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Case 07-1:ゴーレムを操る能力

2019年8月17日 完成

2020年5月14日 タイトル名変更(以下冒頭~6-2まで全て適用)

2020年7月16日 Case 07を4000字以内に分割・構成変更

2021年1月26日 ノベルアップ+版と同期


『次のニュースです。

 本日未明、北磯始地区の廃ビルにて変死体が発見されました』

『何れも全身を強く打ち付けられており、身元について篠鶴機関が現在調査中とのことです』




【4月24日8時00分 篠鶴学園・第二異能部部室】




『こんな朝から呼び出しなんて……』


 まるで八朝(やとも)の心の声を代弁したかのようなエリスの呟きが空を切る。

 運動部でもない第二異能部が朝に集まる理由は無く、この場の全員が無言で思索する。


(あの面倒臭がりな部長が珍しいですね……)

(なんですの!

 連絡(メール)が6時なのには目を瞑りますが、肝心の部長が遅刻なんて……!)

(……)


 八朝(やとも)は早朝のニュースの内容を思い出す。

 廃ビルでの変死体発見事件……それ自体は化物(ナイト)の食い残しなどでほぼ毎日発生するが今回は事情が違っていた。


 その場合は『死因は化物(ナイト)によるものとされ』となる筈なのに、ほぼ同じ意味の『全身を強く打ち付ける』である。

 即ち化物(ナイト)以外の外力(・・)で死んでいる事を表す。


(……まさか、あの殺人事件に関わる気では)


 軽率にも殺人事件と断じてしまったが、異能力暴走等の別原因も考えられる。

 そんな中沈黙に耐えられなかった一人が声を上げる。


「ねぇ、いつもこんな調子なの?」

「……本来、第二異能部は部外者立入禁止ですわよ」

「しょうがないじゃん

 今日は八朝(やとも)君に呼ばれたんだし」


 鳴下(なりもと)の睨目が三刀坂(みとさか)から八朝(やとも)に向けられる。


「そうは言っても、この事態だから何が起きてもいいようにな」

「別に、僕に言ってくれたらいつでも手を貸してあげますのに」


 後輩の辻守(つじもり)から熱のこもった返事が来る。

 このノリに慣れていない三刀坂(みとさか)が若干引き気味となる。


 そこに、ようやく寝坊した部長が入って来る。


「全員揃ってるみたいね

 ……若干一人変なのいるけど、どうせ八朝(やとも)の協力者だから問題ないわね」


 部長が寝起き眼のまま資料を全員に配る。

 そして情報整理用のホワイトボードに自分の資料を張り付けていく。


(うわ……本当に追い出されないんだ)

(最初に言った通りだろ)

(いやでもさ、結構いかがわしい言い方だよねそれ)


 八朝(やとも)が『協力者』という言葉を自分勝手に使っている姿を想像する。


 身震いしてしまう様な悍ましさに思わず嫌な顔になる。

 そんな様子を見た三刀坂(みとさか)が呆れたような安心したかのような溜息を吐く。


 そして部長が本題に入る。


「今日集まってもらったのは言うまでも無く今朝の事件の事よ

 被害者が学園の生徒だった訳で、篠鶴機関の要請で異能部も動いているの」


 それだけで、第二異能部(ウチ)で何をしようとしているか部員全員が把握した。

 追いついていない三刀坂(みとさか)が耳打ちしてくる。


(え……なにこれ、分かって無いの私だけ?)

第二異能部(ウチ)の身勝手な因縁だから理解できない方が寧ろ正しいぞ)

(身勝手……?)

(第二異能部のできた外向きの理由(・・・・・)が異能部の残飯処理なんだ

 教職員からぞんざいに扱われる部長が、こうして時折異能部の任務を横取りして意趣返しする訳だ)


 冷静な顔で、過剰な文字数を重ねてこの依頼|(?)の意義を語り続ける。

 大体、今朝のニュースをまともに見ているのは八朝(やとも)ぐらいしかいない。


(……朝練があるし、帰っていいかな?)

(すまん、終わるまでは油断が出来ない……もう少し耐えてくれ)


 そう言った理由が、まもなく部長からの指摘で真実となる。


「これについて全権を八朝(やとも)に委譲するわ」

「へ?」


 突然|(部長にとっては)重要任務を投げ渡されて三刀坂(みとさか)から間の抜けた声が漏れる。

 対して八朝(やとも)は数点ぐらいの質問を用意して部長と対峙する。


「伝手はあるのか?」

「丁度貴方のクラスに掌藤千景(たなふじちかげ)って人がいるわね、昼休みにアポを取っているわ」


 最悪の相手であった。

 想定以上の出費を考えてアルキオネの大魚用(今までの貯蓄)から切り崩す事も視野に入れる必要がある。


「伝手があるって事は、予め犯人の目星は付いているって訳だな?」

「その答えについてはYesだけど、詳細は明かせない約束になっているの」


 と、なると掌藤(たなふじ)の身内……特に『掌藤親衛隊』関係が怪しい。

 最近の彼らはタコ殴りして来た件からも分かる通り、不審な動きが目立つようになってきている。


「最後に、俺に振ったって事はそういう事でいいんだな?」

「寧ろ貴方じゃないとできない仕事ね」


 この瞬間に八朝(やとも)は犯人が誰なのか悟る。


「え……今のどういう事?」

「部の中で俺は一番弱い

 そんな俺に実戦有りの依頼が振られるって事は、間違いなく俺関係の人物に纏わるものだ」


(恐らく、親衛隊の『新入り』だろうな)


 この質問を最後に部長がお開きを宣言した。

 結局授業開始寸前までもつれ込んだ事で、各々がダッシュして教室に帰る羽目となった。


お久しぶりです。斑々暖炉です


(職業訓練と並行しているから遅れたの)許して

今回も微妙に不穏な内容ですが

気にせず楽しんでいただけると有難いです


あと、このシリーズの構成を1話ずつから

1場面ずつ等に変更する為、しばらくお騒がせします

ご了承くださいませ


2020年7月16日追記

まさか本当に1,2場面のみになるとは……

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