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Case 26-4

2020年10月1日 完成


 残された証拠に違和感を覚える三刀坂(みとさか)

 そこに鹿室(かむろ)が現れ自体は混迷を極めていく……




【5月20日18時18分 篠鶴地区境界・元抑川橋(辰之中)】




「何がどうなってんのよ!?

 さっきから一切攻撃が……」


 神出来(かんでら)が錠付きの鞄のジッパーから『Minomotoboshi』を出して数分が経過する。

 あの5つ目(メローペ)級の連撃が一切当たっていないのである。


鹿室(かむろ)には文字占いを利用した疑似的な未来予知ができる、それでほとんどの攻撃を回避する」

「チートじゃないのソレ!?」

「チートも何も彼は転生者(チート)そのものだ」


 神出来(かんでら)が臍を噛むような思いで戦いを見つめる。

 まさか噂でしかなかった『異世界転生者はチート能力を持っている』の実物をこの目で見るとは思わなかったのである。


 三刀坂(みとさか)が狙われないよう(samek)幻惑(ギフト)を展開する。


「思い出してください!

 あなたは『八朝風太』じゃないことを!」

「だったら何だってんだ!?」


 相変わらず鹿室(かむろ)が気遣いの言葉を掛けながら必殺の一撃を繰り出してくる。

 三刀坂(みとさか)鈍足付与散弾(ギフト)から免れた氷礫を、すんでのところで躱す。


「まさかそこまで……

 いえ、あの時から数か月間……この時の為に磨いてきたんです!」


 そして鹿室(かむろ)が足元を殴る。

 今まで展開してきた石達が線を描き、魔法陣を完成させていく。


『させない!

 Vrzpyq!』


 神出来(かんでら)が『Minomotoboshi』を呼吸を合わせて初速度変更魔術(アクアグラム1)を発動させる。

 ただでさえ(はや)5つ目(メローペ)級の動きが音速へと肉薄する勢いとなる。


 『Minomotoboshi』の波動の刃を躱したのち距離を取る。


化物(ナイト)を使役する異能力者が……まさか貴方も十死の諸力フォーティーンフォーセス

「そんな訳ないでしょ!」

「そうですか……

 では貴方の『魔王の呪い(くるしみ)』もここで解放させてあげます」


 魔法剣(アーム)に石を嵌めこみ、刀身が稲妻を帯び始める。

 地平線の彼方まで両断しかねない威容に神出来(かんでら)が生唾を飲み込む。


「解放って『殺す』の間違いじゃないの?」

「いえ、大丈夫です

 傷一つすら付きませんのでご安心くださいレディ」

「あなた、自分の手元見ても同じことが言えるの!?」


 神出来(かんでら)の気迫に驚愕半分困惑半分で魔法剣(アーム)を見つめる。

 特に表情の変化はなかった……


「え、これは只の『睡眠の霧』の魔法なのですが……」


 迸る雷轟を見て、さも当然のように言い放つ。

 流石に神出来(かんでら)鹿室(かむろ)の異常事態に気付き始める。


(sad)!』


 鹿室(かむろ)が驚愕の表情と共に振り向くと気絶の花火筒(sad)を構えた八朝(やとも)がそこにいた。

 魔法剣(アーム)の切っ先が天から離れ、空を焼くほどの熱気と『糸のような錯覚』が幻のように消える。


 そこに(sad)の光が鹿室(かむろ)の意識の連続性を絶った。

 それでも鹿室(かむろ)は気合で踏みとどまる。


「ここで負ける訳に……は……?」


 鹿室(かむろ)が自分の吐いた言葉に一瞬疑問を抱いたのか硬直してしまう。

 その致命的な隙が三刀坂(みとさか)の銃剣突撃を許してしまう。


『Isfjt!』


 三刀坂(みとさか)魔法剣(アーム)の防御を突破できていなかったのにも拘らず固有名(スペル)を叫ぶ。

 全弾命中による魔法剣(アーム)の重量増加……ではなく重量吸収による『リロード』を敢行した。


「これは……!」


 その結果として鹿室(かむろ)が宙に浮き始める。

 鹿室(かむろ)は中空で不安定になる姿勢のまま、目的の石を嵌めこんで叫ぶ。


『Roonjmd!』


 それは超重力の特異点が天頂に来た瞬間の空を封じ込めた石である。

 魔法剣(アーム)に嵌められることで鹿室(かむろ)の失った質量をその魔法で取り戻させる。


 受け身を取り、立ち上がって八朝(やとも)達を縋るような目つきで見つめる。


「どうしたんですか!?

 さっきから僕を攻撃して……まさかこれも『魔王の呪い』なのですか!?」

「それを言うならお前(・・)もさっきから言っている事とやっている事がかみ合ってないぞ?」


 不信感を露にするような声音で八朝(やとも)が指摘する。

 鹿室(かむろ)は身に覚えが無いように困惑・混乱した表情で思考する。


 だが、やはり先程と同じように説得するように叫ぶ。


「思い出してください!

 僕は八朝(やとも)君と同じく比婆さんの能力を盗んだ犯人を捜しているのですよ!?」

「な……そんなやくそ……く」


 八朝(やとも)が虚を突かれた隙に、再び結界魔法を展開させる。

 今度は何故か『あの錯覚』が見えていない。


 だがそれ以上に八朝(やとも)が何かに思い当たってしまった。

 何故自分はあんなにも『仕事』を優先していたのか。


 異能力を集めるだけなら第二異能部から依頼を斡旋される程度で事足りる筈。

 そして生活費稼ぎの『化物斡旋』は、労力と報酬が明らかに見合っていない。


八朝(やとも)君!」


 思考の海から正気の世界へと帰った八朝(やとも)が最初に見たのは■■(pe)(sadeh)(res)の三文字であった。

 それはカバラにおける『星幽の三角形』……即ち霊的存在の拘束を行う呪詛である。


(いつの間にこんな魔術を……!?)


 捕まったら最後飛宮(アンサー)闇属性電子魔術(グラムアンブラ)を受ける可能性がある。

 そうなれば再び真実から遠のくことになる。


 だが、異常事態の彼に起きた更なる異常事態(糸無しの異能力行使)、そして彼の放った言葉。

 これが真実なら彼の忠言を今すぐ聞き入れる必要がある。


 俺は……




 ①概念消(digg,)去の(bet,)命令(alp)を発動させる

 ②何もせず鹿室(かむろ)の異能力の考察を始め、真実を探る

次でCase26が終了します

そして今回も分岐いたします

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