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Case 10-1:目と耳を塞ぐ能力

2020年6月23日 完成

2020年7月16日 第一次改修完了

2021年1月26日 ノベルアップ+版と同期


【5月1日??時??分 某家電量販店前】




『次のニュースです』


『本日未明、

 ■■■諸島の鷹狗ヶ島が『アルキオネⅢ』の攻撃を受け、崩壊しました』


『この海域の近海では

 現在海上自衛隊による『作戦』が展開されています』


『当件の関与について総理が

 『現在事実関係を調査中』とのコメントを残しました』


――鷹狗ヶ島の西方■■kmに位置する■■■島在住の■■さん――


『ああ、その日はいきなり大時化になってな、慌てて陸に引き返そうとしたんだ。

 そしてら空が真っ暗になってな、雷が雨のように落ちてきやがったんだ』


『そんな中、恐ろしく太い雷が地平線に沿って走っていったんだ!

 あの方向は間違いなく鷹狗ヶ島の方だよ』


『幸いにも鷹狗ヶ島は無人島で

 当件による死者数は0と見込まれています』


『次のニュースです

 数日前の殺人事件の実行犯である飼葉倉次(かいばくらつぐ)の……』




【5月2日・祝日|(1:50) 篠鶴地区・辰之中】




『遅いね……もう50分経ってるけど』


 エリスが星月夜の中で呟く。

 本日の依頼は三刀坂(みとさか)の持ち込んだものである。


 『笑う卵(ヴィヒテル・ドライ)』と同時に持ち掛けられたが

 あの顛末では気まずい……しかし、引き受けた以上は完遂するしかない。


「まぁ、気長にな」


 車寺(くるまでら)の置き土産の威力は甚大であった。


 まず、三刀坂(みとさか)とは今も会っていない。

 正確には一度ばったりと会ったが、会話一つせず気まずそうにすれ違った。


 そして八朝(やとも)の方は重大な疑惑を抱えた。


 あの時『笑う卵(ヴィヒテル・ドライ)』を止める手段は存在していないかった。

 だが、隠れて追って来た三刀坂(みとさか)が止めてしまった。


 無論、彼女の『重量操作』では考えられない所業である。


(……そういえば、灰霊(グラフィアス)の時も)


 あの時、三刀坂(みとさか)は不思議な詠唱(スペル)を口にした。

 それは八朝(やとも)のと同じようで違う『秩序立った』ものである。


 時折、異能力には独自の詠唱(スペル)を必要とするものもある。

 だが彼女の『重量操作』にそんな要素は存在していない。


 八朝(やとも)のように、■■■魔術(別要素)が混ざっている証拠であった。


『ふうちゃん、どうしたの?』

「……」

『もしかして、みーちゃんの事?』

「……どうして分かったんだ?」

『最近のふーちゃんは、みーちゃんと『闇属性』の噂ばっかりだったし』


 RAT_Visionによる情報収集は端末(エリス)を通して行う必要がある。

 そう考えたら、自分のやっている事なぞ筒抜けに違いなかった。


「エリス、|アイツが十死の諸力フォーティンフォーセズだと思うか?」

『うーん……証拠が少ないし……』

「嘘を言うな

 アイツの電子魔術(グラム)の解析ログにも残ってる……『属性不明』だとな」


 基本四属性の範疇外と言えば『闇属性』の一種のみ。

 そしてそれは十死の諸力フォーティンフォーセズとの直接的繋がりを意味している。


 更に八朝(やとも)には

 自分が三刀坂(みとさか)に殺される『壊れた記憶』もある。


『……わたしは、それでも信じたくないよ』


 エリスの気持ちは痛いほど伝わった。

 自分も彼女が『無実』であると信じたい。


 少なくともあの異常者(グラフィアス)と同じことをして欲しくない。


(だがもしも……)


 自分が記憶喪失だからこそ思ってしまう。

 それは単に『知らなかった』だけで、本当は彼女も……


「ちーっす」


 遠くから声が掛かる。

 彼女が今回の依頼者である砂高美典(すだかみのり)である。


 クラスでも特に目立った女子で、三刀坂(みとさか)と同じ『陸上部』に所属する。

 派手そうな見た目に反して気配りが上手いらしいが、反応を見るとそのようには見えない。


 明らかに不機嫌そうな顔を向けているのである。


「何か言いたい事は?」


 そう言われても特に何も思いつかない。

 強いて言えば予定が立て込んでこんな深夜に呼び出したことについて申し訳ないぐらいか。


「はぁ……そんなんだからダチ出来ないんだよ」


 彼女の煽りを無視して本題を進める。


 今回の依頼は異能力の強化。

 端的に言えば『化物(ナイト)退治』の同行であった。


 彼女の位階(クラス)八朝(やとも)の一つ上で

 本来、そんな事を頼む必要は無い……実に不思議な依頼であった。


「そいやさ、昨日アンタおかしくなかった?」

「?」

「いや、三刀坂(みとっち)と一緒じゃなかったじゃん……何かあったの?」


 そう聞かれた八朝(やとも)は、昨日の顛末を語る。

 砂高(すだか)は何度か眉をひそめながらも、遮る事なく話を聞き続けていた。


 話終わりを察して砂高(すだか)が口を開く。


「色々と言いたい事あるけど、そこまで難しく考える必要無くね?」

「……」

「別に言いたくなかったけど、

 みとっちの部が来月末に廃部になるって聞いて以来どんよりとしてたのに、アンタと一緒だとよく笑うじゃん」

「廃部……?」


 曰く、現在の陸上部はもう数年も実績無しである。

 大会出場の為の『手錠』の賃借料も払えず、廃部まで秒読みの段階に至っているという。


 彼女は既にこの『泥船』から脱していた。


「ま、あたしは異能力も勉強もできないから入っただけだし、それぐらいでいいでしょ」

「……」


 一理はあるのかもしれない、と八朝(やとも)は思っていた。

 だが、それを振り切れない程に三刀坂(みとさか)を知り過ぎてしまっていた。


「それでも放っておくことはできない。

 何となくだが、三刀坂(みとさか)には笑っていて欲しいんだ」

「ふーん、そう」

「その為に何をしたらいいのか分からないけど……」

「……」


 表情を隠して八朝(やとも)の返答を聞く。


(別に一緒に居ればいいだろ……

 本当にややこしく考える奴だなぁ)


 砂高(すなだか)が心中で呆れを吐露する。

 だが、不安要素が一つもない訳では無かった。


 三刀坂(みとさか)の話す『八朝(やとも)』の話題が『記憶喪失前』しかない。


(……はぁ、めんどくさ)


 砂高(すなだか)が溜息を吐く。

 

「取り敢えず、手伝ってくれよ」

「それは構わんが、何故?」

「何故って?

 ……ああ、わざわざ『格下』に頼んだ訳って事?」


「ま、アタシもお前と同じ悩みを抱えてるってだけだよ」

お久しぶりです、斑々暖炉でございます


ちょっと難産でございました(部分改変2回 全改変1+1回)

今回も単なるバトル回(正確にはCase10-3)ですが、序盤のシーンが今後の何話かに影響します

ええ、容赦しませんとも。これ以降は……


亀の歩みですが、ちゃんとストーリーが進んでいるのでご安心ください

次話は金曜日を目途にしてみたいと思います(震え声)

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