Case 07-6
2020年4月24日 連載再開・完成
2020年7月16日 Case 07より分割完了
2021年1月26日 ノベルアップ+版と同期
【4月25日・15時10分 篠鶴学園高等部・部室棟2F】
現在八朝は三刀坂と天ヶ井妹。
そして後遺症で蛇に変身してしまい、仕方なく天ヶ井の服に縋りつく鳴下と共に3Fの吹き抜けを掛ける橋に向かって走っている。
そんな様子をエリスの妖精魔術を介して部長がモニターしていた。
そして八朝他二隊の様子も別のホログラムで確認し続ける。
「あら、いらしてたのね」
「……第二異能部が何やらおかしな動きをしていると聞いてな」
それは先日突然部室にやって来た異能部部長であった。
禁戸日次。
第二異能部の部長とは腐れ縁と噂されているいるが真偽は不明のままである。
「これは、裏切者の悪魔か」
「相変わらず名前で呼ばないのね」
「二つ名は我らの誇り、それを拒絶する貴様らこそ正気を疑う」
「単なる病気なのに誇りだなんて面白い冗談ね」
部長の嫌味に全く動じていない。
お互いに相手を理解不能な存在と割り切っての反応であった。
「ほう、あれは円卓ではないか。
万象を招聘せしめる円卓に悪魔とは、酷な事を」
「そうでもないわ。
うちのブレーン曰く、用賀の『裏の異能力』まで完封できる理想的な采配だそうよ」
画面内で虹の紐を火属性電子魔術で焼き続ける辻守姉弟。
傍目から見ても劣勢であった。
「そら見たか、じきに敗走するぞ」
「そうね……確かにこのままだと負けてしまうわね」
「貴様は相変わらず酷薄よな、牛魔」
それを聞いた部長が初めて憎悪の視線を向ける。
禁戸はそんな様子をせせら笑いながらモニター越しの状況を見守る。
使い魔と部下を用いた包囲殲滅戦を、獅子が兎を狩る如しと得心する。
いや、そう思う必要があった。
「でもこの状況は予想通りよ。
何しろ、うちの八朝は『あの場に辻守姉弟のみ残った時点で勝利が確定する』と言い放ったもの」
「何だと……?」
それは二つの意味を含んだ驚愕であった。
八朝が知略に通じていたこと、そしてこの瞬間に用賀の劣勢が確定的になった事だある。
「円卓とはとんだ思い違いのようね。
うちの八朝はアレを『トリグラフ』と呼んでいたわ」
「トリグラフ……?」
トリグラフとは東欧スラヴ地方で信仰されている三位一体の最高神である。
そのうちの一つである雷神ペルーンは、虹を使って人を天に攫っては別のものに変身させて大地に戻すという神話が伝わっている。
また、この神様はキリスト勢力の侵攻以来『預言者エリヤ』に姿を変えて見守っていると注釈されている。
即ち辻守朱音は異邦神たるトリグラフの魔術を防ぐ術を持ち、例えエリヤに姿を変えても聖句を以て迎撃する。
「……と言う感じで、意味はさっぱり分からなかったけど、これを見る限りは本当に正しかったようね」
禁戸は瞠目して円卓の戦線が崩壊していく様子を見守る。
結果は目に見えているので別のモニターに移る事にした。
「こちらは何も映っていないが?」
「ええ、そうよ。
そうすることでフォレストラットよりも遥か上空の『目』を潰しているらしいわ」
「成程、興味深い」
普通の人ならば単なる荒唐無稽で終わったそれを、八朝が次々と示現させていく。
成程彼も『転生者』であったかと今更ながらに気付かされる。
「では不確定要素の『新入り』に挑んだのも亡霊の策略か」
「残念だけど、それは違うわ」
その一言で再び意味が分からなくなる。
八朝側にはあの悪魔と魔王、断罪者、そして現篠鶴機関職員までついているのである。
彼らを使用しないのも何かの秘策なのかと勘繰ってみるも、目の前で一蹴されてしまったという顛末である。
「あの事件を本当に終わらせる、とだけ言っていたわ」
「何だそれは?」
「神出来……夢走に纏わりつく犯罪異能力者」
それを聞いた禁戸が無言で愉悦に浸る。
ああ、やっちまったな……と。
その程度では■■には勝てんぞ、と……
お久しぶりです、斑々暖炉でございます
えー……色々ありまして半年近く更新できませんでしたが
今度こそストックを引っ提げて毎週連載と致します
引き続きゆるりと楽しんでいただけると幸いです
よろしくお願い致します
因みにCase7(5)にて分岐があります(現在はCase07-10)
フラグも既に立てていますので一つ挑戦してみてもいいかもしれません




