、それが分かって何になるんだ
『手帳天狗』とは何も関係ないだろ?」
「大有りよ
寧ろアイリス社が深く関わっている可能性すらあるわ」
「おいおい、一体何の冗談だよ
八朝もおかしいって思ってるだろ、何とか言ったら……」
「……生贄の井」
その言葉に隊長も深く頷く。
それは『毎年生贄を捧げる祭祀場』の名で、あの忌まわしき奈落の名。
汚物と共に歴代巫女達の骸が打ち捨てられた場所。
その説明を聞いた金牛が思わず言葉を失くすが、まだ口を挟む。
「いや、確かにヒデェなと思うけどさ
それこそ本当に何だよ、いなくなる理由にならないだろ」
「そうでもない、行方不明者は全員あの井戸に落ちたって噂があったから……」
「そうよ、そして現在の水瀬神社にもその『跡』はあるわよね?」
「あの磐座……そういえば!」
それは篠鶴地下遺跡群での行方不明者の捜索に使われる霊穴。
曰く、ここから探せば如何なる人物も見つけることができるが
錫沢に連なる者でない限り、二度と地上に出られなくなるという。
そして錫沢に連なるという条件は、『異世界知識』の有無と合致する。
「そうよ、そして八朝君は鳴下神楽を修めている
そんな機構がアイリス社の中にも発見されたのは大きな発見よ」
要は『手帳天狗』がアイリス社職員だったという話である。
それに連なるように先程の八朝の話もする。
アイリス社職員が鷹狗ヶ島の人間と瓜二つだった、これには隊長も深く頷く。
「ええ、随分と荒唐無稽な話ですけど
私たちの隊名から考えても有り得なくはない話ですわ」
「そりゃどういうことだよ」
「フラウン・ホーファー、虹の中に現れる真っ黒な線の名前だ
光を遮る成分によってできるらしい、つまりはそういう事だ」
「私たち以外は『実体が無い』って事ね」
確かに思わず遮りたくなるほど馬鹿馬鹿しい話である。
だが金牛すらも否定することができない。
それ程までにこの場所で感じていた『違和感』が大きかったのである。
「おい、じゃあ『手帳天狗』って
八朝の記憶にない奴って事だよな、って事は……」
「いえ、社長よりも真っ黒な人物が存在する
それが先程八朝君を狂わせていた相手よ」
隊長が指差した先にもう一つの人影が現れる。
それは先程八朝を導いた相手にも見えなくもない。
だが目深にフードを被り、大きなマントのせいで何も分からない。
「……!? いつの間に!!」
焦る金牛に隊長から小銃を投げ渡される。
それと共に八朝が前に出て一先ずの陣形が完成する。
現在のフラウン隊の陣形は前方1後方2の超攻撃型。
八朝が障壁魔術と分析を担当し、残りが後ろから攻撃する。
そして一回目の荒い分析で敵の恐るべき実体が判明する。
「貴方、報告しなさい
一体相手はどんなのよ?」
「……『七含人』の粳火明楽、既に死んでいる!」
◆◇◆◇◆◇
使用者:粳火明楽
誕生日:【!】閲覧が制限されています【!】
固有名 :【!】閲覧が制限され
制御番号:ています【!】閲覧が
種別 :制限されています【!】
STR:? MGI:? DEX:?
BRK:? CON:? LUK:?
依代 :?????
能力 :地星履歴
後遺症 :?????
備考
・4ヶ月前に死亡
Interest RAT
Chapter 17-d 井泥 - Gabage Collection
END
これにてPage107、『404の底にて』の回を終了いたします
あれ、脱走するんでしたっけ?
ええ、プロットが書き換わったので脱走いたしません()
そして突如出てきた敵も微妙に怪しいですよね
『七含人』にして『異能部』の粳火を、謎の少女と見間違えます?
別に彼に『可愛い』という設定は御座いません
という事はつまり……
次回は『決死の一手』です
それでは引き続きよろしくお願いいたします




