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Case 07-7

2020年 5月15日 投稿

2020年 7月16日 第一次改修完了

2021年1月26日 ノベルアップ+版と同期


【同日15時15分 篠鶴駅構内・3F吹き抜け通路】




 次なる作戦目的地点の吹き抜け通路に近づく。

 吹き抜けという構造上『下からの奇襲』を予想しているポイントであるが、予想が的中する。


 通路の中ほどで八朝(やとも)達は羽根の驟雨を受ける。


『大丈夫だった?』

「ああ、助かった」


 エリスの軽口じみた気遣いに返し、羽根の降ってきた方を見ると中空を泳ぐイルカの姿が目に映る。

 こちらに向き直り、頬を膨らませると二回目の『驟雨』を炸裂させる。


『貴方……この状態で『離脱』なんてできますの!?』

「できるさ、柚月(ゆづき)……!」


 そうして再び披露されるのは方違・火焼赤壁(天戊地丁)の斬撃砲……西榑宮(にしくれのみや)のモールにて触手(Ekaawhs)(Edrumn)を撃破した『突き』による機銃掃射。

 イルカの身体が虫で食われるように損なわれ、抵抗するように再生していく中、4人は『下から』の奇襲の事をうっかりと忘れてしまう。


「な……!?」


 天ヶ井(あまがい)妹の身体が宙に浮く、もう一人の翼の生えた異能力者によって中空に(かどわか)され、イルカの口の中に放り込まれそうになる。


 だが、それは悪手であった。


方違・干合孛師(天辛地丙)


 爆発した。


 急速に広がった斬撃の網にイルカと翼人の身体がバラバラに引き裂かれて成す術なく落下する。

 彼らは異能力者である為この程度では死ぬ事は無いが、砕かれた身体と依代(アーム)が再生する間は昏々と意識を失い続ける。


 そのまま着地した天ヶ井(あまがい)の視線の先に、奇妙な大男が立ち塞がっていた。


鳴下(なりもと)柚月(ゆづき)……後は頼んだ」

「ハッ! させるかよォ!」


 大男の姿が消し飛び、その足元に広がる水が爆発した。

 一歩にて距離を0にまで詰めた大男の攻撃は、辰之中より脱出した八朝(やとも)三刀坂(みとさか)には届かず、更に勘で予見し腰を低くした天ヶ井(あまがい)妹の頭上を(かす)める。


 間違いなくあの膂力であれば『昨日のニュース』のように人体をトマトのように潰せるだろう。

 彼こそが親衛隊の三本の柱のうちの一人、鉄砲玉と自称する飼葉倉次(かいばくらつぐ)である。


「成程面白いな、では……」


 天ヶ井(あまがい)の薙ぎ払いが空しく外れ、その後方10m先に再び大男の姿が現れる。

 RAT(端末)を弄って自らも辰之中から脱出しようとしたが、八朝(やとも)達の脱出と合わせるように仕掛けた決闘モードが脱出コマンドを無効化する。


「いつも通り殺すとするか」


 大男は役に立たないRAT(端末)を握り潰して、宣言通り『全方向』からのラッシュを仕掛ける。




 その後は一進一退の攻防が続いた。


 鉄砲玉こと飼葉(かいば)が仕掛ける攻撃は次々と外れ、その間隙を縫うように天ヶ井(あまがい)妹の斬撃が飼葉(かいば)の喉元を掠めていく。

 成程、確かにその膂力と鋼鉄の如き硬さの身体は鬼と言っても差し支えは無いが、それにしては速すぎる。


 所々で鳴下(なりもと)の神経掌握毒によって回避せねばならぬ場面が存在する程、あの男の攻撃は速い。


「そこの蛇女! 我等の側に付かないか?」

『わ……私ですの!?』


「そうだお前だ……

 お前であれば我等と気が合う」


(わたくし)貴方方(あなたがた)の事なんて……』


「わからない……?

 いや、今に分かるさ……ところで今しがたお前らが倒した2人であるが、あれらも畜生変化の後遺症(レフト)持ちだ」


 その言葉にハッと息を呑む鳴下(なりもと)

 ありとあらゆる制御を無視して動物に変化してしまう畜生変化は後遺症(レフト)の中でも重症例の一つとして数えられる。


「我等はこの忌まわしき後遺症(レフト)を克服する為に掌藤親衛隊に入った。

 リーダーより紹介された赤い石の青年によってこのような『解決』を見る事となり以来忠誠を誓った」


 バラバラになった翼人とイルカに赤い石をかざす飼葉(かいば)

 その身体が元の人間のものへと戻るのを確認すると、彼らのRAT(端末)を弄って辰之中から脱出させる。


「我等は畜生同士助け合いながら生きる、そして未来の同胞もまた救済対象だ」


 赤い石を差し出して鳴下(なりもと)を勧誘する飼葉(かいば)

 少し逡巡した鳴下(なりもと)はある違和感に気付き質問を投げかける。


「昨日の殺人事件は貴方の仕業ですの?」

「良く分かったな……その通りだ同胞」

「何故殺したのですの?」


「そこは何故解さない?

 単純な事だ……差別を好み霊長を騙る猿畜生共は駆除対象だろう?」


 残酷な言葉に息を呑む鳴下(なりもと)

 それでも飼葉(かいば)の本質を見誤らないよう感情を抑える。


「じゃあ残された天ヶ井(あまがい)さんはどうするつもりですの」


「その賢さは評価しよう。

 だが、(さかき)の一字とは『目を潰された臣下』であると知るがよい……同胞よ」


 唐突に自分の右手で目を塞ぎ、左手で左耳を塞ぐ飼葉(かいば)


 そして、世界から光と音が失われる。


(なっ……!?

 この能力は一体なんですの!?)


 事前に伝え聞いた鬼の特徴とは合わない数々の異能。

 少々抜けている八朝(やとも)に文句を言う前に全身に衝撃が入る。


(ごめんなさい……天ヶ井(あまがい)さん……)


お久しぶりです、斑々暖炉でございます。

多分貴方が訝しんでいる通り、それしか言っていない気がする……


今回のお話はDEADEND1と分岐いたしま(せん、Case07-10までお待ちください)

分かりやすい伏線を何度も投げときましたので

ちゃんと継続の方の分岐が選べると思います()


今更なのですが

こうして眺めるとどうしてこんなクソ長い物語書いちまったんだろうなぁ()

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