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Case 47-1:巨神を作り出す能力

2021年1月17日 完成


 第五層の『呪い(トラップ)』を破り、辰之中から脱出する。

 だが目の前にマスターの姿があった……




【6月12日20時30分 南篠鶴地区・運河公園】




「よぉ、元気そうだな

 みんな心配していたぞ」


 八朝(やとも)達を帰らせる為なのか、背を向き歩き始める。

 だが、その気配が一向に近づいてこないことに気付く。


「どうした

 もう夜も遅いんだ、さっさと……」

「済まないが、俺たちは今から学校に用があるんだ」


 マスターが反論しようとした所で柚月(ゆづき)の顔に気付く。

 八朝(やとも)と同じく決意に満ちた表情で、こちらの意見を無言で拒否していた。


 マスターは頭を掻いて、説得の相手を八朝(やとも)に移す。


「……お前もニュースは見ただろ

 そりゃあ、確かに騙したのは悪いと思っている」

「それとこれとは今回に限って無関係だ

 急がないと三刀坂(みとさか)達が化物(ナイト)に殺される」

「……詳しく話を聞かせろ」


 マスターに『アトラスの塔・第五層』の経緯を話す。

 訳知り顔で聞いていたが、それも当然であった。


 篠鶴機関・SectionI(情報工作課)課長

 それがマスター……天ヶ井政信(あまがいまさのぶ)の肩書であった。


 当然、彼は『アトラスの塔』隠蔽に関わっている。


「……そうか

 お前の制御方式(ハンド)なら『赤い壁』も突破できるだろうな」

制御方式(ハンド)が何だ?」


「お前のSln(スローン)型には『星群型端末制御中枢(ホロスコプス)』との接続が無い

 あの赤い壁は『星群型端末制御中枢(ホロスコプス)』に反応して10万℃を生じさせる仕組みになっている」


 マスターの折角話してくれた裏事情であるが、八朝(やとも)は信用に値しないと心の中で断じる。


 三刀坂(みとさか)の裏道を使えばどんな奴も侵入できる理屈はある。

 だが、今のマスターの顔に何故か『見覚え』があった。


 それすらも未だに明かしてくれないのか……


「にしても、『アレ』の合間に第四層まで突破したとはな」

「『アレ』……?」

「おっと、今のは忘れてくれ」


 マスターが煙草に火を付け、強制的に話を止める。

 ありとあらゆる『呆れ』を煙にして吐き出す。


「お前らが相応に強い事は分かった

 だが、それでも俺はお前を外に出すわけにはいかない」

「訳を聞かせてくれ」


 だがマスターの口から何も語られない。

 この場合『秘匿事項』か『相手の為』の二択しかないのが心苦しい所である。


 何にせよ無理矢理聞き出せない。


「お前はどうだ、柚月(ゆづき)


 マスターの振りに急激な反応を見せる柚月(ゆづき)


 まだ慣れてないのか身体の震えが止まらない。

 申し訳無さそうなマスターに柚月(ゆづき)顔色が悪くなる。


「……ぁ」


 頭に安心できる感触を感じたのか、身体の力が抜ける。

 柚月(ゆづき)を撫でるのが気恥ずかしく、別の話題を振った。


「マスター

 柚月(ゆづき)と話したいときは『高さ』を合わせた方が良い」

「そうか、助かる」


 マスターがしゃがみ込んで柚月(ゆづき)を見上げる。


「お前もコイツを『アレ』には巻き込みたくないだろ?」


 もう柚月(ゆづき)から震えを感じない。

 手を離したタイミングで柚月(ゆづき)が口を開く。


「それでも……ふうちゃんの本当の記憶は、あの先に……」

「それはどういう事だ?」


 柚月(ゆづき)が『しまった』という顔で口を覆う。

 それからは一言も喋らなくなってしまった。


「マスターは何か知っているのか?」

「さあな」

「俺の『本物』が3階に居る事と関係があるのか?」


「……」


 その時のマスターの顔は一度も見た事が無かった。

 肩をがっしりと掴まれ、表情だけで八朝(やとも)を射竦める。


「二度と自分を『偽物』呼ばわりするな

 お前はお前、誰が何と言おうと八朝風太(やともふうた)だ」

「言われなくとも『本物』の記憶と俺の記憶は違う

 家族として引き続き扱ってくれた事は有り難いが……」


「それが間違いだと言っている!」


 マスターが珍しく声を張り上げる。


 日中であれば周囲の全員がこちらに振り向いたであろう。

 だがマスターの目は『そう』だろうとお構いなしである。


「お前は確かに俺の知っている八朝風太(やともふうた)ではない

 ……だが、それでもお前は俺の息子だ……たった半年だろうが知った事ではない」


「あの『悪魔』にお前(息子)を2度も殺されて堪るか!」


 やがて言葉が『過ぎた』事に気付いてサッと離れる。


(……『悪魔』?)


 これに該当する人物は辻守(つじもり)のみ。

 確かに彼の行方はあの時以来不明だが、そもそも敵対する理由が見つからない。


 それに『本物』にあったのは『瀰漫(やけど)』ではなく『発疹』。

 フラウロスの逸話から辿っても『疫病』を引き起こす仕組み(ミーム)がそもそも存在しない。


(誰だ……嫌な予感がする)


 思い出せそうでそうでない記憶の引っかかり。

 記憶遡行の燃料(ネタ)となる異能力話も無く、途方に暮れる。


 そして、マスターが背中越しで八朝(やとも)を呼びかける。


「ついて来い」

「だが俺には……!」

「話をよく聞け

 『アトラスの塔』への近道を教えてやるよ」


DappleKilnでございます

ここまで読んで頂いてありがとうございます


さて、マスターの言動が気になりますね

心意気もそうですが『悪魔』とは一体何なのでしょう


そして主人公は十数日振りに外に出ます

学園もどのように変わってしま……


それでは引き続きよろしくお願いいたします。


 ※スマホ用に短文にする試みは中止いたしました

  但し、見やすいよう『整形』は引き続き行います

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