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Case 20-6

2020年9月1日 完成(22:00)


 『カマイタチ』と遭遇し死闘を繰り広げる。

 化物(ナイト)が立ち入れない筈の寺社仏閣にすら平然と侵入してくる。




【同日11時45分 遠海地区・■■神社境内】




 あの見えない程疾い突撃に合わせてエリスが障壁魔術を掛けてくれる。

 致命的に近づかれるのを防ぐも、寸毫もせず切り裂かれる。


(sad)!』


 再び気絶を狙った花火弾を、バックステップの状況から浴びせかける。

 炸裂するよりも先に弾丸が両断され不発に終わる。


「……ッ!

 ■■(digg)!」


 『カマイタチ』の足元から待針(digg)を生やし、身動きを封じようとする。

 それすら次の構えに移る動き一つでひらりと躱される。


 さらに待針(digg)を切り裂かれ、罰則(ペイン)の苦痛に苛まれる。


『Ghmkv……!』


 エリスの魔力供給と『黒い霧』による物理的な目くらましを狙って(アーム)を呼び出す。

 それを察知したエリスが(アーム)が薄れないよう計画的に吸収する。


(まずい……このままでは……!)


 今のところ防戦は成立しているが、この時点で生き残っている依代(アーム)の枠は2つ。

 次の攻勢が終われば八朝(やとも)は成す術が無くなる。


『……ッ!

 (ビナー)より袂を分かち、果ての天球(ホド)へと至れ……■■(het)■■(mem)!』


 今回は複数の小径(パス)を一つのものとせず、それぞれを呼び出す。

 歯車(het)の火傷を弓矢(lamd)の呪詛が広範囲の空間へとばら撒く。


 せめて間接ダメージだけでも、という破れかぶれの一撃だった。


『!?』


 だが、それに相対した『カマイタチ』が激烈に反応する。

 苗木の影響範囲外のギリギリまで弾かれたかのように逃走する。


『ふうちゃん!』

「ああ……どうやら『カマイタチ』はダメージってのが堪らなく嫌なのだな!」


 先程からその兆候はあった。

 花火弾は斬って捨て、地面から生えた待針を叩き潰すのではなく一旦躱して寸断する。


 どうやらスリップダメージが有効打となり得るのかもしれない。


「エリス……初級水属性電子魔術(アクアグラム1)と障壁魔術はあと何回出せる?」

『アクアグラムは4回、で障壁魔術は3回ぐらいかな』


 どちらも微妙な数でああった。

 消耗が激しかったので致し方は無い、防御優先の方が生存確率は高くなるだろう。


(……他に使えるスリップダメージ系は(kap)衰弱(res)……凍結(bet)


 八朝(やとも)が起死回生の策を閃く。

 凍結の状態異常の間なら初撃のダメージが2倍に増加する。


(エリス……

 凍結(bet)も併せて初級水属性電子魔術(アクアグラム1)を当てたら相手にダメージは与えられそうか?)

(……ほんの少しなら、でも……!)

(やるしかない、準備してくれ!

 その間は俺が盾になって時間を稼ぐ!)


『先の誓約(パス)の名の下、(ティファレト)へと降れ!

 更に汝より袂を分かち、無明の霧('in)より現れよ■■(samek)!』


 一旦苗木(lamd)('in)に変更し、そこから(samek)を出現させる。

 火傷の範囲状態異常攻撃が無くなると、たちまちにこちらの首を切り裂かんと突進してくる。


 だが、その途中で鏡に反射した光のように突然進路を変える。

 渾身の力で生み出した幻惑(samek)ミチザネ(アルキオネⅢ)事件で間近に見た大量破壊兵器(アングル)の一撃を模したものである。


 近づくだけでも肌を焼くほどのリアリティに『カマイタチ』がまた恐れを為して距離を取る。


「……」


 『カマイタチ』に近づかれないよう(samek)の近くに陣取って警戒を緩めない。

 エリスへの時間稼ぎが間に合うか、『カマイタチ』が単なる幻惑(アングル・イミテイト)に過ぎない事に気付くか。


『ふうちゃん!』

■■(bet)!」


 存在せぬ6枠目にすべてを託して小径(パス)の名を叫ぶ。

 エリスの準備が完了しても、八朝(やとも)の方の自然回復が間に合わなかったのである。


 だが……


「な……何だと……」


 手元に凍結を引き起こす拡声器(bet)が顕現される。

 もう相手は移動を完了しており、後は首を刎ねようと()を振りかぶる。


 それよりも先に拡声器(bet)のトリガーが引かれ、首に触れた寸前の状態で『カマイタチ』が動けなくなる。


「エリス!」

『Vrzpyq!』


 取り残された巨大歯車(het)電子魔術(グラム)で加速され、『カマイタチ』に直撃する。

 電子魔術(グラム)が持つ僅かなダメージと、歯車(het)が齎した火傷(ギフト)によるスリップダメージ。




 一瞬、『カマイタチ』が見知った顔で微笑みかけた気がした。




 ()の砕ける音と、それに似つかわしくない肉の潰れて血が迸る湿った音。

 更に倒れ伏した『カマイタチ』が痙攣を始め、欠伸とも見分けがつかない謎の呼吸を始める。


「これは……倒せた……のか?」

『うん、終末呼吸(チェーンストークス)になってるし、遠からず死亡するよ』


 終末呼吸とは文字通り死ぬ寸前の人間が行う病的呼吸の一つである。

 チェーンストークス呼吸の場合、心疾患やその他の致命的な発作、特に窒息時の呼吸として有名である。


 かねてからの強敵であった『カマイタチ』を倒した八朝(やとも)

 だが、そこにあったのは自分が強くなったという高揚感ではなく、謎の焦燥感である。


(……何だ、何かがおかしい

 それにあの顔は間違いなく……!)


 瀕死であっても化物(ナイト)が安全という保証は無い。

 だが、致命的な間違いをしてしまったという罪悪感に圧され、今にでも介抱してやりたいと心が叫ぶ。


 俺は……




 ①『カマイタチ』にトドメを刺す

 ②『カマイタチ』の手を握ってあげる

次でCase20が終わります

例にもよって選択肢方式となっています

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