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天気が荒れそうだ。

 軽くグロい表現があります。

 先程、スティング達の戦闘地点で爆発と強い魔力の放出があった。


 スティング。クレア。レオンハルト。


 彼らが無事であることを祈りたい。


 そして、準備を進める。

 奴を、(ほふ)る為の準備を。


 side:真祖への復讐者。


※※※※※※※※※※※※※※※


 移動する為に飛んだけど・・・

 なんだか、空模様が不穏だ。

 分厚い雲が空を覆って来ている。

 生ぬるい風と冷たい風とが渦巻く空気。


 天気が荒れそうだ。


 まあ、天気が荒れたとしても、雲の上を飛んで行けば問題無いんだけどね。

 雲の上は晴れてるし。


 問題は・・・


 さっきの戦闘の影響かどうか、だ。

 意識が飛んだから、どの程度まで影響を及ぼしたのか把握ができてない。


 とりあえず、炎を出さなかった僕は偉いと思う。炎を出していたら・・・軽く焦土を作っていただろうからね。そんなことをしたら、アークに嫌われちゃうかもしれない。


「はぁ…アーク…」


 どこにいるのかな?

 まあ、この辺りにいないのは判ってるけど。


 狼共め・・・


「それにしても・・・」


 なんかこう、身体の中に違和感がある。

 あの弾けた弾丸、あれがまだ身体の中に入って・・・いや、出てないのかな?


「取り出すの、面倒だな・・・」


 自分で自分の身体開いて掻き回すとか・・・再生力が高いと、身体に異物が入ったときに面倒だ。

 身体の中に手を突っ込んで、取り出せるまで『それ』を探して身体を自分で、ぐちゃぐちゃと掻き混ぜる。あれって相当痛いし、心底気持ち悪いんだ…

 異物が小さければ、位置を特定して血液操作で出せないこともないけど・・・どっちみち、身体に穴を空けないといけない。

 痛いことに変わりないし。


 しかも、頭とか・・・(いや)過ぎる。

 想像するだけで、ぞっとする。


 なんかもう・・・色々と憂鬱(ゆううつ)だ。


 本当に、今回は調子が悪い。

 運も悪い気がする。


 悪いことが重なるというか・・・


 起きてから、ときどき胸が痛む。

 身体に問題は無い筈なのに・・・原因不明だ。

 幻痛(げんつう)か? それもなにか違う気がする。

 昔の、ふとしたことが思い浮かぶ。

 混血のガキとか・・・

 攻撃に切れがないような気がする。

 道に迷うし、どこに行きたいかわからない。

 ぼんやりするし、モヤモヤする。

 とっさのときの判断力の低下。

 やる気が起きない。無論、アーク探しは別で。

 基本的に食事の必要が無いのに、喉が渇く。

 更には、ルージュエリアルに出会(でくわ)すし。


 運が悪いのもあるけど・・・


 もしかしたら、アレかもしれない・・・


 突然の動悸や目眩(めまい)

 認知力、判断力の低下・・・

 食事の必要が無いのに食事をせびるようになる。

 そのうち、自分がなにをしているのかもわからなくなって、徘徊するという・・・


 老化現象に、僕は直面しているというのか?

 僕は、老いているのか?


 なんか、へこむ・・・


 昔の、元仲間だった奴が老いて逝ったのを見たことがある。僕を殺そうと躍起になっていたクセに、歳を経って行くごとに耄碌(もうろく)して、僕が誰かも、自分がなにであったのかさえも忘れて、段々と動かなくなって風化して、やがて大地と一体になったモノ。


 そんな奴を、思い出す。


 僕も、いつかはあんな風になるのだろうか?


 早く安全な場所探そう。


 そして・・・もう、寝ようかな。


 今回は、ダメージを負い過ぎた。

 なんか、一番のダメージは老化疑惑・・・

 精神的に、一番キた・・・


 そんなことを考えていたとき。


 カッ!! と、空に走った閃光(せんこう)を、当たる前に炎で流す。炎は、電気を通すからね。遅れて轟音(ごうおん)が鳴り響き、ビリビリと大気が震える。


「雷・・・ホント、嫌な奴だな。君は」


 振り返ると、


「手前ぇ程じゃねぇ。糞爺(クソジジイ)


 背中に翼膜を生やした銀色の髪、銀灰色(ぎんかいしょく)の瞳の男が、敵意の()った低い声で言う。


「ローレル・・・」


 ここ千年程の付き合いになる・・・僕を殺そうとする、僕の子孫。

 まあ、僕もコイツを殺そうとしているからね。互いに互いを目障りだと思っている…敵だ。


「くたばれ」


 バヂィィッッ!! と、電撃を(まと)ったナイフが空中に数十本現れ、僕へと飛んで来た。

 それを、避ける。と、やっぱり簡単には行かない。案の定、追尾して来た。


 叩き落として…も、無駄だな。

 よく見ると、ナイフに深紅の石が付いている。

 ローレルの血だろうな。

 アイツの血、乗っ取るのが面倒なんだ。

 何度もやり合っているうちに、生意気にも僕の操血(そうけつ)に抵抗できるようになりやがった。


 飛んで来るナイフを避けて高速で飛んでいると、雷がゴロゴロと僕を狙う。


 それを炎で散らし、ついでに業火でナイフを蒸発させる。溶かすだけじゃ、まだ向かって来るかもしれないから。ナイフを減らして行くことにする。が、蒸発させて減らして行くも、ナイフが追加されてなかなか減らない。


 バリバリ、バチバチ、ゴロゴロと・・・


 雷の刺すような閃光と轟音とで、目と耳が痛い。

 耳が馬鹿になっている。

 鼓膜が破れては再生する痛み。

 何度も何度も、鬱陶(うっとう)しい。


 炎の熱と、上空の冷気との気温差で対流が激しくなって、益々雲が活性化する。

 そして、ローレルの武器(かみなり)が増えて行くワケだ。かといって、防がないワケにはいかない。

 雷は、当たると痛いんだ。直撃すると血液が沸騰して、筋肉や内臓が焼ける。


 僕でも、ダメージを食らう。


 炎で散らして、なんとか直撃は避けているけど…実は少しビリビリと感電している。


 炎は、電気を通すんだ・・・

 腕がビクビクと痙攣している。痛い。


 場所が悪い。

 上空では、ローレルの方が有利だ。


 side:イリヤ。

 読んでくださり、ありがとうございました。

 父上登場で、イリヤと即行バチバチです。

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