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Case 07-10-2

Case07-9にて②を選んだ方はこちらからお読みください


2020年5月15日 完成

2020年8月7日  異能力情報を更新

2021年1月26日 ノベルアップ+版と同期

2021年2月9日  ノベルアップ+版と修正内容を同期


「すまん……本当は今すぐにでも加勢してもらいたいぐらいだ」




 恥も外聞もなく助けを求める八朝(やとも)

 それを聞いた鹿室(かむろ)が呆れたように溜息を吐き、しばらくは無言が続いた。


『……仕方ないですね

 それで今どこにいるんですか?』


「待て、何故そうなる」

『と言いますと?』

「いや、もうお前にメリットが無いのに……」

『へぇ、君はメリットが無いと友達ですら助けないんですか』


 そう聞いて絶句する。

 確かに心無い態度ではあるのだが、それでもある違和感が拭えない。


「そこまで親しかったか? 俺らって……」


『……それが知りたいんでしたら早く思い出してください。

 僕が助けに来るまでにしてくれたら有難いです』


 ここで通話が途切れた。

 すると肩をポンと叩かれた。


三刀坂(みとさか)か? いつの間に……」

「さっきアレにぶっ飛ばされたのよ、全く何なのよあの能力は」

「アレは恐らく『オズの魔法使い』で出てくる銀の靴の力だ。

 何故竜巻も一緒に発動しているのかが分からないが……」


 と、ここで記憶遡行の頭痛が八朝(やとも)を襲う。

 必死に呼びかけてくる三刀坂(みとさか)の姿が霞んでいく代わりに、ある情景が浮かび上がる。


 女の子と老婆が片方のみの銀の靴を狙って戦う情景。

 やがて、女の子が水を掛けて魔女を溶かしたことで事で終焉を迎える。


 そしてもう一つ、あの悪魔(オズ)には足が無かった。

 しかもその体を砂のゴーレムで構築しているという事は……


八朝(やとも)君!」

「!?

 すまん……呆けてしまって」

「でもこれで思いついたんでしょ? アレを倒す方法」

「な……」


 一瞬何も言えなくなったが、直ぐに頭を切り替えて今見えたイメージの話をする。

 三刀坂(みとさか)があまりにも真剣に話を聞くものだから、つい疑問を口にしてしまう。


「本当に信じても良いのか?

 今のところ予想を外しまくってる俺の与太話なんかを……」

「ん、当たり前じゃん

 八朝(やとも)君が頭を痛めて得たアイデアだし、試してみるのもアリかなーって」


 指を立てて自信有り気に言い切る三刀坂(みとさか)

 

「あれ? そういえばさっきから全然攻撃が……」

「ああ、そろそろエリスが依代(samek)を使い切る、そしたら攻撃が……ッ!」


 突然依代(アーム)が砕かれる苦痛に呻く八朝(やとも)

 そして目の前に混乱(samk)から解かれた嵐の壁が悪魔(オズ)と化した新入りを連れて出現する。


「ッ!

 エリスちゃん! 二人を守って!」

『あいさー!』


 もう魔力の無い筈のエリスが初速度更新魔術(アクアグラム1)で一気にこちらに向かってくる。

 同時に三刀坂(みとさか)が振り上げた騎士槍が、先ほどに比べてやや短くなって先端が白くなっている。


「な……まさかお前……!」

「話は後!

 私が時間を稼ぐから八朝(やとも)君は八朝(やとも)君ができる事をやってて!」


 その場で振り下ろし、冠水を大きく跳ね飛ばす。

 悪魔(オズ)八朝(やとも)が指摘した様に水を嫌って(・・・・・)再び嵐の壁を展開する。


 三刀坂(みとさか)は騎士槍の先端を地面に付かないよう冠水に突き刺す。


『命無き汝に百五十の息吹を与う

 (悪魔)は去れど、やがて青銅の咎にて沈む』


 辰之中を覆う冠水が丸ごと捲れ上がり、やがて雨となって降り注ぐ。

 嵐の壁も本来の力(瞬間移動)を発動させず、水を弾き続けている。


 その代わりに騎士槍が砕け散り、三刀坂(みとさか)から意識が失われる。


 確かに時間を作ってくれたのだが、八朝(やとも)にはこれ以上思い出すものが何もない。

 頭を抱える八朝(やとも)の元にエリスがようやくたどり着く。


「エリス、早速だが今何時だ?」

『ん……えっとね、20時33分』

「は?」

『いやだって! あれ……でもまで17時ぐらいなのに時計が……』


 そこで漸く八朝(やとも)がある事を思い出す。

 辻守(つじもり)(姉)に体感時間を遅れさせる契約を結んだこと、そして……


「ふぅ、もう雨はやみましたね小癪な」

「ああ、ついでに俺らの話も聞いたか?」

「はて雨の音でさっぱりでしたが、今が午後8時だって? あり得ないなぁ!」

「ああ、俺もそう思いたい

 だが、フォレストラットを見てみろ」


 上を指し、円形に広がる監視ドローン群(フォレストラット)を確認させる。

 酉方に赤い光、午方に青い光……即ち時計がそう指すように20時30分代にあることを告げている。


「……それが……どうしたのですか……!

 僕に恥をかかせた所で落とし前に貴方の首を円卓に投げてやれば万事解決です!」


「残念ながらそうはいかない

 お前、さっきオセを召喚したと言ったな?」


「ええ、もうありませんがね!」


「俺にも悪魔が味方していると言ったら?」


「あり得ない!

 この世界にはゲーティアも東照宮も存在しない、故にお前の猿知恵を出し抜けられた」


 それが答え合わせであった。

 鳴下(なりもと)達に言った丑寅の鬼が存在せず、彼女らに苦戦を強いてしまい、そして八朝(やとも)達も悪魔(オズ)の降臨にまんまと加担させられてしまった。


「ああ、そうさ。 でも何故存在しないのか考えた事は無かったのか?」

「そんなの必要ない、無から有は生まれない」

「そうか……じゃあお前の敗北が決まった」

「抜かせ! 死ぬしか能の無い亡霊アンデッド風情が!」


 再び嵐の壁が迫る。

 今度は八朝(やとも)を粉砕しようと荒れ狂う。


「……契約は果たしたぞ、フラウロス」

『ああ、確かに受理した』


 嵐の壁が突如炎上し、浮上しようとした悪魔(オズ)の姿を白日の下に晒す。


八朝やともさーん!」


 手を振る辻守(つじもり)(弟)に手を振って応える。


「遅かったじゃねーか」

「すみません、なんか空間が滅茶苦茶になってたけどついさっきそれが無くなって……」


 どうやら水星の魔方陣を焼き払ったのだろう。

 その犯人である辻守姉(フラウロス)の方に振り向く。


『おう、18人の御馳走なんぞ眉唾だと思っていたが……

 まさか、燃え残し(ゲーティア)がいたとはこいつぁ傑作だな!』


「ああ、これで十分か?」


『十分も何も、お前から取り立てるのを忘れるぐらいに愉快だよ全く』


 辻守(つじもり)(姉)に睨まれた悪魔(オズ)がカエルのように凍り付いて動かない。


「ば、馬鹿な!? お前らはまんまと聖人(エリヤ)の相手をしていた筈!?」

『あ? やっぱそうだったか……どうしたっけなー……晴斗?』

「うん、焼き殺したよ」


 今度こそ悪魔(オズ)が言葉を失ってしまった。

 本来なら悪魔を倒せるはずの聖人が、こうして悪魔に敗北を喫してしまう異常事態に混乱を極める。


『ゲーティアは俺だけなのにお前がいちまうと困るんだよなぁ。

 つー訳で、今度こそきっちり焼かれて(死んで)くれや』


 成す術なく悪魔(オズ)悪魔(フラウロス)の炎に焼き尽くされ、後は素っ裸になった新入りが転がされたのであった。




【翌日 10時20分 篠鶴学園高等部・廊下】




「で、結局失敗した訳だ」

「……」


 掌藤(たなふじ)八朝(やとも)の報告をバッサリと切り捨てる。

 報告通り幹部級はこうして制圧に成功したが、いかんせん人が多過ぎた。


 残敵を掌藤(たなふじ)能力(妖精)であしらい続けていたという。


「お陰でデートに集中できなかったじゃねーかよ……」

「ああ、用意はある」


 なけなしのへそくりから調達した数千円で手を打ってもらおうとするが、その手を叩き落されてしまう。

 だが、それ以上は何も言ってこない


「それじゃあ」

「待て、あたしの話はまだ終わって無いんだが?」


 掌藤(たなふじ)が落とされた紙幣を拾うと、バッグから出されたカードとメモと一緒に八朝(やとも)に押し付ける。


「……失敗したのにか?」

「ああ、失敗したから金は払わん。それだけさ」


 恐らく稀有な掌藤(たなふじ)の厚意を無下にすることはできず、それらすべてを受け取る。


「これは……月の館の入館証か」

「ああ、そうさ」

「何かあるのか?」

「ああ、お前の記憶に関わる手がかりだ」


「何でもソイツは会った事の無いお前の事を知っているなんていう噂なんでな」


 掌藤(たなふじ)は手をひらひらさせてそのまま教室に戻っていった。


(406号室……)


 八朝(やとも)はようやく掴んだ有力な手掛かりを離すまいと固く握りしめた。




◆◇◆◇◆◇




 使用者(ユーザー):谷座元也

 誕生日:4月13日

 

 固有名(スペル)Plamkf(プランクフ)

 制御番号(ハンド)Nom.152236(グラフィアス)

 種別(タイプ)  :X・UMBRAE


  STR:1 MGI:0 DEX:1

  BRK:2 CON:4 LUK:1


 依代(アーム)  :結界・水星の魔方陣

 能力(ギフト)  :ゴーレム生成・操作

 後遺症(レフト) :脱力発作


 備考

  ・闇属性電子魔術(グラムアンブラ)・『灰霊』

   特定概念を核に、その関連物を残らず召喚する

   その態様はソロモン王の魔術における『召喚』に似る


   デフォルトでは3つ目(プレイオネ)級となる




■■■■■■■■ ■■■


  ■■■■■■■ 07-a   偽神 - Pseudo Tei




END

数分ぶりです、斑々暖炉でございます


おめでとうございます

こちらが正解のルートになります


如何でしたでしょうか?

主人公の八朝君は正直言うと弱いです

クッソ弱いです


でも能力はチートなので

他の人に頼る事で真価を発揮しようとします


それで良しとするか否とするかはご想像にお任せいたします



え? Case7長すぎ?


……マジですんませんでした

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