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Case 98-3

2021年10月18日 完成(2時間以上遅刻)


 十宮(とみや)は異能力による記憶改変を失敗してしまう

 気合で耐えきった八朝(やとも)を今度こそ改変すべく闇の中へ……




【TIMESTAMP_ERROR ARRAYINDEX_OUTOFBOUNDS】




(しぶといなコイツ)


 十宮(とみや)が息をひそめながら心の中で呟く。

 彼の経験でも、本気の一撃に耐える人間は一人としていなかった。


 それ程までに彼の『夢想操作(ギフト)』は強い。


 単純なパワーやステータスの暴力という訳ではないが

 そんな強者達が唯一鍛えていない『認識』を無意識レベルで改変し操る。


 誰一人として抗えない。

 明晰夢となった奴にも何だかんだで改変が成功した。


 そうして彼の世界である『1-6』を一人残して葬り去る事が出来た。

 だが、世界は彼が思っていたよりも広かったのである。


(にしてもどうしてだ

 ハーレム野郎なだけで他と大差が無い筈)


 考えれば考える程、細かく見ても何処に違いがあるか分からない。

 強いて言うなら不気味なほどに身動き一つしていないが、些細な事すぎる。


(まぁ、でもコイツの記憶は覗き見れた訳だ

 にしてもなぁ……ここまで酷い『記憶』は初めてだよ)


 大学ノート(アーム)を広げ、そこに書き込まれた彼の記憶を覗き込む。


 それは生まれてから今に至るまでの彼の足跡。

 そのノートを得るだけで八朝(やとも)使命(オーダー)は完遂される。


 ……筈だった。




■■■ Name:晞蜈螟譛ォィ「ェ ■■■■年■■月■■日(■) ERROR id:CiHs4tTN

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(ははは、ここまで壊れてる奴がいるとはな!

 何だよコレ、サルか何かが脳死しながらキーを打ち込んだんか?)


 この文字列未満の『何か』から、一体何を見出したというのだろうか。

 だが彼は八朝(やとも)の本質に確かに触れながら飲み干すように文字を眺める。


(確かにこれは『七災(どうぞく)』の臭いがしてもおかしくねぇ!)


 十宮(とみや)は口元を吊り上げて敵の姿を捉える。

 大学ノートを片手に、もう一方に持った鉛筆で新しい書き込みを開始する。


 ターゲットであるid:CiHs4tTNの書き込みにアンカーを付けてノートを閉じる。

 成功すれば新しい書き込みが為され『夢想改変(ギフト)』が発動する。


 だが……




 『?? ??(?I??(内部エラ)k??�??L(ーが発生)????~2%(しました)?6』




(あれ、こんなのおかしいな……)


 だが、見た事のないエラーではない。

 これは架空の人物にアンカーを打った時に出てくる、普通のエラーメッセージ。


 ……敵の姿は見えているのに何故か実体が存在しない。


(どうしてだ……? 何度やっても同じ……!)


 細かくメッセージは変わっていくが、エラーには変わりない。

 無論、ターゲットにした八朝(やとも)もこちらに気付かず無反応。


 ……ここで、漸く八朝(やとも)の狙いに気付く。


(コイツ……時間切れを狙ってやがる!?)


 まず、十宮(とみや)が『七災之弐(鳥居印の怪異除け)』より生まれたのなら

 既にそれは八朝(やとも)によって破壊され、黒霧となってしまっている。


 実の所この『黒霧』というのは『七災』の残骸であり

 内部にはこのように異空間が広がっているだけで、時間経過と共に霧散する。


 また十宮(とみや)後遺症(レフト)は『クオリアの崩壊』。

 彼がどんなに言葉を工夫しても、全く相手に伝わらないのはこの為。


 即ち『七災之弐(鳥居印の怪異除け)』の黒霧(ざんがい)は無視するだけで殺せる。

 なのに八朝(やとも)は無視ではなくエラーを返す事で防いでいる、何故か。


(……記憶か!

 俺から絞れるだけ絞るつもりだな!)


 十宮(とみや)は彼の記憶を餌にする書き込みを行う。

 すると今度はエラーメッセージが出ずに、だが新しい書き込みは無い。


 どうやら無視しているだけらしい。


(効いてる、効いてる!

 オラオラ無視してんじゃねーぞ!)


 そして十宮(とみや)が連投を開始する。

 一見意味のない行動に見えなくもないが、これはれっきとした洗脳である。


 即ち彼の書き込む言葉の(コード)に呪詛が仕込まれており

 これを目にすることで相手の意識が徐々に侵され、終には操り人形と化す。


 先程もこのようにして八朝(やとも)から身体の自由を奪った。


(もうすぐ……あとちょっとで……終わり!)


 遂に全く動かなかった八朝(やとも)の身体が一瞬大きく痙攣する。

 これで『夢想操作(ギフト)』は完遂し、八朝(やとも)は意のままの木偶と化した。


「ははははは!

 じゃあ教えてやるよ、でもその前にs……」


 何故か、次の言葉を継ぐ事が出来ない。

 自分の身体が内側から腐り落ちていくような恐怖に震え上がる。


 よく見ると、先程まで八朝(やとも)だと思っていたそれは

 単なる黒雷……即ち死穢を充満させる八雷神(pit)であった事に気付く。


 死の神と縁を結んだことで、呪いを介して死が雪崩れ込んでくる。


「……!?」


 末端から消えてなくなり、大学ノートが滑り落ちる。

 最後の書き込みには八朝(やとも)の名義でこう記されていた。




  識別名(ネーム) : IER-502

   翻訳 : 鳥居印の怪異除け


  適合者 : 十宮義朝(とみやよしとも)

   深度 : 12413014(テラコッタ)

  結節点 : The_〇ape


  STR:? MGI:? DEX:?

  BRK:? CON:? LUK:?


   依代(アーム) : 大学ノート

   能力(ギフト)夢想操作(バックドア)

   縁物 : 四つ葉のクローバー




続きます

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