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Case 30-i-1:CommentOut 1

2020年10月17日 完成


 気が付くとまたあの暗闇の中だった。

 そして懐かしくも忌まわしいあの声が聞こえてくる……




【TIMESTAMP_ERROR 篠鶴地下遺跡群最下層・転生の間】




『やぁ、おはよう』

「……死ね」

『つれないね~! キミ~』


 目の前にはあの張りぼての天使……『創造神』がいた。

 意図的に誇張された三刀坂(みとさか)の声真似が不快で仕方がない。


『それはそうと、キミが再びここに来てくれて僕は嬉しいよ』


 無言を貫くことにする。

 何しろ奴は親友(鹿室)を殺した屑……到底許すことはできない。


『歓迎するよ!

 だってキミを4月21日に戻さないといけないから手間が省ける省ける!』


 言っている意味は分からなかったが、反応しても奴を付けあがらせるだけだ。

 だが『創造神』はにんまりと口元を歪めて言い放つ。


『意味が分からない? 元の場所に戻せ?

 そういう訳にはいかないよ……だってキミ、使命(オーダー)達成できてないし』

「……昔の記憶は取り戻したぞ」

『違うよ、それは『八朝風太』の記憶

 キミのじゃない……だから未達成なの分かったかい?』


 確かにあの記憶は『本物』の記憶であった。

 『本物』と俺が別物と判明してしまった以上、使命(オーダー)にあった俺の記憶の対象外である。


『そもそもキミが悪いんだよ

 僕との使命(やくそく)を破って三刀坂(みとさか)ちゃんとイチャイチャ三昧……』


『キミ? 本気でやってるの?』


 正直コイツの相手はしたくない。

 どう思われてもいいのでここから出して欲しい、死ね。


『あー! そんな態度するならこっちも考えがあるんだけど……』


 『創造神』が指をパチンと鳴らすと、暗闇の中にもう一つの影が出現した。

 ……三刀坂(みとさか)が鎖で縛られていた。


「え……なにここ!

 それにキミ一体全体どうしちゃったの!?」

「……どういう事だ?」

「覚えてないの……?

 あの日突然心臓発作で倒れてもう数か月も意識不明なのに!」


 意味が分からなかった。

 そんな顔に待ってましたと言わんばかりの『創造神』の横槍が入る。


『何言ってるの? 当たり前じゃん!

 僕の使命(オーダー)の為に毎晩毎晩寝ずに努力して、身体がボロボロになってない訳ないじゃんか!』


 お大事にー、の付け足しが癇に障る。

 そろそろ本気で腹が立ってきたので戦闘態勢に入ろうとする。


『あ、それ本当にしていいんだ? じゃあこうしちゃうし!』


 鎖から紫色の液体が染み出してくる。

 それに触れた三刀坂(みとさか)があまりの苦悶に叫び声を上げる。


「何をした!!!」

『『本物』を殺した毒の味を体感してもらってるだけだよ、それがどうしたの?』

「ふざけるな! 今すぐ止めないと……」

『止めないと、何?

 三刀坂(みとさか)ちゃんが全身を毒に侵されて苦しみながら死ぬ様子が見たいなら構わないけど』


 確かに、今の『創造神』を止める手段が無い。

 八朝(やとも)が武装解除すると、『創造神』も毒液の供給を止める。


『賢明な判断だね』

「……あなた……絶対に許さない……!」

『僕をどうにかしても無駄だよ、だって八朝(やとも)君の心臓発作に僕は全く関わってない』


 『創造神』の言い分には反対したかったが、これには明確な思い当たりがあった。

 それ故に三刀坂(みとさか)すらも何も言えなかった。


『でもね、キミのその使命(オーダー)への姿勢は気に入ったよ!

 だからあの日(4月21日)に戻す前に僕からプレゼントだよ!』


 鎖が三刀坂(みとさか)から離れ、今度は八朝(やとも)に縛られる。

 そして毒液の苦痛が八朝(やとも)に齎される。


「あああああああああああああああああ!」

八朝(やとも)君!?

 あなた……一体何がしたいの!!!」

『え、これでわかる物だと思ってたけど面倒臭いなー

 うーんとね、彼が自称していた『気絶無効』を正式な後遺症(レフト)として書き換えたんだ!』


 どうやら本当にそうらしい。

 流石の八朝(やとも)でも十数秒が限界のレベルの苦痛を受けているのに、意識が消える気配が全くない。


『キミ、(sad)との相性がいいって気に入ってくれてたみたいだし、褒めてくれてもいいんだよ?』


 八朝(やとも)の突然死の原因を説明したうえで押し付けてきた『創造神』。

 三刀坂(みとさか)があまりの怒りに、封印していた闇属性電子魔術(グラムアンブラ)の詠唱を始める。


『この者に無限の咎ありて……』

『その言い方は流石に無理あり過ぎない?』

『……ッ!

 呵責なく地獄の業火へと()べよ!!!』


 だが、一向に闇属性電子魔術(グラムアンブラ)が発動しない。


「……ッ! どうしてっ!!!」

『当たり前だよ、だって僕は神だから一度も罪を犯した事ないし』

「は?」


 目の前の惨状を引き起こしといてこの言いぶりである。

 だが、三刀坂(みとさか)の『弾圧(グラムアンブラ)』が効いていないならその言も真実であろう。


 何しろ先程からの彼の言動は『善意』以外の何物でもないから……


『それとお別れは早めに済ませた方が良いと思うよ!

 4月21日ってどう考えても(ゆかり)ちゃんの事件の直後だし』


『キミ達が紡いだ絆が一切合切無かったことになるからね!』


 三刀坂(みとさか)が弾かれたようにこちらに向く。

 だが、それも待ってましたと言わんばかりに『創造神』が満面の笑みを浮かべ……


『でも、毒が本当に苦しいようだしちゃっちゃと時間を巻き戻すね!』


 三刀坂(みとさか)が全ての力を使って駆け始める。

 だがその一歩目で八朝(やとも)から苦痛が抜けていく……


「……君!」

「……!」


 全てが遅かった。

 そして時間が巻き戻っていく……


『それじゃあ引き続き頑張ってね!』


 最後に聞いた声が『創造神』のもので、腹が煮えくり返る。


 ……殺す。


 次会ったら必ず……!



20日まで休むと言ったな、アレは嘘だ(でも休む)

DappleKilnでございます


今回の話はどの章にも属さない幕間となります

但し『創造神』が出ている時点でお察しの内容となります


ええ、まだまだこのお話は続くんですとも

違った形でな……


それでは引き続きよろしくお願い致します

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