Case 07-4
2019年11月05日 完成
2020年5月21日 第一次改修完了
2020年7月16日 第二次改修完了
2021年1月26日 ノベルアップ+版と同期
【同時刻付近 抑川地区・裏路地】
『Wvisfef』
雷とは異なる赤い光が外から射抜かれ、大半の土塊が砂に返される。
だが、前列の数体は崩壊しながらもこちらに襲い掛かって来る。
『■■!!』
八朝が相殺の状態異常を持つ灯杖で突きを放つ。
灯杖と衝突した土塊たちの身体が後ろに吹き飛ばされる。
そこに二度目の凛音が響き、残りの土塊も砂となった。
この固有名を使う者を知っている。
第二異能部の先輩にして、異能力者の天敵とも言える秘術『鳴下神楽』を操るメモ帳2人目の要観察者。
「しっかりしないさいまし!
何ですのこの状況は!?」
重圧以外の破壊の跡を見咎めて吐き捨てる。
だが話し合っている暇はない。
「な……何ですの貴方!?」
「ここから離れる! 三刀坂!!」
「任せて!!」
3人で一斉に屋上から飛び降りる。
着地寸前で三刀坂の重量減少を負数まで発動させて落下の衝撃を抑える。
着地と同時に辰之中を展開させて逃亡ルートを確保しようとする。
「鳴下……どうしてここに……」
「部長からの命令で仕方なくですの。 勘違いしないで」
「いや、でも……」
「二言も三言も多い男性は嫌われますわよ
それよりこれ、犯罪異能力者ですわね」
そう言っている間に隆起が完了し、3階建ての集合住宅に比肩する高さのゴーレムが出現する。
鳴下神楽が異能力を無効化できるなら、それ以上の物量を以て圧し潰すと考えたのだろう。
「危ない!」
続いて辰之中が起動し、廃墟と冠水の異空間が出現する。
だがそこに八朝達とゴーレム以外の姿が無い。
更に八朝達の足元が丸くくり抜かれ、穴に落とされる。
その出口はあのゴーレムさえも豆粒大となる高空であった。
『のぎゃああああ!』
凡そ人間のものとは思えない悲鳴を上げながら落下していく。
「三刀坂!」
「!? 『Libzd』!」
まさか、何も言わず意図が通じるとは思わなかった。
三刀坂の手を伝って、皆の体重が空気と同等になり、ふわりふわりと地面に降下していく。
その間にゴーレム崩壊による土津波が完了し、冠水の一部を押しのけるのみの結果で終わった。
着地した先にさらに二人の人影が見える。
「八朝さん! 辰之中の決戦モードが間に合ってよかった!」
「君は行く先々でトラブルを持ち込んでくるが、疫病神でも取り付いているのか?」
「そんな覚えは無いから九字を切るな鹿室」
あきれ顔の鹿室から当然の質問が差し込まれる。
「これは一体どういう事でしょうか」
【同日19時30分 抑川地区・太陽喫茶テラス席】
この後安全が確保されたのち、全員して太陽喫茶に押しかけてテラス席を占領した。
それから『第二異能部』で上がった依頼と別件(掌藤)の話を洗いざらい吐かされた。
そして、その情報を元に勝手に作戦会議を始められた。
更に天ヶ井姉妹、隣部屋の飯綱さんまで途中参加で混ざって来た。
この時点で親衛隊と八朝側で戦力差が互角となった。
なので議題は分担と相手の異能力の対策であった。
会議の主導を取ったのは部長であった。
電話越しから八朝の情報と推測、集まった戦力を考慮して指示を出していく。
最終的に雨止を鹿室と飯綱が、用賀を辻守姉弟、飼葉を鳴下と天ヶ井柚月が担当することに決まった。
残りの『新入り』については八朝が三刀坂を連れると駄目元で主張すしてみると案外簡単に通ってしまった。
だが、辻守から念を押されるように『闇属性』の噂を聞かされる。
それを以て『新入り』は自分たちが何とかすると決意を新たにした。
因みに、辰之中に意図せず巻き込んだ一般人からの電子魔術乱舞対策として、辻守が異能部時代に使ってた決闘モードの方法も共有されたことも追加しておく。
何とか晩飯の時間よりも早く話がまとまったのでここでお開きとなった。
意外にもうちの近くで住んでいた三刀坂を家の近くまで送る事にした。
「八朝君、変わっちゃったね」
「そうなのか?」
八朝は頭をひねって過去を思い出そうとする。
確かにそう言われることは多いに違いない、だが肝心の記憶が見当たらない。
「うん、昔の八朝君はこんな風にいっぱい友達いなかったし」
「……今一思い出せないな。それに奴ら最後まで俺の話半信半疑で聞いてたぞ」
「別にそんな事も無いと思うけどなー」
珍しく冗談を呟いてみせる。
それが好きそうな三刀坂は……何故か真剣そうな表情でジョークを跳ねのけてしまう。
「でもさ、記憶を取り戻す前に無茶しちゃじゃダメだからね」
「いや……」
「いやもなにも駄目。それだけは約束して」
「私、八朝君が突然いなくなるなんて嫌だから……本当に……」
何故かは分からない、そうしてあげたい気持ちはあるのだが、本能がそれを拒絶する。
しかもその理由が『思い出せない』からではなく『絶対にしてはいけない』という……
そんな命令を植え付けたのは一体……
「分かった。善処する」
考えるのをやめて曖昧に返事する。
いつの間にか三刀坂の表情はいつもの明るいものに戻っていた。
「記憶を失う前の俺と三刀坂は親しい関係だったのか……?」
「え……藪から棒に」
「いや、ふと気になって」
そうではない。
この記憶は『思い出してはいけない』
もう戻れないぞ
「……恋人だったのよ、私達
だから早く思い出してくれたら嬉しいな」
目を閉じて微笑みかける三刀坂から、何一つ表情を読み取ることが出来なかった。
お久しぶりです、斑々暖炉です
……。
2ヶ月も長引かせてすんませんでしたぁぁぁ!!
あと、始めて読む人は初めまして
次からは遅れないよう、祈……努力していく所存です
今回の話は次話への伏線が散りばめられた×日常回 〇戦闘回です
ごゆるりとお楽しみ下さい
次は……1週間以内でオナシャス、センセンシャル
追記:構成を戦闘中心に大幅変更しました
それに伴い■■の異能力が大きくピックアップされました




