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番外。シーフの自主休暇。※気になる方だけ、どうぞ。

 今回はツッコミ不在です。

 内心でつっこんでやってください。

 アルに、逢いに。


 自主休暇。

 場所は不明。

 けど、船で移動しているとリリアンが言ってた。

 なら、適当に港のある街で寝ていれば、アルが見付けてくれるだろう。愛の力とかで。


 とりあえず、父や兄貴の邪魔が入る前に、移動。


 アルやレオ(にぃ)と比べ、おれはあまり走るのが速くない。・・・面倒だが、飛ぶか。

 まずは蜥蜴(とかげ)に擬態。

 所謂(いわゆる)、サラマンダーというやつ。

 おれの母はイフリータ。炎の聖霊。ランプの(ジン)なんかの上位種。姿を変えたりするのが得意。

 おれはあんまりだが・・・サラマンダーくらいなら、なれる。

 そして、蝙蝠(こうもり)のような翼膜を背中に出して、パタパタ。サラマンダーは火を噴く蜥蜴。ちょっと、プチドラゴン?


 人型で飛ぶより、この方が楽。なぜなら、こうして飛んでいると・・・


「ん。来た…」


 青空の中、パタパタと空中を泳いでいたら、ガッ! と背中に衝撃。そして鋭い爪に掴まれる。


「よし…」


 鷹なんかの猛禽類が、おれを捕まえて運んでくれる。鳥は親切。運んでもらっている間、寝よう。


 翼膜を仕舞い、目を閉じる。


※※※※※※※※※※※※※※※


 ドス! ドス! と、身体に衝撃を感じて起きる。


 なにやら、鳥につつかれている。どうやら、巣に運ばれたようだ。雛達がおれをつつく。

 ちょっと痛いが、起こしてくれたようだ。いい子達。


「ありが、と…」


 礼を言って、鳥の巣を後にする。


 おそらく、泊まって行けとのことだろう。鳥達に、ものすごく引き留められた。熱烈。


 しかし、そうもいかない。

 おれは、アルに逢いに行くのだ。


 運んでくれた上、宿まで提供してくれようとするなんて、やっぱり鳥は親切。


※※※※※※※※※※※※※※※


 鳥に運ばれ運ばれを繰り返し、港街に辿り着いた。


 まずは、人型に戻る。


 さて、アルに見付けてもらうには・・・

 アルが通りそうな場所にいとく、とか?


 うん。そうしよう。


 適当な店に入り、軒先を貸してくれるよう交渉。

 包丁で、手を打ってもらった。


 寝ようとして、気付く。


 寝てると、アルが通っても気付かれない。

 アルにわかりやすいよう、目印が必要だろう。


 そこらに落ちてる廃材と木材で、適当に看板を作成。『アル、拾って』と書く。これでよし。


 疲れた。寝る。


※※※※※※※※※※※※※※※


「・・・い、兄ちゃん、大丈夫かっ!?」


 知らない、大きな声で身体が揺さぶられる。

 誰かに起こされているようだ。仕方無い。


「・・・ん。起きた」


 目を開ける。


「そうか、倒れていたワケじゃねぇのか…」

「ん。寝てた、だけ…お休み・・・」


 安心したようなおじさんの声に、目を閉じる。


 人の多い場所で寝ていると、よく起こされる。しかも、大抵は心配そうに。


 アルという名前の人も、わざわざ呼ばれて来る。

 けど、それはおれの待つアルじゃなかった。


 だから、店主にアルの特徴と、おれを見て取るだろう行動を伝えて、また寝る。


 雨が降ったようだ。が、平気。寝る。


※※※※※※※※※※※※※※※


 ずっと寝てると、ホームレスな人が病気だと勘違いして、食べ物とかくれる。

 おれは数ヵ月程度絶食しても平気なのだが、お礼に小さなナイフを進呈して、ちょっとだけ食べ物を貰う。刃物は、あると便利。


 自分達も大変だろうに。みんな親切。


 けれど、中にはこんな連中もいて・・・


「おうこら、手前ぇっ! 誰に断ってこの場所に寝ンだこの野郎っ! みかじめ料出せやこらっ!」

「・・・ふゎ…」


 店主の許可を得て寝ているだけなのだが・・・


 五月蝿(うるさ)いので、適当に黙らせる。が、こういう連中はずるずる仲間を呼んで面倒。


 仕方無い。立ち上がる。


「ど、どうした兄ちゃん」

「…出掛けて、来る」


 芋蔓(いもづる)式にズルズル出て来る前に、手を打とう。


 慌てる店主に『アル、拾って』の看板を任せ、おれの睡眠を邪魔した五月蝿い男を引き摺って歩く。

 目指すのは、この男の所属する組織のトップ。


 主だった大きな組織は、ある程度ダイヤ商会やエレイスの息が掛かっている。

 ダイヤ商会の社員証を見せれば、手出しはやめる筈。ダイヤ商会は、武器の大家。揉めても、損しかない。


 大きな邸の前に立つ。


「誰だ、貴様!」


 面倒なので、ダイヤ商会の名刺を見せる。


「ダイヤのっ!?」


 ざわつく黒スーツの人達に、言う。


「責任者に、用事。少し、待つ」


 と、すぐに邸の中へ案内された。


 ふかふかのソファーは、眠くなる。が、直ぐに年配の男がやって来た。


「お待たせ致しました。それで、今回は我が組織にどのようなご用でしょうか?」

「…待ち合わせ。知り合いが、来るの。待っている。そしたら、みかじめ料? を、請求された」


 蒼白な男を前に出す。


「・・・それで?」

「邪魔。しないでほしい」

「わかりました。善処します」

「ん。これ、場所代」


 と、短剣を取り出す。


 おれは普段、金品を持ち歩かない。外で寝ていると、色々絡まれて面倒だからだ。

 持ち歩きはしないが、所持(・・)はしている。服とか武器とかを、陰の中に。色々と。

 ヴァンパイアは、陰の中に収納空間を持っている。その広さは、闇属性との親和性に依存する為、闇適性が高いヒト程、広い空間を持つ。

 おれもアルも、そう広い空間は持っていないが。


 取り出したのは、おれの打った短剣。


「ASの、四十九」

「っ!? 確かめさせて頂いても?」

「ん」


 金具を取り出し、柄を開ける。

 芯の部分に、ASと49の刻印。


「邪魔、しないでほしい」

「了解致しました」

「ん」


 交渉成立。


 寝床にしている店の軒先に戻って、寝た。


 アル。早く、来ない…かな?


※※※※※※※※※※※※※※※


 困窮したホームレスがとある青年から貰った小さなナイフを手放し、とんでもない値段が付いて驚くだとか、なにを切っても切れ味の全く衰えない伝説の包丁を所有する店があると噂になるのは、数年後の話。

 読んでくださり、ありがとうございました。

 この話が「あと、五…百時間・・・」直前。

 鳥は普通に捕食のつもりですが、シーフが寝転けていた店の周辺住人は親切な人が多いですね。

 アルやレオがいないと、シーフはあんな感じです。放って置くと、周りが大変でしょう。

 思い浮かんだので、重い話の前に割り込ませました。

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