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Case 29-2

2020年10月11日 完成


 突如として墓標(メトセラ)の異能力が異常を連発し、攻撃が空振りし続ける。

 これ好機と八朝(やとも)達は止めを刺しにかかる……




【5月20日11時46分 集合海・『ロゴスの大樹』】




(そろそろ気づかれたか……?)


 墓標(メトセラ)蜻蛉(アーム)達を自分の周囲に集め、防御を固め始める。

 これを見た八朝(やとも)が、隣にいる三刀坂(みとさか)に相談を持ち掛ける。


(どうするか?

 相手が『俺達が攻撃してこない』と気づかれたら真っ先にレーザーの雨を打たれて俺たちが即死するぞ)

(……キミはどう見るの?)


 八朝(やとも)が再び墓標(メトセラ)の様子を観察する。

 謎の詠唱(スペル)、蜻蛉の群れ、何故か光になって砕け散る蜻蛉……


 それ以上におかしいのはその周りに立ち込める陽炎であった。


(間違いなく、奴の『白浪(どろぼう)』って発言はブラフだ。

 かといって『摩利支天真言』を効率的に運用するシステムが見つかれない)


(次奴が動くまでに仕留めたいが、今一決定打が無い)


 と、八朝(やとも)が『異世界知識(オカルト)』を踏まえて状況を説明する。

 そうは言ってもオカルトに明るくない三刀坂(みとさか)には返答の困る内容だった。


(……お兄ちゃんは自分の闇属性電子魔術(グラムアンブラ)を『混同』って言ったよね、しかもキミの力と似てるって)

(ああ、言ったな)

(それを武器にしているキミならもう分ってると思うけど、多分今言ったことも『折り込み済み』なんだと思う

 特にお兄ちゃんはもう何年もの間『篠鶴機関』からの追跡を躱してこの計画を練ったんだから……)

(……だな)


 改めて三刀坂(敵の身内)からそう指摘されて納得する。

 相手は本当の意味で八朝(やとも)の『上位互換』であり、特に警戒しなければならない人物である。


 この程度の思考だけで安易に結論を下してはならない。


(障壁魔術は?)

(……3秒持つか持たないかぐらいかも)


 即ち、もう彼らが防ぎきる手段はない。

 だが、彼の次なる攻撃を妨害する猶予は与えられている。


(それなら大丈夫だ、改めて頼む)

(うん、信じてるよ

 キミならお兄ちゃんを止めてくれるから)


 三刀坂(みとさか)墓標(メトセラ)の監視を代わり、目の前の敵に集中し始める。

 そして八朝(やとも)も、一撃で墓標(メトセラ)の力を無効化する手掛かりを探し始める。


(手段は2つ)


 一つは、後方に控えた(samek)の分身で墓標(メトセラ)の異能力を『流出』させる。

 摩利支天……即ち太陽と陽炎の仏が照応する『調停(ティファレト)』から『基礎(イェソド)』へと力を流出させる『節制(samek)』の小径(パス)を用いる方法である。


 最速で相手を無効化できる手段であるが、摩利支天が月光も意味していることと墓標(メトセラ)が用意する混同(システム)を無視した方法である。


 もう一つは、電子魔術(グラム)を発動させるタイミングで『■■(taw)』を展開し、内側から蜻蛉(アーム)を破壊する方法である。

 彼の『簒奪(ブラフ)』に乗ってやることで油断を誘い、蜻蛉(アーム)が持っているキャパシティーを超える(taw)を一緒に吸わせる方法である。


 最も確実に相手の戦闘態勢を崩すものではあるが、(taw)の準備とレーザーの雨が発射される寸前というタイミングから双方ダウン以外の結末が用意されていない。


「……もしや、汝ら攻めあぐねているのか?」


 墓標(メトセラ)の何気ない煽りで八朝(やとも)達に緊張が走る。

 そして沈黙による返答が墓標(メトセラ)の懸念を一気に解消した。


「成程成程……では初めから物量で攻めれば解決したのだな」


 墓標(メトセラ)がそう言い放つと、喉に魔力を込め始める。

 魔力に振動を与えて、この世ならざる発音の言語で電子魔術(グラム)の詠唱を始める。


Hv Ma Vdk(火の原)fic Ez(点よ) / Khvejali (神鳴を)Vc Sz Sc (我が手)Wh() / Zwuffbjh (焦熱に)Muru Lteu(て貫)nb Rx()


八朝(やとも)君!」

「ああ!」


 時間切れだ。

 思い残すことは無い。 俺は……




 ①(samek)詠唱(スペル)をもう一度唱える

 ②■■(taw)詠唱(スペル)を何度も唱える




 ……。


 …………。


 ………………。




『この本は何だ?』

『ああ、その本には何も書かれていない……すまんな眷属』

『いや、ちゃんと『TCP IP通信入門』って……』

『眷属よ……読めるのか?』

『あ、ああ……』




 ……。


 …………。


 ………………。




『……眷属よ、取引をしよう

 我は汝に異能力学の知識を提供しよう、汝は……』

『こういった『何も書かれていない本』を読んで聞かせろって事だな』

『左様

 して、どうする』

『言うまでもない、こっちも独自の情報源が欲しかったところだ』

『成立だな、これより我は汝の支援をしよう……だが、誠に勝手であるが二つほど約定がある』




 ……。


 …………。


 ………………。




『構わない、その条件を呑む』

『……だが一方的だとは思わないのか?』

『確かに疑わしいほどに一方的だな』

『では……』

『情報を扱う奴がその程度のブラフに踊らされるわけがないだろ?』

『……然り』

『これから頼りにさせてもらう』

『ああ、こちらも全力を以て応えよう……我が深淵なる同胞よ』

続きます


そしてここで1回目の分岐となります

今回は多分簡単です……何しろ大ヒントを追加してますので

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