Case 85-5-2
2021年8月6日 完成(58分遅刻)
Case85-4にて②を選んだ方はこちらからどうぞ
意を決して敗北することを決断する。
だが、下手をすれば先程のように身体を砕かれ……
【3月13日(金)・七ツ半(5:06) 『ウラ』・鬼里邸】
「……ッ!!!」
歯を食いしばる、だがそれも気休め。
腹に刺さった一撃は、息をもつかぬ速さで全身の血流をが逆にする。
あらゆる臓器が自らの血で食い破られ、苦悶に喘ぐ。
「ぐが……ぁぁぁあああああ!」
「■■■■■■!」
それでも破損した依代を直そうと龍脈伝いに魔力が流し込まれる。
ゆっくりではあるが、生き地獄の多臓器不全の苦痛が遠のいていく。
気がついた時には日がもう出ていた。
「……俺は」
「あっ、ようやく気がついた!」
鍵宮の満面の笑みが視界に映る。
そういえば、俺は確かに退魔師に負けて……
『■■』
灯杖を三つ出してみる、身体に痛みが無い。
突然の行動に驚いた鍵宮が頬を膨らませている。
「いきなりどうしたのよ!」
「いや、妖魔化が解けている……」
「当たり前だよ!
キミの天象石は……あれ?」
そう言って鍵宮が鞄を弄っている。
どうやら『天象石』という名前から
妖魔を妖魔たらしめる天象を封じ込めるアイテムなのだと察する。
「ない……ない!」
「無いと問題があるのか?」
「あるよ! 他の人間が埋め込んだら忽ち妖魔化しちゃうも……」
「何かやったの?」
そこに騒ぎを聞きつけた間割がやって来る。
しどろもどろで説明を受けているが、興味無さそうな顔をしている。
「で、この嘘八百に付き合えないけど、キミは?」
「……天象石を失くしたらしい」
鍵宮が反応するも既に遅く
鬼の形相の間割に向かって『ごめんなさい』と全力で謝る。
間割は眉間を揉んで溜息を吐く。
「別に怒ってないわ、嘘を吐かれたのが虫唾なだけで」
「怒ってるじゃん!」
「話を聞きなさい
確かに天象石が渡るのは大事だけど、そう簡単には妖魔にはなれない」
鍵宮がきょとんとした顔をしていた。
だが、八朝は親衛隊最後の事件で何となく察していた。
「適性が無いと龍脈が枯れ果てて死ぬんだろ?」
「ええ、よく知っていたね」
「まぁ、似たような事件があったからな……」
そういえば偽天使の石の一件はどうなったのか。
三刀坂達が止めてくれているのなら良いのだが果たして……
「それで、まだ貴方は試練を終了していない」
「……」
「もう一度聞くわ、本当に挑む気なの?」
愚問だった。
妖魔化が異能力者に力を与える代わりに、その体を破壊する。
「ああ、奴の計画は確実に止める」
「だがどうやって篠鶴市に帰るつもりだ?」
「それは奴の残した『霧』を使う
奴が黄と篠鶴を繋げている内にな」
間割は『ふむ』と一言漏らす。
どうやら感触は悪くないらしく、更に畳み掛ける事にする。
「それに安心しろ、奴に勝つための術は……」
「ああ、それは結構だ
昨晩の戦いで嫌という程に体感した」
「座山挨星歩、これで可能性はゼロではなくなった」
意外な返しに今度は八朝が固まる番であった。
鍵宮が手を引きベッドから立たせ、間割が背中を叩く。
「さあ、時間は残り少ない
だが安心しろ、睡眠に関しては我々の総力で実現させておいた」
そういえば身体の節々に痛みが無く、思考能力に鈍さもない。
一言礼を言って、そのまま鬼里邸を後にした……
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Interest RAT
Chapter 85-d 解呪 - Dispelling
END
これにてCase85、目標達成の回を終了いたします
これでようやく妖魔化とオサラバできてスタートライン
続いては約40時間以内に『帰還』『合流』そして『対決』と……
何か忘れていることはありませんか?
ありません、そうですか……確かに『ありません』ですからね
次回は『霧の道行き』
それでは引き続きよろしくお願いいたします




