Case 43-?
2020年12月30日 完成
鳴下が偵察に行ったきり戻ってこないまま数時間が経過する
やがて心配になった地底探検部の面々から連絡がやってくる……
【5月26日19時45分 篠鶴学園高等部・地下迷宮入口】
『まだ救出できないんですか!?』
杣根部長の焦った声が端末から甲高く響き渡る。
八朝達も慎重に原因特定を進めながら、彼にもう一度説明する。
「今回の奴は第一層と同じく下手な手出しができない奴だ、すまない」
『分かってますが……!
ああ、鳴下さんに何かあれば探検の続行は……!』
それは八朝にも耳の痛い言葉であった。
もしも彼女が突入する前に■■を発動させて、正体が『芋虫』と気付ければ……
……後悔している暇はない、とにかく手を動かすしかない。
「俺の声は届いたのだろうか……」
それは霧の反応の中に彼女の弓矢の反応が現れた時である。
一か八か分析結果と対処法を叫んでみたが、アレ以降同様の反応が現れる事は無かった。
『大丈夫、ふうちゃんの声は届いてるよ』
「そうだと良いんだがな……」
静観は出来ない。
だがこのまま突入し迷宮と同じ目に遭ってしまえば逆に彼女を窮地に陥らせる。
(だが、どういう事だ?
芋虫は『創造神』の手下の筈……こんな所にはいない筈なのに……)
考えれば考える程に結論が出ない。
そもそもこの地下迷宮は何のための施設なのだろうか……いや、今は鳴下だ!
『すみませんが言わせていただきます!
今回のこれは赤い壁が通れるだけの貴方達が独断専行した結果ですよ、だから……』
杣根部長からの説教が始まる。
この最初の一行は八朝にも悪い事だと理解できたが、その後は人格否定寸前まで至った配慮あるマシンガントークだった。
『いい加減にしてください!!』
そんな部長の独演会と掌藤妹が大声で中断させる。
そして二人の口論が段々とヒートアップしていく……
(まずい!
このままだと掌藤が……!)
それは妹が暴行を受ける心配では無く、姉が登場する最悪の想定であった。
妹の為なら犯罪すら厭わない彼女の手に掛かれば杣根部長の命が危うい。
だが、ここから干渉できる手段は分析と補助を一手に引き受けるエリスのみ。
彼女によって齎された安全領域を捨てる決断をする。
「エリス! 頼む!!」
『ごめん! あとちょっと!!』
その瞬間、鈍い音が響く。
端末の先にある地底探検部部室内に静寂が広がる。
やがて、スピーカーホンの射程ギリギリにいた部員からの叫びが聞こえる。
『鳴下さんの反応が戻りました!!』
弾かれたように扉の方を振り向くと鳴下が扉で身体を隠してこちらを見つめている。
彼女の状態に気づいた八朝が彼女の鞄を投げ込み、制服に着替えさせる。
あの鈍い音は閂を外す音であったらしい。
やがて制服に身を包んだ鳴下が恥ずかしそうに頭を掻きながら戻って来る。
「すみません
少々遅れてしまいましたわ」
沸き上がる感動を抑えて、冷静にいつも通り『おかえり』と返す。
鳴下が何故か残念そうに眉を下げて『ただいまですわ』と答えてくれる。
「すまない、あの時アンタを引き留めれていたら……」
「それはお互い様ですわ
それはさておき、皆さまにお伝えしたい事があるのですが……」
【5月26日20時00分 篠鶴学園高等部・地底探検部部室】
地底探検部と共に鳴下が『現地』で得た情報を共有する。
鳴下から聞いた地下迷宮の全容は以下の通りであった。
・地下迷宮の正式名称は『アトラスの塔』
・元々は『呪詛の妖魔』を幽閉するための場所
・全部で6層構造で、残る0つ目級は2体
・この塔の先には篠鶴市の『秘密』が存在する
また、地下迷宮にて『断罪人』に出会ったらしい。
そして彼女も地下迷宮の赤い壁が通過できるとの事である。
「成程、『秘密』……
しかも『断罪人』も侵入できるとは……」
一番食いつきが良かったのは杣根部長であった。
恐らく彼の頭の中では『秘密』に対する綿密な計算が実施されているのだろうか真顔で考え込んでいる。
だが、大半は青ざめた顔をしていた。
(篠鶴市の『秘密』って……)
(おい、これって篠鶴機関の秘匿事項なんじゃ……)
(俺は嫌だぞ!
まだ何もしてないのに『月の館』送りだなんて……!)
そして掌藤妹と鳴下達は別の可能性を考慮していた。
それはあの錫沢英丸に帰順しなかった残りの『七含人』の可能性……
『渡れずの横断歩道』
『化物除けの鳥居印』
『■■■■■■■■■■■■』
(掌藤さん……残りはどのような方でしょうか?)
(私もあった事が無いから分からないです
それよりも八朝さん、どうかされましたか?)
(……?
いや、何ともないが……)
(あら、確かに恐ろしい顔をしていますわ
それ程に柚月ちゃんを説得するのは骨が折れるですの?)
(いや、それは特に問題は……)
そう言って彼女の狙いに気付く。
それでも『あの扉の先』の事は誰にも教えたくはない。
(すまん、気を張り詰めすぎて疲れたみたいだ……先に帰る)
「あっ……」
八朝は挨拶する事も無く部室を後にする。
ふよふよと付いてきたエリスが心配そうに声を掛けて来る。
『ふうちゃん
……ホントにどうしたの、大丈夫?』
「大丈夫だ」
努めて笑顔を作ったが、それがエリスをされに不安にさせてしまった事には気づいていない。
それよりも未だにあの扉の先の風景が頭の奥底にこびり付く。
死んで動かなくなった芋虫の身体が記憶の中の人々の顔に。
そこから流れ出る血潮が思い出の海の音と瓜二つ。
その屍山は、自分がよく見つめていた神社の山とダブってしまう。
(……ッ!)
思わず吐き戻してしまいそうになる。
胃酸が喉奥を焼き尽くす苦痛の中で、記憶が急速に穢されていく。
(嫌だ 違う! 認めたくない!)
八朝風太は『鷹狗ヶ島』がある世界からの転生者。
この身体は三刀坂の恋人の身体で、自分が探すべきは『鷹狗ヶ島』の記憶。
創造神からというクソッタレな切っ掛けだが、今となっては使命である『死の瞬間の記憶』を切望する。
だけど……
あのゴミ山から
『鷹狗ヶ島』と同じ郷愁を感じてしまった
笳?裸笳?裸笳?裸笳?裸笳?裸
?應スソ逕ィ閠??翫Θ繝シ繧カ繝シ縲具シ夲ス懷、ゥ繝カ莠墓泅譛医?翫≠縺セ縺後>繧?▼縺阪?
隱慕函譌・?夲シ托シ第怦?疲律
?懷崋譛牙錐縲翫せ繝壹Ν縲 ?夲ス懶シゥ??ス?スゑス?ス会ス阪?翫い繧、繝輔ぉ繝吶う繝?縲
?懷宛蠕。逡ェ蜿キ縲翫ワ繝ウ繝峨?具シ夲ス懶シウ?鯉ス趣シ趣シ托シ托シ厄シ假シ費シ偵?翫い繝ォ繧ウ繝ォ縲
?懃ィョ蛻・縲翫ち繧、繝励?九?? ?夲ス懶シエ.?ゥ?ァ?ョ?ゥ?ウ縲奇シ托シ擾シ鍋エ壹?轣ォ螻樊?ァ縲
?ウ?エ?イ?夲シ斐???ュ?ァ?ゥ?夲シ薙???、?・?ク?夲シ
?「?イ?ォ?夲シ舌???」?ッ?ョ?夲シ代???ャ?オ?ォ?夲シ
?應セ昜サ」縲翫い繝シ繝?縲九?? ?壽摶?懶シ郁ぜ閾難シ
?懆?蜉帙?翫ぐ繝輔ヨ縲九?? ?壽脈謦?桃菴
?懷セ碁⊆逞??翫Ξ繝輔ヨ縲 ?壻ク肴?
蛯呵?
繝サ蠑丞頃縺ォ逕ア譚・縺吶k遘倩。捺園謖∬?
繝サ魑エ荳狗・樊・ス逧?シ"
繝サ驥醍巨驫?鮠ャ縺ョ縺?■縺ョ驫?鮠ャ
xxxxxxxx xxx
Chapter縲?43-b縲?縲?縲?驩「鬆ュ鞫ゥ - Curse of Calumniation
?・?ョ?、
これにてCase43、第三層偵察回を終了します
何げにチート級の援軍が期待できます
大進歩ではないでしょうか?
それはさておき、今回で恐ろしい事実も判明しました
主人公君の記憶……果たしてその真偽や如何に
次回は第三層攻略です
これからも楽しんでいただけると幸いです




