表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
485/582

Case 89-6-3

2021年8月27日 完成


 Case 89-5-2にて③を選んだ方はこちらからお読みください


 八朝(やとも)が契約の言葉を叫ぶ。

 その結末は、如何なる未来を引き寄せたのか……




◆◆◆◆◆◆(笳?螺笳?螺笳?螺)




 陥穽から吐き出されるように妖魔の上空へと。

 既に龍脈の気配は蘇っている、斬るべき相手が見えている。


『……ッ!?』


 妖魔の驚愕が見て取れる。

 それは蘇った龍脈に対してなのか異能力者(にんげん)に手を焼いた事か。


 確かにふうちゃんの言った通り、油断こそがこの妖魔を崩す。


『方違……』


 妖魔を殺す必要はない、三刀坂(みとさか)達を殺す手を止めればいい。

 それで後は、奴が唯一残した『敗北』が起爆し、命を落とす。


 妖魔が悪あがきのように拳を握り締める。

 たったそれだけでも流石は『天災の化身』、空気が荒れ狂い始める。


 だがそれもすべてお見通し。


(赤、つぎは橙、そして青、黒……!)


 柚月(ゆづき)の一歩一歩は、まるで雨を避けるが如く。

 陥穽の上から様子を眺める神出来(かんだら)も身体の底から震えを感じる。


 一体どのような鍛錬を積めばあの奇跡に至れるのか。

 少なくとも分かることは一つ、この柚月(ゆづき)に勝さる存在は無い。


 ……紫府大星でさえも。


(みえた、白の重々

 すこしだけ、お借りします!)


 柚月(ゆづき)はいつも通り流れる様な所作で

 杖先にて九星を踏み締め、そこから天地の理を呼び出す。


 或いは彼我の十神、自分と相手の属性の流れ。

 即ち陰陽五行は固定に非ず、物から物へと流れる過程。


 死にゆく庚金と、必要なのは屈曲の命たる乙木。


太白逢星(天庚地乙)!』


 大地に着地し、すぐさま出来立ての龍脈を撓ませる。

 紫府大星の攻撃が消え失せるこの一直線を疾駆する。


 そして(アーム)の先が紫府大星の胸へと到達する。


『ああああああああああ゛ッ!!!!』


 紫府大星は夥しい斬撃(きんぞく)の繁茂に苦しむ。

 胃を裂かれ、臓腑を潰され、両腕は既に泣き別れした。


 だが、その程度で妖魔が死ぬことはまずありえない。


『……おのれ!

 この程度で死ぬと思ったか!』


 紫府大星が叫ぶ、何とも彼女らしくない。

 それだけ余裕が無いのだ、何しろ『核』をちょっとだけ削ったのだから。


 ふうちゃんは三刀坂(みとさか)に攻撃が行かないようにと指示した。

 それは正しい、何故なら自分の方が妖魔の殺し方に知悉している。


 同時に、妖魔との戦い方も熟知している事も意味する。


『我が核を掠めるだけとは何たる侮辱

 貴様だけは生かしておけぬぞ、天ヶ井柚月(あまがいゆづき)!』


『妖魔殺しの金鼬!』


 そして断ち切られた組織を全て取り戻した紫府大星が

 一転して無防備となった柚月(ゆづき)へと襲い掛かる。


 緑、灰、青、茶、銀、橙……そして白。


 全て分かっていた事だ。

 外ならぬ『自分』が蒔いた種なのだ、動く必要すらない。


『その余裕、一撃にて粉砕して呉れよう!』

柚月(ゆづき)ちゃん!」


 三刀坂(みとさか)達が叫んだその瞬間。




 天を覆う炎の沈降帯(アンカー)が全て元通りとなり

 紫府大星の胸から夥しい量の斬撃(きんぞく)が爆ぜるように咲いた。




『ぐ……ぼぇ……ッ!』




 妖魔が口から渇水の如き血を吹き出す。

 力なく呻き、二歩足をつけた後膝から崩れ落ちた。


 言うまでもない、先程の狂咲が核を微塵に裂いて砕いた。

 この妖魔は間もなく死に至る。


『馬鹿な……! まだ……!』

「残念だが、『外』は既に時間切れであったらしい」


 そこに八朝(やとも)と部長と辻守(つじもり)の姿が見える。

 今から、この怪現象の種明かしに来たのだろう。


 まるで、手品を楽しむ子供のように柚月(ゆづき)が待つ。


「僕の姉さんが全てやった事です

 貴方の周りの時間を『焼却』して意図的に時間の流れを遅くした」

『ふざけるな、そんな屁理屈が人の手なぞ……』


 と言いかけたところで辻守(つじもり)の正体に気付く。

 ああ、間違いない……彼もまた魔や呪に振り回される人間であったからだ。


『認めぬ……認めぬぞ!

 成り損ないなら兎も角、魔の生贄なぞに……!』


 妖魔が一歩、二歩、確実に殺すために近づく。

 だがその度に、6割程の肉体を崩壊させながら……


 結末は目に見えていた。


「ああ、妖魔(おまえ)の完敗だ……受け入れろ」

『……ッ!』


 ならば風圧で微塵にしようと右手を握り締める。

 まるで気に入らない砂の城を壊すような妖魔の殴打。


 だが、その為に踏み締めた3歩目が命取り。

 暴風の殴打は途中で実体を失くし、ぼろぼろと崩れ去る。


 そして八朝(やとも)には微風だけが叩きつけられた。


『ふうちゃん!』


 万感の思いで八朝(やとも)へと飛び込む。

 無事であったこと、それが全てを証明したのである。


 もう八朝(やとも)はあの『地獄の島』の呪縛から解放されたのだと。




「ああ、これで全てが終わった

 ではいつものように家に帰るとするか」




◆◇◆◇◆◇




 NOW_LOADING




Interest RAT

  Chapter 89-d3   因果 - Karma




END

これにてCase89、妖魔の終焉の回を終了いたします


さて、こちららが一見して正解のルートだと思ったそこの貴方!

特に言うことはありませんが、まあそういうことです。


そういえば『妖精の加護』みたいな事を口にしていましたよね?

妖精といえばエリス、その加護と言えばやはり妖精魔術……


それでは明日のCase 90-0-3をお待ちください

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ