Case 25-5-1
2020年9月27日 完成
2020年9月28日 誤字修正
Case25-4の選択肢にて①を選んだ方はこちらからお読みください
遂に七殺を絶命寸前まで追い込む。
末期の言葉に絆される三刀坂を遮り、この手で殺すことを決意する。
【5月19日20時31分 磯始地区・隠し通路?】
「やめろ!
七殺は……俺の手で殺す」
「でも……!」
「七殺はもう駄目だ!
放っておけば……さらに多くの被害者が……」
先程までの七殺の同情を誘う譫言がもう既に豹変していた。
小人を睨んで『あの身体さえあれば』と壊れたレコードのように連呼し続ける。
小人が七殺の剥き出しの殺意に当てられて腰を抜かす。
「残念だが……お前の『漂流』は……これで終わりだ……」
一思いに殺せない自分の無力さを激痛と共に噛み締める。
やがて彼女も最期を悟ってしまったのか、今までの歪んだ顔がふっと緩まった。
「……ふうちゃん」
「何だ?」
「やくそく」
最後の力で左手を差し出す。
『約束』に関する記憶が全く無いにも関わらず、その手を握る。
「次……の……世界……では……も……と……強く……なって…………」
そして先に七殺の命脈が絶たれる。
八雷神を解除しても彼女に脈が戻ることは無かった。
『カマイタチ』の身体がボロボロと崩れ、胸があった場所に大きな赤い欠片だけが残った。
これだけ大きな『アルキオネの鱗』があれば、如何に地力の貧弱な八朝でさえ白兵戦でも渡り合えるほどの強化を得ることが出来る。
まさしく彼だけに贈られた想いの如く、その反射光が八朝の顔に赤い染みのような照りを浮かばせる。
「……持っていって……あげたら?」
小人が泣きそうな顔でそう促す。
八朝も、内心では危険と承知しながら赤い石を自らの端末のストレージに放り込んだ。
そして万人を石化させる真っ青な辰之中が解かれ、三刀坂と神出来が拘束から解き放たれる。
「……!?
一体何……が……」
神出来が詰問しようとして思わず言葉が詰まった。
あの二人が見落としていた雪の結晶のような髪飾り……それは彼女の同級生であった天ヶ井柚月のものであると気づいた。
「……そう、これで十死の諸力は壊滅したんだね」
言われてみればそうであった。
十四席という言葉から最低でも20人以上はいそうな組織ではある。
だが、離反とトップの死とその他幹部たちが次々と倒れていった事から、壊滅と言って差し支えの無い状態である。
「いや、まだ残っている……!」
崩れた通路の向こう側。
未だに真意の量りかねる墓標の野望が、彼らの進路を再び塞いだのであった……
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DATA_ERROR
UNABLE_TO_FIND
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■■■■■■■ 25-a 漂流 - The Castaway
END
これにてCase25、『カマイタチ』回を終了させていただきます
彼女に関しては最後まで油断しない、が正解でありました。
墓標と同じく彼女も人間が持ってはいけないような狂気に囚われています
もしも彼が三刀坂を止めなかったifも次話(Case25-5-2)でやりますので引き続きどうぞ
次回は異世界転生モノでお馴染みの『決闘』です
まぁ、こんな風に言えば誰と誰のバトルなのかもう分かっちゃってると思います
それでは次回も乞うご期待ください




