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Case 31-1:北極星を引き寄せる能力Ⅰ

2020年10月20日 完成


 『創造神』による巻き戻しでミチザネ(アルキオネⅢ)襲来事件の12日前に遡った八朝(やとも)

 七殺(ザミディムラ)を説得しEkaawhsの討伐を完了させるも、エリスへの説明が必要であった。




【4月21日16時50分 抑川駅(辰之中)】




『なるほどねー、そんな事が……』


 これまでの経緯(5月21日まで)をエリスに説明する。

 ありもしない未来の話をしているのにも拘らず、案外素直に話を受け入れている様子である。


『ん? どしたの?』

「いや、デタラメな話だって思わないのかって……」

『そうでもないよ

 だって、その話が無かったらEkaawhs退治も、『カマイタチ』懐柔も出来ないし』


 当然のように言い放っているが、相手は八朝(やとも)である。

 『神隠し症候群』特有のデタラメで系統立ったエピソード記憶の持ち主の話なんて塵一つの価値もない筈である。


『でもさ、『カマイタチ』……ううん、七殺(ザミディムラ)ちゃんはどうするの?』

「幸いにも反応を騙すだけだからエリスよりかは簡単だ」

『そうじゃないよ、七殺(ザミディムラ)ちゃんこのままだと危ないよ

 反応は化物(ナイト)のままだし、何より『十死の諸力フォーティーンフォーセス』にも狙われそうだし……』


 彼女の実力を考えれば問題ないと言い切りたいが、時間が経てば経つほど危険になっていく。

 恐らくこの案件が目下の最優先事項となるだろう。


「……一刻も早く飯綱(いづな)さんに話を……」


 そこまで言って思い出す。

 最初の段階の前提すら危うくなる事実に脂汗をかき始める。


『ど……どしたの!?』

「俺の話が正しいとして、自らを諜報員と明かしていない飯綱(いづな)にこの話をしたら」

『あっ』


 エリスも口に出さずとも沈痛な面持ちの雰囲気を漂わせる。


『ふーちゃんって結構行き当たりばったりだよね』

「……否定しない」

『ってかふーちゃんって依代(アーム)の改変が出来るんだよね』

「ああ、一応な」


 今まで行ったのは2回。

 Ekaawhs討伐用に部長の戦斧、そして闇属性電子魔術(グラムアンブラ)消去の為に三刀坂(みとさか)の騎士槍を変更した。


 出来ない事も無いが、事例数が少なすぎて本当に出来たのか疑ってしまうレベルである。


依代(アーム)の改変が出来るならほぼ同じ存在の化物(ナイト)も改変出来るんじゃない』

「……俺が言うのも難だが、流石に無理なのでは?」

『物は試しだよ! あっちの化物(ナイト)に試してみようよ!』


 器用にホログラムの矢印で一つ目(アステローペ)級を指し示す。

 八朝(やとも)も渋々という形で拘束用の巨大待針(digg)を投げつける。


『それで後はどうするの?』

属性(エレメント)に絞って詳細に分析してくれ

 2回しかやったことは無いが、必ず水属性と本人特有の属性が出てくるはずだ」

『りょうかーい!』


 エリスが分析魔術を発動させる。

 それから数分してエリスが何かに悩むように呻き始める。


「どうした?」

『やっぱりこの化物ナイト、水属性しか出てこないよー』

「いや、上出来だ!

 下手に捻って捻じれてないから手間が省ける」

『どゆこと?』

(samek)がそのまま通るって事だ」


 エリスが未だに納得していないが、それこそ説明しても無駄な内容である。

 『水属性は実は『基礎(イェソド)』のセフィラだ』なんて、異世界知識(オカルト)厨の八朝やとも以外に誰が信じるのだろうか。


『汝はこれより(セフィラ)より投げ放つ(パス)となる

 基礎(イェソド)より調停(ティファレト)を遡り、その姿を覆え!』


 化物(ナイト)(アーム)を纏わせて、特有の詠唱(スペル)を唱える。

 最初のうちは化物(ナイト)も暴れていたが、段々と動かなくなっていく……死なせてしまったのだろうか?


「……」

『待ってこれ、凄い……化物(ナイト)の反応が綺麗さっぱり消えたんだけど』

「は?」

『あーそういう事だったんだね!

 これって掌藤(たなふじ)さんがやってた『妖精化』だよね!』

「お、おう……そうだな」


 だが、ここで頭痛が起きる。

 異能力の分析をしたわけでもないのに記憶遡行が始まる。


 遠くなりそうな記憶の中で誰かの声が聞こえてくる。


『ぼく……僕は一体どうなるんでしょうね?』

『安心しろ

 寧ろ『悪魔』の方がやり易い』


 ……これは、辻守(つじもり)の声か。

 だが、何か足りない……そう、あの刺々しい姉の声が足りない。


『ありがとうございます!

 全部八朝(やとも)さんのお陰です!!』

『いや、アンタが勇気を振り絞ってくれたお陰だ』

『……言っとくけど、これで従わせたなんて思わない事ね!

 大体私はお前の『姉』になんか絶対になったりしないから!』

『声は姉さんそっくりなんだけど……』


 だが、記憶の中の八朝(やとも)も同様の疑問を抱く。

 これではまるで……!


『……ーちゃん!!』

「!?」


 記憶遡行が終了する。

 エリスが中途半端に切った訳でもなく、それ以上思い出す必要が無いから自然と消え去ったのかもしれない。


『どしたの!?

 記憶戻ったとかじゃないよね、絶対それ……』

「いや……戻った方だ

 ついでに言うとEkaawhsは死んだからもう心配する必要は無い」

『あっ』


 エリスがほんの少し驚いた後、安堵の溜息を吐く。


「ついでに質問していいか?

 俺が依代(アーム)の改変が出来た事、知ってたな?」


 エリスがおずおずと端末を傾けて首肯する。

 それでようやく八朝(やとも)も一連のエリスの謎の自信に結論が付いた。


『じゃあ辻守(つじもり)君のお姉ちゃんの事……』

「ああ、詳細に思い出したぞ」

『そっか……でも乱用はしないでね』

「そうだな……」


 何にせよ七殺(ザミディムラ)を人間にする第一歩に目途がついた。

 後は立ち去った七殺(ザミディムラ)を見つければいいだけとなった。


お久しぶりです、DappleKilnでございます


新章開始から相変わらずぐだぐだになっております

終始こんな感じで物語が進行していきますのでご了承ください。


Root Bでは『篠鶴学園』が中心となっていきます

既に伏線はふんだんなく撒いています、今回の『姉』もその一つです

これから何が起きるのか考えてみるのもいいかもしれません(ぐるぐる目)


それでは、引き続きよろしくお願い致します

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