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Case 43-4

2020年12月28日 完成


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【蠎壼ュ仙ケエ霎帛キウ譛亥キア蟾ウ譌・ 遽?縺墓エ・縺穂ス先ィ晁?夸汕るス?&蜒】




「何ですの一体!?」


 鳴下雅(なりもとみやび)は逃げる。

 一心不乱に、代わる代わる人々から吐き捨てられる憎悪を躱し、東へ西へ。


 一時も休まることは無い。


「ふぅ、ここなら休めますわね……」

「……」

「あら、お水をくださるなんて気が利きますわね……ぐふっ!!!」


 少年から渡された水が喉奥を焼き殺し、苦しそうに藻掻く。

 そしてようやく少年の瞳が憎悪に染まっている事に気付く。


「おかあさんをかえせ

 でもできないんでしょだったら荳?逕滓ウ・豌エ縺碁」イ繧√k繧医≧縺ォ蝟臥┥縺?→縺上°繧画─隰昴@縺ヲ繧医?繝薙ャ繝」


 折角の見つけた隠れ場所も、少年のお陰で台無しとなった。

 こんなことになっても絶命せず逃げ果せる異能力者の身体を初めて恨めしく思う。


 大体、一体何が起きているのか一切分からないのである。

 落ち着いてテレビを見る時間も、頼れる知人も、疎か新聞を売ってくれる人すらいない。


 それでも打ち捨てられた新聞の断片を繋げてここまで解読できた。


『5月2■■■明

 ■■■■の幹部とされ■■■■■■■■■■により篠鶴■■■■■傷者が発生』


 この事件の因縁で狙われている事は理解したが、全くもって身に覚えがない。

 それでも会う人会う人が『殺人鬼』と責め立てて来る。


(……何も分からない

 何が正しいのか……それどころか私自身も……)


 状況に屈しそうになる自分をバシンと叩き、再び気力を取り戻す。

 こんな絶望的な状況でも、唯一頼れる存在はいる。


八朝(やとも)さん……)


 学園から西に逃げ続け、標的となりやすい橋も突破し、残り1区画。

 その先に八朝(やとも)が住んでいる筈の太陽喫茶がある筈……


(ようやく……!)


 だが次の瞬間固まってしまった。


「今日は学校行かないの?」

「忘れたのですか?

 今日は休日で、貴方と買い物に行く日ですよ?」

「あ、そだった。 ごめんごめん」


 八朝(やとも)が見知らぬ女の子と親密そうに、しかも口調まで変わり果ててしまっている。

 そこに至ってようやく『巻き戻す前』の話を思い出す。


『恐らく、俺の本物と三刀坂(みとさか)は恋人関係だったらしい』


 じゃあ、この目の前の八朝(やとも)は私の知らない八朝(ほんもの)に違いなかった。


(……ッ!)


 そんな彼らを見てられず、瞼を強く瞑りながらそっぽを向く。

 望みが絶たれた事もそうだったが、そんな彼に助けを求めるのが怖い。


(もしかして……八朝(やとも)さんが三刀坂(みとさか)さんと話せないのも……)


 その思考で前方不注意となり誰かにぶつかってしまう。

 肩が当たった男は罵声から、疑惑を含んだ嫌な声変りを始める。


「お前……確か『鳴下雅』を名乗る繧ュ繝√ぎ繧、らしいな」

「……あなたと話す事なんてありません

 肩がぶつかった事は謝罪いたします」

「そう言うなよな

 いいじゃねぇか、鳴下雅(・・・)


 初めて自分を『鳴下雅』と信じてくれた人が現れたのに、不安感が取れない。

 その原因となる男の表情がニヤリと歪み始める。


「お前を『鳴下雅』として補導すれば、俺の出世も間違いないしなぁ!!」


 次の瞬間、男から電子魔術乱舞(グラムストーム)が放たれる。

 それに対する迎撃で、矢に(からす)落としを掛けて放ち、深々と刺さった所で叫ぶ。


『Wvisfef!!』

「ぐああ……ぁぁあ……ッッ!!!!」


 男が苦しそうに倒れ込む。

 致死量寸前の神経毒を流し込み、筋肉を痙攣させた。


 だが男は強靭な精神力でこちらを睨みつける。


「お前……本物……らしい……な!

 だが……これで俺……の……出世……は確定……した!!!」

「何が起きたんですか!?」


 男の捨て台詞と共に八朝(やとも)達が騒ぎを聞きつけてやって来る。

 徐々に集まっていく野次馬に向かって男が悲痛な声音で叫ぶ。


「だずげでぐれ!!

 『鳴下雅』に殺ざれぞうだ!!!」


「!?」


 その、人格の奥底まで否定してくる熱い視線が堪らなく嫌だった。

 もう野次馬が『十死の諸力フォーティーンフォーセズだ』と口々に呟き始めているが、涙で視界が歪むのが止まらない。


「お前みたいな奴が……

 お前みたいなのが三刀坂(みとさか)を……ッ!」


 泣き崩れる三刀坂(かのじょ)を庇うように、八朝(やとも)が見た事も無い複雑な依代(アーム)の照準を向けて来る。


『くらく みつる

 さぎり きたる』


 鳴下(なりもと)が放ったのは中途半端な『哮』。

 本来ならば圧倒的な魔力圧で全て多し流す技が、未熟な状態で放たれた事で周囲の視界が白く染まっていく。


「……ッ!

 逃げるな……卑怯者!!」


 言葉が心臓の奥まで刺さる。

 余りにも身に覚えのない冷たい言葉に屈しかけた時……


 誰かに手を掴まれる。


「な……!? 放して……」

「……こっち」

「何ですの、貴方まで私を……」

「いいから!!」


 この異常な世界で初めて聞いた、暖かな声音であった。

 余りにも切実なそれに縋る様に、たった一言の命令に鳴下(なりもと)が従った。

続きます

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