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Case 80-5-1

2021年7月11日 完成


 Case80-4にて①を選んだ方はこちらからお読みください


 飯綱(いづな)の言葉通りに正面突破を選ぶ。

 結果的に三刀坂(みとさか)に嘘をつく形となってしまった……




【2月22日(土)・朝(6:33) 鳴下地区・鳴下駅東口】




「この先は私有地だ、回れ右して帰りな」


 鳴下(なりもと)本家へと通じる道はこの鳴下駅東口のみ。

 ここにはこの駅創業当時から変わっていない『守衛』が出口を守っているという。


 即ち篠鶴七不思議の第二・不老不死の双子守衛。


 錫沢(すずさわ)の十八番が殿様の鳴下(なりもと)にもある不思議は

 現当主が為した『他二家の技術を保存する』という企みの副産物としてこのような形となった。


「俺達はその先に用がある、通してもらう」

「……異能力者のようだな?

 貴様らの如き賤しい輩に踏める土ではないと知るがいい」


 守衛は背中に掛けていた弓を構える。

 鳴下(なりもと)読書鳴弦(かぐら)に矢は不要、音のみで魑魅魍魎を射殺す。


 掛けられた指は八朝(やとも)の命すら引き裂かんと引き絞られる。


■■(taw)!』

「……ッ!」


 二人同時の破魔の音色。

 清冽にして凄絶、先端で押しのけられた魔力が衝撃波となって床を捲り上げる。


 二方向からの波が衝突すると、その地点で波が波を乗り上げて波高が倍以上となる。

 双子守衛はそんな『三角波』を知ってか知らずか、衝突点と八朝(やとも)を寸分の違いなく合わせてきた。


 だが、その目の前に一つの足音が出現した。


方違・干合星奇(天壬地丁)


 少女がそう呟いて三角波を穿ってみせた。

 (アーム)の先端から有り得ざる貫徹力を発しながら、間合いの外の高波に挑む。


 最も威力のある地点でも波に接触できなかった。

 ……代わりに、杖の先端の『貫徹力』のみが独りでに伸びていき、遂に鳴弦の波面に楕円の洞を築いた。


 いや……二つの正円(うろ)の先に双子守衛の姿がくっきりと映し出されている。


「ぐ……あぁぁぁあ!」


 八朝(やとも)を粉砕する筈だった荒波がそよ風に変じた頃

 柚月(ゆづき)方違術(カウンター)を食らった双子守衛が苦しんでいる。


「ば……馬鹿な!

 一体何をしやがったんだ貴様は!?」

「え……えっと……」

「お前じゃない! その男の方だ!!

 お前を呼び出したのはこの際水に流してやる、だが……」




「どうやってあの『殺人剣』を封じやがったんんだ!」




 流石は鳴下の端くれたる洞察……といきたいが彼等も部外者であった。

 或いは現当主の薫陶の賜物が、今しがた八朝(やとも)の仕掛けた罠を看破してみせた。


「……それを教える意味はあるのか?」

「我等の鳴下神楽は門外不出!

 それを貴様がやってみせた……だれがその禁忌を破ったんだ!」


 双子守衛は八朝(やとも)ではなく、八朝(やとも)に神楽を教えた人物へ憎しみを飛ばしていた。

 目の前の相手よりも仕来りの方に興味が向く、これも鳴下(なりもと)が語った本家の悪癖に合致する。


 そんな彼らの憎悪はある一言で恐怖へと塗り替わった。




「無論、わしが教えた」




 駅構内と鳴下の濃い緑の境界線、そこに佇む小さな影。

 曲がった腰は彼女が振り払った『災難』の数々を語り、その身に纏う衣は老衰の気を錬達へと変じさせる。


「と……当主様が!?」

「……やはりお前も覚えてやがったな?」

「お前とは何たる言い面!

 その不敬、万死を以て償い……!」


 静かに手振りのみで制止させる。

 これ以上何か口を挟めば、たとえ身内でも命の保証はない。


 張りつめた空気の中でゆったりと老人が語る。


「ふふ……」

「何が可笑しいんだ?」




「わしが知っているのは人間の八朝(やとも)

 そこにいる妖魔(ゴミムシ)の事なぞ、はて何のことやら」


妖魔(ゴミ)はゴミらしく浮世から掃いて捨てて呉れようかの」




◆◇◆◇◆◇




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Interest RAT

  Chapter 80-d   死線 - Border of xxxx




END

これにてCase80、妖魔の覚醒の回を終了いたします


多分察したかもしれませんが

ここからは『妖魔の世界』でのパートとなります


さて、彼らは無事に人間に戻ることはできるでしょうか?

それとも23日に間に合わずに『彼女』の大破壊を指を咥えて眺める結果になるでしょうか?


その前にvs鳴下家現当主です

魔力殺しの『旱天ひでり』にどう抗うのか?


次回は『殺戮の狐』

それでは引き続き当小説をお楽しみください

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