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Case 85-1:『文字魔術』&『統一理論』

2021年8月2日 完成(2時間以上遅刻)

2021年8月5日 ストーリー修正


 妖魔より人に戻った鬼里姉妹の話を聞くが退魔師に負ける必要がある。

 そして、肝心の退魔師は八朝(やとも)を篠鶴市に返さないと言い放ち……




【3月13日(金)・九ツ半(1:09) 『ウラ』・鬼里邸】




「邪魔するのなら、打ち砕く」


 そう言って八朝(やとも)■■(taw)柚月(ゆづき)を実体化させ

 残り2枠を■■(pit)の雷で身に纏う。


 それでも、対峙する退魔師(ちじん)を思って一言漏らす。


「……俺は通さない、そう言ったよな?」

「そうだ」

「だったら俺以外はどうだ?」


 退魔師の一人、間割(まわり)が『ふむ』と考え込む。

 対して鍵宮(かぎのみや)は笑い飛ばしながら、ドスの利いた声で代弁する。




「そう言っている時点で妖魔でしかないんだよねぇ!!!」




 鍵宮(かぎのみや)が投げ放った石にはk(ケン)の一字。

 即ち『灯火』や『腫物』を意味するルーン魔術。


『汝は遡り犠牲(Tiphereth)の元へと歩む、即ち■■(nahs)と為す!』


 『麻痺(pit)』の一方を『即死(nahs)』へと変え

 それを象徴する旗で石を叩き落とす。


 即ち、生命力を根底にするk(ケン)即死(nahs)によって黙らせる。


「ふうん、やるようになったじゃん!」


 すぐさま(nahs)(taw)へと変え、エリスに障壁魔術を使わせる。

 その間に確認したのは苗木(mem)手鏡(haw)灯杖(alp)……だが相手は文字(ルーン)魔術師である。


 即ち、人間(マン)猛牛(ウル)神託(アンス)……勇士による突撃。


『くっ……!』


 障壁に何重もの衝撃が浸徹してくる。

 その度に複数の障壁が砕け散り、それがまさか人の拳だとは夢にも思うまい。


 だがそれ以上に、彼女の攻撃がどことなく『魔術』というよりも修験道に近く……


「あれー? もしかして忘れちゃったの?

 わたしがぁ、ルーン以外も使える文字魔術師だってさ!!」

「……ッ!」


 八朝(やとも)がすぐさま『挨星歩』の構えで警戒しようにも

 目を閉じても彼女から一切の魔の気配が漂ってこない。


 それもその筈、彼女の言う通りルーンによる強化ではなく

 遍く諸仏に誓願の成就を唱える三つの聖音、即ち阿吽(aum)の一声。


方違・青竜折脚(天甲地辛)!」


 目の前を柚月(ゆづき)の折れ曲がった斬撃が阻む。

 危険を察知した鍵宮(かぎのみや)が後退し、錫杖を持ち出したときは既に柚月(ゆづき)の二撃目が待っていた。


 即ち、『(かぶせ)る』力を(pit)に掛け、その動きから『(きざ)む』力を抽出。

 それを錫杖へと(かぶ)せ直し、鍵宮(かぎのみや)への斬撃へと変換する。


「よそ見している場合じゃないよ」


 続いて八朝(やとも)間割(まわり)からの奇妙な攻撃を受けて吹き飛ばされる。

 こうして八朝(やとも)柚月(ゆづき)が鮮やかに分断されてしまう。


『ふうちゃん!?』

「……エリスは柚月(ゆづき)の援護をしてくれ!」

『でも……ッ!』


 起き上がろうとしたところに、まるで瞬間移動したかのような間割(まわり)のアームハンマーが炸裂する。

 だが、一瞬の判断で八朝(やとも)を粉砕する一撃は虚しく大地を陥没させるだけとなった。


「俺の事は気にするな!

 お前らが戻ってくるまで耐え続ける!!」


 だが間断なく間割(まわり)からの連撃が襲い掛かる。

 それでもエリスは指示通り柚月(ゆづき)の元へと飛んで行った。


 それらを目を閉じて、微かな龍脈を頼りに躱し続ける……それでも基礎体力の差が徐々に現れ始める。


「……ッ!」

「良く動くようになった

 悔しいが、それを教えた師匠の方が優秀であるらしい……だが」


「怠けの代償は高くつくと思え」


 とうとう鈍った足の動きを捉えられ

 無防備な腹に向かって岩砕きの一撃が飛び込んできた。


 耐えられず、中空に放り出されたのち、崩れ落ちるように膝をつく。


「……何だそれは、面白い技があるな」

「教える余裕が……あるとでも……?」

「いやいい、あの一撃でお前の五臓を粉砕するつもりだった

 だがそうもいかない……恐らくはあの少女の技の一つだろうよ」


 まさか、絡みつく龍脈による抵抗……遂水桃花(天壬地乙)の奥義が看破されるとは。

 改めて最初に自分を導いた退魔師たちとの彼我の差を思い知る。


 それ以上に間割(まわり)の表情が変である。

 何処か楽しんでいるような、そんな余裕の表情が事態の深刻さを痛感させる。


「成程、あの少女の咄嗟の判断には舌を巻いた

 確かにお前の構えでは文字魔術に適う道理が無い」

「だったら何だ?」


「つまり、こういう事だ」


 間割(まわり)が猛然と近づいて、八朝(やとも)の足甲を踏み抜こうとする。

 だが八朝(やとも)は避けることなくそのまま自分の足を犠牲にする。


「……ッ!」


 だが、苦しそうな顔をしたのは間割(まわり)もであった。

 そのまま間割(まわり)が後退し体勢を立て直す事で仕切り直しとなる。


 相手はまだ何が起きたのか察していないようだ。


(……何だ、様子がおかしいぞ?)


 だが疑問を噛みつぶして八朝(やとも)が先に動く。

 異能力の自然回復を超える妖魔のそれで砕けた足甲を元に戻し、ふらふらと前へ。


 だが、相手はその一歩一歩を正確に捉えることができない。

 これは『挨星歩』の原型たる反閇のもう一つのパターン、天蓬でなく北斗を踏む套路。


「ッ!」


 間割(まわり)は何が何だか分からず、突然現れた八朝(やとも)の回し蹴りを受け止める。

 只の蹴りではありえない『穢れ』の衝撃に、口元を歪ませてまだ楽しもうとする……


続きます

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