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Case 30-i-2

2020年10月17日 完成


 『我等は大いなる虚構』


 『運命に抗いし者、神に挑む者、我等の同族、その全てに力を与えん』

 『汝に紡がれし虚構(きおく)……我等が『神隠し』へと』


 『不滅なり』

 『瑕疵すら起きぬ』

 『如何なる者も触れられぬ』


 『全ては『■■■■』の導くままに……』




 『やってくれたね、キミ達……!』




【Case30-? → Case04-? 抑川駅(辰之中)】




 目の前に広がったのはあの辰之中の星月夜であった。

 そして懐かしい声が聞こえてくる。


『ん?

 どしたの、ふーちゃん?』

「……いや、何でもない」

『? へんなのー』


 エリスが不思議そうにこちらへと漂ってくる。

 あの端末の、忙しなく動き回る様子が得難いものに感じる。


 それはそうと、化物(ナイト)執拗に攻撃する女の子がいた。


「あれは……?」

『え、ホントに大丈夫なの!?

 仕事中だよ! 化物(ナイト)斡旋の!』

「……すまん、マジでボーっとしてた」


 そう、今はあの女の子に無抵抗の化物(ナイト)を殺させ、そしてランクアップさせる。

 神出来(かんでら)の事件の直後ならその案件しかない。


 それはそうと、エリスが思案中の隙をついて八朝(やとも)を分析魔術に掛ける。


「……」

『ふーちゃん、正直に言って……本当に何があったの?』

「……いや、本当に何も……」

『嘘だね

 だってふーちゃんの後遺症(レフト)が突然『気絶無効』に書き換わっているし!』


 画面を見せて詰め寄ってくるエリス。

 だが、これ以上の追及は出来なかった。


「どうしましたのですの? お二人?」

「……いや、もう終わったのか?」

「終わりましたわよ

 それで、この鱗は……」

「ああ、最初に言った通りこの一欠片以外は全て君のものだ」


 そして女の子はあの日と同じようにランクアップで能力(ギフト)を手に入れる。

 手筈通りに能力(ギフト)の分析も行うと、想定を超える報酬と元気いっぱいの挨拶を押し付けられて去っていった。


『ねぇ……本当に誤魔化されないから』

「すまん、今はそれどころじゃない」


 ああ、確かこの後は……

 『EkaawhsEdrumn』が初見殺しのギミック(13番目の死相)で復活し、依頼が不達成になる。


 そして……


「そこにいるんだろ『カマイタチ』……いや、十死の諸力フォーティーンフォーセス七殺(ザミディムラ)

『え?

 十死の諸力フォーティーンフォーセスって!?』


 エリスが文句を言おうとしたその瞬間……

 ……フードを被った人影、即ち『カマイタチ』が物陰から姿を現す。


「……取引をしたい

 アンタの願いを聞く……その代わりに……」


 言い切るよりも早く『カマイタチ』……もとい七殺(ザミディムラ)がゼロ距離まで詰めて来る。

 覚悟を決めて武装解除したまま彼女の攻撃を受け入れる。


『ふーちゃ……ん……?』


 エリスの驚愕が光景を目にする。

 あのテロリストの仲間が、縋るような目つきで八朝(やとも)を見つめている。


『それ本当?』

「……半分は嘘だ

 アンタを柚月(ゆづき)とは扱えない……代わりに人間に戻るまでアンタを普通の女の子として……」


 最後まで言い切れず、ふわっと抱きしめられる。

 なのに一切攻撃されない……本当に何が起きてるのか混乱しそうだが表に出しては台無しである。


『……これは本当っぽいかも

 ねぇ、本当にあたしの願いを叶えてくれるの?』

「約束する、必ず人間に戻してやる」

『そのアテは?』

「……飯綱(いづな)がその状態に詳しそうだからな」


 何故かは分からない。

 壊れた記憶の果てで彼は『妖魔』そして『化物(ナイト)』と名乗っていた。


 彼が監視衛星群(フォレストラット)化物(ナイト)探知に引っかからないギミックを教えてもらえば形式的にも達成できる。

 それだけで彼女の『八朝(やとも)と普通の生活を送る』という願いが叶う。


『……確かにそれなら信じていいかも

 それで、ふーちゃんからは?』

「2つあるが良いか?」

『内容によるかなー』


 七殺(ザミディムラ)が悪戯っぽい笑みを浮かべて返答する。

 彼女の純粋さを利用して悪いが、代価を口にする。


十死の諸力フォーティーンフォーセスを辞める事と、Ekaawhsの討伐を手伝って欲しい……」

『うん、いいよ』

「……流石に無理か……え?」


 聞き間違いじゃなかった。

 彼女の顔が、真実だと告げて来るようである。


『ついさっき聖堂(レサト)ちゃんも辞めちゃったから未練無いし』

「み……三刀坂(みとさか)が!?」


 もう既に過去が狂っていた。


 この時点ではまだ三刀坂(みとさか)十死の諸力フォーティーンフォーセスに入っていた筈である。

 だが、それに反する証言が組織内唯一の親友を標榜する七殺(ザミディムラ)から語られる


『うん、だからその二つは特に問題ないよ

 ついでに言うならもう二つサービスしちゃうけど?』

「いや、それだけで構わない」

『やったあ!

 約束だよ!』


 柚月(ゆづき)と瓜二つの笑みを浮かべる七殺(ザミディムラ)

 交渉が難なく成立してしまった。


『それで、Ekaawhsって奴……この鏡の奥にいるよね』

「……それも分かるのか?」

『私の遁庚七十三星(オピオン)を舐めないでよね』


 七殺(ザミディムラ)薙刀(アーム)を立てて、あの法曼荼羅を展開する。

 『庚』と書かれた字が赤く点滅する……遁甲式における殺星、即ち死を意味するもの(Ekaawhs)であった。


庚尊 太白入熒(死に絶えよ)


 杖でトンと叩く。

 それだけでどこかで何かが砕け散った音が響き、そしてエリスが『Ekaawhsの反応が消えた』と呟く。


 そして何かを期待するようにこちらにやって来て上目遣いをする。

 ……柚月(ゆづき)にそうするように頭を撫でると、何故か嬉しそうな声を上げる。


『……本当に、ありがとね』

「お、おう」


 突然しおらしい態度を取った七殺(ザミディムラ)が、そのまま走り去っていった。

 同じく呆然とする八朝(やとも)にコツンと端末(エリス)が衝突してくる。


『これは一体どういうことなの?

 全部話してくれるまでここから帰さないから……!』




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 Return 0;


 Process "■■■■" is normal running.




 ■■■■■■■■ ■■■

 Root B:Bright Being Below the Basement

それでは第二章『Bright Being Below the Basement』が始まります

Case04から覆った未来から一体何が出てくるのだろうか?


それでは次回もよろしくお願い致します。

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