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Case 74-3

2021年6月8日 完成


 辻守の扱いを巡って対峙する八朝(やとも)と親衛隊。

 彼の『闇属性』を利用するのか、それとも別の策を示せるのか……




【2月12日(水)・深夜(2:34) 親衛隊のアジト1F・北東フロア】




 八朝(やとも)の宣戦布告により依代(アーム)に力を籠める。


 異能力及び化物(ナイト)との戦いは『数』によって支配されているが

 目の前の異能力者は、その数をいとも簡単にひっくり返す要素を持っていた。


依代(アーム)を治せる力、いや『知識』はその逆すらも……)


 八朝(やとも)は迎撃主軸、親衛隊は攻め手に倦ねて膠着が続く。

 そんな両者を止めたのは辻守(つじもり)の言葉であった。


「待ってください、僕は彼等に協力します」

「……『闇属性』とバレればこれまで通りの生活はできないぞ?」


 その一言に『巻き戻す前』の世界で起きた悲喜交々が乗せられる。

 学園にすら戻れない事を暗に仄めかすが、辻守(つじもり)は力なく笑う。


「いえ、異能部はそうまでしても変えなきゃいけないんですよ

 僕を救ってくれた禁戸(いみど)……いえ、向葉(むくば)部長の為にも」


 その彼の決意には一点の曇りもなかった。

 だが、現状はそんな甘ったれを許す筈が無かった。


「部長の為だって?

 馬鹿馬鹿しい、闇属性に通じているなら皆殺しだろ」

「そうだそうだ

 今こそ十死の諸力フォーティーンフォーセズを根絶やしにして、そして……」


 封印手錠を握り、手を震わせる親衛隊側の異能力者。

 恐らくは『異能力者』というだけで好きだったスポーツを完全否定された者の成れの果て。


 彼等の側にも確かな正義が存在していた。


「根絶やしにして、その後は?」

「何を言ってやがる!

 十死の諸力フォーティーンフォーセズさえいなければ俺達はもう少しマシな……」




「いや、それは不可能であろうな」




 雨止(リーダー)からの思わぬ冷や水に狼狽する親衛隊員。

 彼も衛星(アーム)を起動させているが、何故か狙っている素振りが無かった。


 その理由として彼に授けた『カバラ魔術』の知識である。

 現在の雨止(あめやみ)の異能力はカバラを使用しており、その察知は呼吸するよりも容易い。


 そんな八朝(やとも)の浅ましい包囲網を掻い潜り

 思わぬ一言で動揺させる事に成功した雨止(あめやみ)


「ど、どうしてなのですリーダー!?」

「考えてみたまえ

 我々の現在の世間的な評価は何だね?」

「……ッ! し、新生のテロリスト……です」

「そうだ、我々も十死の諸力(テロリスト)の亜種扱い

 客観的に見たまえ、外野で塵屑同士が殺し合っているだけの現状を」


 この瞬間、幹部以外の親衛隊員が狼狽え始める。

 自身も悪を為しているという現実に耐えられず、口々に絶望の声が漏れ始める。


「だ、だったら俺達は一体何の為に……」

「我らは共通の悪夢を見たのではないのかね?

 篠鶴機関に我らの学園を蹂躙され、そしてその裏にいた悪疫(アポリオン)の姿を」


 トドメに雨止(あめやみ)が奮起させる。

 そうして親衛隊の絆が『使命』という形に再構築される。


 リーダーの肩書が単なるお飾りでない事を示す一幕となった。




No.17(八朝風太)

 そこまで言うのであれば、何か策はあるのだろうね?」




 こうして逃げ道まで封じて改めて問いを投げられる。

 だが、八朝(やとも)も無策で我儘を通した訳ではない。


 それは柚月(ゆづき)を脱走させた際、彼女にある言伝を行っていた。


『できたらでいい

 菜端(なばた)に兄を説得してくれるよう頼んでくれるか?』


 そして柚月(ゆづき)には、これが上手くいったかどうかの報告をして欲しいと頼んだ。

 その結果は、帰ってきたあの一幕で証明された。


左壁(ヘリア)の血縁の者に説得を依頼した

 遅くても数日以内に向こうから話し合いの場が設けられるだろう」


 停戦の兆しに親衛隊員が(アーム)を思わず収めてしまう。

 続いて八朝(やとも)が地べたに座ると、そのまま話し合いが始まった。


「待って、私達を残したままでいいの?」

「……どうなんですか、八朝(やとも)さん?」

「自由にしていい

 但し盗み聞きの方を選ぶなら、こちら側の戦力として見做す事だけは覚えてくれ」


 その一言で部長たちが部屋から退散していく。

 但し、自分で味方側に付くと宣言した辻守(つじもり)はこの場に残った。


「それで今後どうします?

 確かに『特殊装備』は剥がれましたが、向こうの方が多いですよ?」

「いや、これ以上の行動は『血縁』との矛盾を生じかねない」

「そんな……防戦をしろって言ってんのかアンタは!?」


 現在の親衛隊は体力及び食料に問題を抱えている。

 戦の常道で考えるなら、力のあるうちに一発逆転を狙うべきで籠城は悪手に他ならない。


 それに、このアジトの場所が相手に露見すれば一発で終わりかねない。


「いや、籠城はしない

 用賀(ようが)、他に所有している物件はあるか?」

「……元篠鶴機関の研究員を舐めないでいただきたい」


 用賀(ようが)が早速地下通路まで案内してくれる。


 要約するとこの先は『篠鶴地下遺跡群』の立入禁止区域に繋がっており、所々拠点が存在する。

 しかもそこはSectionIによる『五月蠅い忠告』によって機関内からも隠蔽処理が施されている。


「では、我が改めて指令しよう

 話し合いの場が設けられるまで我々はこの地下にて逃亡戦に挑む」


「異論は無いな?」


 雨止(あめやみ)が全員の意識を纏める。

 そうして、各々がその為の準備の為に動き始めた。


「いや、時刻を考えろ

 そろそろ寝ないと明日に支障が起きるぞ?」

続きます


異能力とスポーツの関係についてもAルート(Case1~30)で語っております

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