=== Lost Data 1 ===
2021年3月10日 完成
2021年3月11日 全体修正
【TIMESTANP_ERROR FileNumber_0x??】
『このファイルは改竄されている可能性があります』
『それでも閲覧しますか?』
→はい 『はい』以外選ばせない
『それでは記録を再生します』
……。
…………。
………………。
我々の計画はつまるところ『願いを叶える神』の作成である。
未だ誰も見たことのない『本物』の神を異能力で以て作成する。
その力を以て、数多の異能力者から『病』を取り去る。
勿論、『軍』というこの上ない協力者も得ている。
真意は不明だが、彼らから齎される知識と技術はいずれも必須。
あの小僧の言う『微生物』ではどうしようもない。
かといって『軍』から紹介された■■■■を頼るのも
正直に言えば癪なのだが、この際仕方がない……
『……』
ああ、全ては君の指摘通りだ。
亡き■■博士の理論通り
『集合海』より沸き上がる声を用いた。
これに『魔力言語』という名を与え
実在の星を用いた『変換』により、彼らに力を与えた。
だが、星と星の間に横たわる帳から
無数の『化物』が沸き上がった。
我々は、助けると言っておきながら
彼らに無数の苦難を与え続けている。
それでも神は『光輪』を得て
第二段階の『石版の天使』となった。
なのに……
何故そこから動かないというのだ?
どうして『大魚』が無いんだ……!
『当然だ
貴方達の計画では神を作れない』
どういう事だ?
『了解可能な『言語』と了解不能な『歓声』……』
『その狭間に無数の『潰れた音』が存在する』
『その中で元に戻せるものを『暗号』、戻せないものを『化け』……』
それが一体どうしたというんだ。
『まぁ、待つが良い』
『我々の見る世界は『母国語』によってある程度構成されている』
『フランス人は『ブリ』も『ハマチ』もを一律で『Queue jaune』と言い
我々も『loska』と『sohjo』を『泥の混じった積雪』としか言わない』
『我々は見たい物を『正しく見る』為に
正しく創世記の記述通り、言語で世界を作っているのだ』
それが一体何なんだと言っている!
そんな『当たり前の事』で世界を変えられるのであれば既にしている!!
それでも神は示現しない!
『ああ、貴方達はそこで失敗している』
何だと……?
『知らぬうちに『潰れた音』を使わせるアイデアは間違っていない』
『だが、その為に律儀にも『あの男』の残した通り
渡れずの横断歩道で遮断し、七含人に失わせた『学問』の利益を託す』
『実態が無いのでは
『潰れた音』となり『神』には届かない』
じゃあどうして『光輪』は……
『魔力の現界漏洩』が起きているんだ!
『それは我々の功績だよ』
どういう事だ?
『『潰れた音』と『潰れた音』の違いとは何だね?』
……実体が
即ち、想起し直せる対象……いや、法則があるかどうか。
『その通り
『実体との相関』があるのが大前提』
『そう、唱えただけで現実を改変する『魔術』のような物が必要だ』
存在するはずがない!
我々はそんなものにそこまで期待していない。
『何を言っている?』
『我々は見たい物を正しく見る為に、言語で世界を作ったと言った』
『我々が『ワン』という声を認識したから、犬は『ワン』と鳴くのだよ』
『同じように
声と魔力が相関する仕組みを作ったのだ』
……それが、電子魔術なのか?
『ここまで聞いたなら、疑問がある筈だ』
『我々の『我儘』に世界が従う理由』
『既存の言葉に置き換えれるような
そんな弱い言語が我々の認識を変えるのはどうしてか』
『だが彼らは忘れている
その『言語』とやらを『誰』から教わったのかを……』
……!!
『樹氷』の遺骸樹……!?
『解決する手段は3つ』
『この世界に無い記憶を記述し
『それ』をこの世界で衆目の下で証明し
そいつが使っていた『言語』を記述する』
七含人じゃ駄目なのか?
『彼らでは駄目だ
この世界の地に足がついていては『無い』とは言えない』
じゃあ何を……
待てよ、まさか……!
『理解が早くて助かるよ
見たまえ、鼠共に蚕食された哀れな犠牲者たちを』
……!?
『このままでは単に死ぬであろう』
『だが、我々の『存在しない記憶』で補完し、こうして生き永らえた』
『あとは彼らにこう囁くのだ
我々の世界を救うために貴方の知恵と力をお貸しください、と』
『それが、貴方の使命なのだと!』
……。
仮に出来たとして、どう制御する?
無差別に願いが叶ったり破棄されたのでは求めている『神』とは言えない。
『制御する必要はない』
何だと……?
『好き勝手に解釈された方が都合がいいのだよ』
『『転生者』は所詮猿の手から生まれた声に過ぎない』
『自らの世界の常識を披露しようとして
逆に『我々の我儘』……即ち貴方達の言う『神』の実在を証明する』
『つまりは『星』ではなく『帳』の方が重要なのだよ
我々の電子魔術が元は『影の言葉』と呼ばれていた通りに……』
認めない。
『はい?』
貴方のやり方では『神』は現れない!
徒に『化物』を増やし、強すぎる電子魔術で異能力者に更なる犠牲を強いる。
これでは『願いの神』ではなく『呪いの神』が生まれるぞ!
『今しがた、その方向性だと丁寧に説明したのだが?』
ああ、分かった。
やはり貴方の力は借りない。
貴方のそれでは『患者』が増えるだけだ。
『その決断、いずれ後悔に至るだろう』
『我々の方が正しいのだ』
『異能力者程度では足りない事に
非能力者も巻き込まないと千年ですら足りない、と』
認めない。
患者は癒されるべきだ。
まやかしの神などではなく
本物の神によってそうされるべきだ。
『瞋なる我らに盲目の安らぎを
瞼を閉じて裡に神を描く
彼の者は言わず、されど聞かず
やがて光を放ち人々を塗潰す
黙示の罰が地に満ちる……』
我々は尊厳を取り戻す。
我々と人は対等な筈なのだ。
彼が残してくれたものは全て利用しよう。
そうして我々は『異能力者だけの世界』を目指す。
『共生都市』などではなく『強制都市』として。
我々を傷つける全ての鈍感なる非能力者達に死の裁きを。
『闇属性電子魔術』の侵略を以て!
Signature and Responsibility:HELIACAL(Acrab the Traitor)
続きます
なお、今回の話は咲良が持っている『証拠』のうちの1つになります




