Case 98-2
2021年10月17日 完成(2時間以上遅刻)
折角助けたのに裏切られ脱出不能になった八朝。
闇の中で十宮と名乗る謎の青年と出会った……
【TIMESTAMP_ERROR ARRAYINDEX_OUTOFBOUNDS】
「閾ェ讌ュ閾ェ蠕励□縺|」縺ヲ縺ョ繝舌?繧ォ」
相変わらず人語になっていないが、穏やかな顔で相槌を打つ。
親身になって話を聞いてくれているように見えるが、彼は『七災』である。
警戒するに越したことは無いが、何故自分は話してしまっているのか。
「……折角異世界人に合わせてやってるのに」
「縺昴l縺後♀蜑阪?譛ャ諤ァ縺?繧」
「異能力者は一括して異常者呼ばわり
奴等の傲慢さにはほとほと呆れるばかりだよ」
「蜷帙b螟ァ讎ゅ□繧医%縺ョ邉冶ウェ驥朱ヮ」
思ってもない言葉が次々と、清らかな水のように自然に。
だから、こんな身勝手な物言いが本当の自分のように思える。
本当にそうなのだろうか?
俺が周りに合わせているのは、情報が欲しいから。
自分が記憶喪失で何も無いから、人の言葉が生命線になっている。
……おかしい、有り得ない。
最早操られていると言われても大して否定できない。
縺昴≧縺?∴縺ー蠖シ縺ョ逡ー閭ス蜉帙??
遒コ縺句香螳ョ縺」縺ヲ蜷榊燕繧り◇縺?◆縺薙→縺
「菴輔□繧井サ頑峩豌励▼縺?※繧る≦縺?◇」
「……」
「菫コ縺ョ閭ス蜉帙?螟「諠ウ謫堺ス
蟷ウ縺溘¥險?縺医?螟「縺九i莠コ繧呈髪驟阪☆繧句鴨」
「縺雁燕縺ョ諱倶ココ縺。繧?s縺ョ譎ゅ?譛?鬮倥□縺」縺溘h」
彼から手渡されたのはサバイバルナイフ。
日常で見る事もない大きな刃物に不思議な感触を覚える。
そして聞いても無いのに、その刃を首筋に当てる。
(まずい、これは……ッ!)
八朝の脳裏にある化物との戦いの記憶が過る。
赤子の姿で女性だけを洗脳し、仲間割れを引き起こして全滅させる。
彼からそれと同じような感触がする。
何故だかは分からない、だが断片化した記憶が叫ぶ。
自分ではない記憶遡行による映像が、彼を超危険人物だと……
「一つ聞いていいか?」
「貎ョ譎ゅ□縺ュ」
「三刀坂にデマ吹き込んで楽しかったか?」
「縺倥c縺よュサ縺ュ」
『言うまでもないでしょ』
固有名の叫びと共に重圧が5段階もすっ飛ばして強くなる。
抗えば骨は疎か筋や血管、いや細胞レベルでバラバラになるかもしれない。
それでも、そんな苦痛に過ぎないと自分に喝を入れて耐える。
「縺ッ?滉ス輔□繧医ヰ繧ア繝「繝ウ縺九h」
「さっきから……何を……ブツブツと……
自己紹介の……時、みたいに……ちゃんと喋れ……よ……ッ!」
「縺輔▲縺輔→豁サ縺ュ繧医ざ繝溘け繧コ縺」
その眼からは抗議の色を感じる。
こちらの声は一方的に聞こえているらしい。
だが、そんな自分の言葉と裏腹にナイフの冷感が強くなる。
あと少しずらせば、あと少し押し付ければ、動脈が破れて回復死となる。
死の瀬戸際で何を思ったのか、八朝は……
『汝は■■の先を行く
即ち白と紫の星々を巡れ!』
そしてナイフが焜炉を介して光輪へと変化し
首筋の怪我も表皮を傷つけるだけで終える事に成功した。
「はぁ……はぁ……」
息を整えている間、もう既に十宮の姿が見えない。
降って湧いた幸運を活用したいと思うが
何故彼の力が消えたのか不明瞭な以上、一時も油断ができない。
(一か八かの賭けだったが、奴は『人』しか操れない
先程のナイフも俺の依代が土台で、ノンシーボも利用しやがった)
ノンシーボ、あるいはノセボ。
プラセボとは逆で、本物を飲んだのに『思い込み』だけで薬効を落とす現象。
大分馴染みの無い言葉だが
これに実験という言葉が加わるとどうだろうか。
例えば、目を塞いだ死刑囚に針を刺し
水の音を聞かせると本当に失血死したという都市伝説。
厳密にはノセボ効果ではないが、人の認識が現実を改変する力。
即ち『七災之弐』とは、そういった力を持つ存在なのだろう。
(……ならば)
再び、あの嫌な視線の感触が戻って来る。
目を閉じて、十宮の次の攻撃に備えようと精神集中する。
続きます
※白と紫:六白金星と九紫火星、つまり数字とカバラの数と掛けた言葉




