Case 55-5-1
2021年3月2日 完成
Case55-4にて①を選んだ方はこちらからお読みください
冗談ではない
手掛かりよりも今は人命だ
【ERROR 篠鶴機関・イーサネット】
「っと、ここが篠鶴機関か」
八朝が見たのは崩れ落ちる星の様子と
今は妖精の姿をしているエリスを慈しむ鳴下である。
多分、今は邪魔してはいけないのだろう。
無言で霧を出し、早速異変の調査を始める。
(……雷は今崩壊している様子か
それと歯車、鋏、焜炉、苗木が見える)
これらの共通点はゲブラーを通るパスである事。
その意味は『峻厳』『破壊』『代謝』……いずれにせよマイナスの意味が強い。
恐らくあの星の先は信じられない程の地獄に違いない。
(不幸中の幸いか
或いは、俺らを狙って『裏』を掻こうとしたのだろうか)
後者の方は『人力』が及んでいるのでエリスでは太刀打ちできない。
あまり考えたくは無いが、何とかして対策する必要があった。
(にしても、嫌に執拗だな
まるで篠鶴機関職員とは思え……ない……?)
その瞬間に、ある一つの案が思いつく。
対象の権限を上げて、アクセスできなくさせれば……
そしてその方法と発動条件を八朝達は持っている。
即ち、刑法161条の2『電磁的記録不正作出及び供用』
『勅令を為し、この身に勝利を』
STR:変化なし
備考:
・REVOKE ALL PRIVILEGES ON *.* FROM PUBLIC;
・GRANT ALL PRIVILEGES ON *.* TO ELIS;
この瞬間に次発の『黒箱』が砕け散り、エラーを表すブザー音が鳴り響く。
それと声を出したことで鳴下達にバレてしまう。
「い……いつの間に」
「さっき着いたばっかりだ、所でコレはどうなってるんだ」
取り敢えず鳴下から説明を受ける。
その途中でエリスに耳打ちされる。
(さっきのどうやったの?
あたし以外の操作権限が軒並み無効化されてんだけど……)
エリスには『何となく』と答えて、説明に戻る。
要は赤と青のうち、一番それっぽい赤の方が消されて途方に暮れているとの事である。
「……いや、こっちで合ってるかもしれない」
「どういう事ですの?」
「先程の霧から『魔術師』『隠者』が出た
どっちも知識を意味する表示に対して赤い方は『破壊』一辺倒だった」
八朝はこちらの方が正しいと主張する。
それを証明しに、全員の反対を押し切って単独で青星の方に入る。
すると目の前には同じく何もない虚無の世界が広がっていた。
「エリス、どうだ?」
『合ってる
ここが篠鶴機関のDBだ……!』
という事で紆余曲折はあったが八朝が一番乗りとなった。
だが、1回だけのサンプルで裏ルートが見いだせる訳でもなく
その後も両手の指では数え切れないほど篠鶴機関DBまで走らされる。
「後何回だ?」
『まだちょっと周ってもらわなきゃ』
あの時怒らせたことを心底後悔した。
幸いにも『黒箱』は現れなかったが、疲労度は無視できない。
ルート構築が完了して、現実世界に起き上がる。
「……1分も経ってない?」
『うん、皆の体内時計も調節したからね』
このまま戻っても全員の拍子を抜かすだけなので
取り敢えず1時間ぐらい寝たふりを続けることにする。
その間にエリスによる情報解析が完了した。
そして再び共用スペースに未だ眠っている弘治以外が呼び出され
エリスからの報告を今か今かと待っている。
『全員集まったね
それじゃあ早速だけど『天神御守』の位置は……』
『水瀬神社地下200mにあるよ』
◆◇◆◇◆◇
DATA_COMMIT;
xxxxxxxx xxx
Chapter 55-b 遊走 - Migration
END
これにてCase55、エリスによる電脳世界紀行を終了致します
今回は色々と専門用語をぶっ込みましたが
正直合っている自身は無いので、テキトーに笑い飛ばして頂けると助かります()
さて、赤い星の方は何だったのでしょうか?
どうして『あの領域』に入るだけで『敵』は勝利できるのでしょうか?
何にせよ、彼らはこれで次に進めるようになりました
次回のテーマは『因果応報』
それでは引き続き楽しんで頂けたら幸いです




