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Case 45-1:■■■■■■■■■■■■

2020年1月5日 完成


 八朝(やとも)は『■を殺した』記憶を使って第三層の化物(ナイト)を撃破する。

 そして三刀坂(みとさか)、逃がしたはずの鳴下(なりもと)柚月(ゆづき)、エリスの姿もあった……




【5月30日16時00分 地下迷宮・第三層広間】




 実の所八朝(やとも)の提案はハナから却下されていた。


 八朝(やとも)の想定以上に柚月(ゆづき)の回復が早く、しかも三刀坂(みとさか)の参加。

 『巻き戻す前』での連携を踏まえて話し合いにより三刀坂(みとさか)が突入したという経緯であった。


「結果的には有り難いが、あの状況だと撤退しかないだろ」


 八朝(やとも)の未練がましい言い訳に、全員がため息を吐く。


「キミこそアレは倒せたとして、出られなかったでしょ」

『あたしは単に『距離を取れ』との指示だと思いってた』

「……わたし、もともとCONは1……しかないし……」


 開き直りになのか、自分の頑迷さになのか思わず頭を抱えたくなる。

 ただ、事実としてこの場の一人でも欠けていたら死傷者が発生していた。


「……何にせよ助かった、ありがとう」

「強者は弱者を救う、当然の事ですわ」


 あんまり意地を通し過ぎるのも女々しいので素直な気持ちを吐露する。

 たったそれだけで場の雰囲気が和んだのが未だに謎である。


 だがそれは、十秒も続かなかった。




『やはり、お前らであったか』




 聞き覚えのない女声に皆して周囲を確認する。

 すると、この部屋に起きた恐ろしい変化に気付いてしまう。


「出口が……無い……?」

『うん、無くなってる!

 何これ、DHMに使うサンドボックスみたいに隔離されてる!?』


『当然である

 我が真名はサギリヌシ……尤も妖魔となる前のであるがな』


 声の主は自らを妖魔と称する。

 であれば、その正体は自ずと1つに定まる。


 『アトラスの塔』に封印されたとされる古の妖魔。

 そして全五層の0つ目(アトラス)級を生み出した諸悪の根源。


 彼女は霧の形を以て現れる。


『十の幻日よ!』

■■(waw)!』


 八朝(やとも)達の後退を確認した鳴下(なりもと)(からす)落としを仕掛ける。

 如何なるものでも構成されているはずの魔力を解き、文字通り霧散させる目論見がノーダメージとなって外される。


『Isfjt!』


 八朝(やとも)鈍足(ギフト)で追加された『重さ』を全て込めて弾丸を放つ。

 だが霧であるが故に衝撃力は暖簾に腕押し程度にしかならない。


 ならばと柚月(ゆづき)(アーム)を振るう。

 霧であれば十干における癸……これを制して合去するは山の如き戊土の官。


方違・天乙会合(天癸地戊)


 一つが二つ、二つが四つ……

 まるで戊の原義である『繁茂』の刃が霧の一粒に至るまで捉えて切り裂く。


 しかし霧粒の増殖は『千五百の産屋』の逸話の如く死刃を寄せ付けない。


『Hpnas……』

『ならぬ』


 その一言でエリスの浮遊魔術が消え失せる。

 落下は霧の中に吸い込まれるが如く果てしなく続こうとした。


「!!」

『……た、助かったかも』


 寸前で八朝(やとも)がキャッチしたことで奈落を回避する。

 それでも手を目一杯下に伸ばす必要があった。


『石災の妹、鳴下の裔、■の悪神、■■の徒、そして我と似て非なる呪の樹霊』


『我が家を荒らすはいずれかと思っていたが

 ……故に、この場で全員を葬ることにした』


 全員して互いの背を預けあう。

 既に霧は六方に充満し、妖魔の領域に入った肌感覚を死の気配として受け取る。


 だがどうしてか、誰一人冷や汗を浮かべるだけで震えもしない。

 それを察知した妖魔が、まるで満足したかのように高らかに己の名を謳う。


『我が天象()は『御来迎』

 即ち極西にて魔女の夜(ヘクセンナハト)と称する百鬼夜行なり』


 それは魔女の山として知られるブロッケン山にて頻発する自然現象。

 雲海に映った影と背後の太陽光によって、虹を背負った黒い巨人が現れる。


 あるところでは魔女……即ちワルプルギスの徒達の仕業と囁かれ

 そして日本では浄土真宗における教義(ドグマ)……即ち阿弥陀如来、と同一視する。


 影が各々の足から切断され、遠くより虹を背負ってこちらに迫ってくる。

 恐らく、これこそがこの妖魔の本体なのだろう。


『しかし、汝……呪の樹霊は犯した罪の重さを知るがよい』

「……それは俺の事か?」

『如何にも

 貴様は一度ならず二度も故郷を葬った……その報いはいずれ知ることとなるだろう』

「今すぐじゃないのが、随分と優しいな」

『その言葉、虚勢で無いことを祈るぞ

 我は呪詛の妖魔……その意味、汝が最も悟っていると思っていたが』


 それは八朝(やとも)が『そうであって欲しくない』と願っている内容である。


 呪いは必ずしも標的に当たらなくてもいい、と

 だがそれを体現したかのような人物が身近に存在してしまっている。


『だが返上の機会をくれてやろう

 今一度『神隠し症候群』の七含人になると誓うがよい』


 影は今まで以上に嘲笑うかのような口調に変じる。

 この場の全員が『怪しい』と思うぐらいにあからさまに……そう、余りにも。


 俺は……




 ①拒否する

 ②受け入れる

DappleKilnでございます


今回はいきなり分岐がありますね……

嫌な予感がしますね、特に■の方に


因みに第四と第五は後にちゃんと出ますのでご安心を

ええ、いつものように一番嫌なタイミングで……


それでは引き続きよろしくお願いいたします

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