Case 97-2
2021年10月12日 完成(2時間以上遅刻)&修正(日時)
再び『七災之弐』の尻尾を掴みに行く。
今回は前日の反省を活かしてスムーズに進んでいった……
【4月26日(日)・朝(11:03) 篠鶴地下遺跡群中層・篠鶴タワー直下エリア】
前回は榑宮を経由する東ルートを用い
陸もまとめて達成しようとしたが、今回は遠回りの西ルートを使う。
引き続き化物に関しては柚月に処理してもらう。
だが、ここに更にひと手間を加える。
『■■』
八朝が霧で丁字路の凶兆を探る。
右ルートから『高下駄』『歯車』『灯杖・待針』。
それぞれ『幻惑』『突破』『悲嘆』を意味するものである。
「遠回りになるルートは?」
「右だな……で、どっちを選ぶわけだ?」
「無論、正面突破だ」
目生が面を食らっている間に三刀坂に壁の破壊を頼む。
騎士槍で吹き飛ばした壁の向こうに暗い通路が続いていた。
念の為にその先も調べるが『手鏡』、即ち東である事を示していた。
目立った凶兆が無いので破壊跡を輪で隠す。
「……」
「じゃあ先を進もう
暗すぎるのが難点だが、この先に脅威はいない」
「あ、それなら……」
柚月が異能力を詠唱無しで発動する。
無論、斬撃は発生せず杖の先が鬼火のようにゆらゆらと光る。
探索に必要最低限の光量を確保できていた。
「どうした目生?
……ああ、勝手に遺跡を破壊したことは謝罪する」
「そういうことじゃねぇけど、まあいいや
じゃあ、これが終わったら俺がお前をこき使うからな」
「了解した」
引き続き隠し通路を突き進む。
とはいえ未知のエリアである為、霧で凶兆を確認しながらゆっくりと。
何にも出会う事なく、行き止まりに突き当たる。
霧には先程と同じく『歯車』の表示があった。
「これも壊すのか?」
「いや待て……灯杖に変わったからこれは凶兆だ」
即ちソードの8、拘禁や手詰まりを意味する小アルカナである。
だが距離的にこの先が『七災之伍』のエリアで間違いなかった。
「どうするんだ、このまま進めないんじゃどうしようも……」
「いや、俺にはこれがある」
八朝が徐に端末を操作し始める。
それは目生からしても『七災之肆』の連中と同じ動きであった。
即ち、電子魔術の発動に必要なアプリの動作。
「おい、それは……」
「目を瞑ってくれると助かる」
処理を代行する篠鶴機関が七災で隔離されてもデータセンターは残存している。
それに賭けて、この先の脅威を分析する。
表示結果は予想通りの『Mag.28305』と、予想外の『Ace』という化物。
「先に進まなくて正解だった
この向こうは『前の6月』にあった地下ダンジョンの一つ目の大広間だ」
その言葉に三刀坂が明かに嫌な顔をする。
事情の知らない目生に『女性限定で洗脳する化物がいる』と伝える。
それだけで彼もこれ以上進むべきでないと理解してくれた。
「でも収穫は無しじゃん、今からでも……」
「いや、弐が『親衛隊』……つまり遠海神社にあるのは分かった」
「あ、だったらもう解決じゃん」
「いや、七災には『縁物』ギミックがある、それが分かればビンゴだ」
霧を撒いたままヒントが出るのを待つ。
だが、どれだけ経っても歯車と灯杖のパターン以外が発生することは無い。
「……すまん」
「いや、場所が割れたんだから上々でしょ」
「すまんが、親衛隊は一筋縄ではいかない
初見で奴等の策を破らないと勝ち目はない」
「何か手掛かりがあればいいんだが
共通点や、標語、特殊な持ち物とか……」
「ん? 特殊かどうかは分からんが
親衛隊って『三つ葉』の栞を持っているって噂だぞ」
その言葉に何かに気付いた八朝。
端末の手書きメモにある『文様』を書いて目生に見せる。
「それって、こんな感じのか?」
「そうそう、それそれ
原っぱとかで偶に見かける奴だよ、よく分からんけど」
「これは『シロツメグサ』だ」
シロツメグサ、外国ではクローバーと呼ばれる多年草。
この瞬間に七災の共通点に思い至る。
即ち参の『貴船明神』、肆の『魔法の土瓶』
そして弐が『クローバー』なら、肆と同じ隠し方をしている事を意味する。
共通点は『願いを叶えるモノ』
「何だ、そのシロツメグサが何かあるのか?」
「ああ、大アリだ
三つ葉じゃなくて『四つ葉』を持っている奴が『七災之弐』の核だ」
続きます




