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幽閉か、結婚か、放浪の三択だ。

  よろしければ読んでやってください。

 近頃、なぜか体調が悪い。

 夢見が悪くて眠りも浅い。

 かなり寝不足気味だ。


 まあ、頭痛(・・)は起こしてないから、マシだけど。


 そんな中、父から直々に帰還せよとの当主命令が下り、久々に実家に帰って来たのだが・・・


 帰って早々、ゆっくり休む間もなく即行で呼び出しを食らった。


 それは、衝撃の内容。


「アレク。選べ。今すぐに結婚するか、今から数十年程家に近寄らないかを」

「は? 父上? 冗談」

「いや、生憎だがアレク。これは冗談ではない。本気だ。ああ、もう一つ条件があったな。一生外に出ないか、結婚するか、家に近寄らないかの三択だ。家には、エレイスの家も含まれる。スティングとクレアにも言っておくから、向こうの家にも戻るなよ? 戻れば、幽閉だ」

「あ~・・・父上? どれも嫌なんだが?」


 エレイスの家は、オレが育った家。スティング・エレイスは父上の友人で、クレアはその奥さん。二人共にオレの育ての親。


 オレの家は少々複雑で・・・所謂(いわゆる)貴族階級の、しかも最上位に近い支配層に当たる。オレは、その父上の隠し子というやつになる。

 隠し子とは言っても、兄弟仲は割といい。

 というか、異母兄の愛情が重過ぎて怖いくらい……には愛されていると言える。


 一応、うちは四人兄弟。他に兄弟がいなければ、オレはその三番目となる。

 上の二人…兄と姉は公になっていて、オレと下の弟が父上の隠し子ということになる。

 更に言えば、兄弟の全員の母親がそれぞれに違う異母兄弟だ。しかも、種族もそれぞれ違う。

 兄さんがヨーロッパ系。姉さんがアジア系。ンで、オレが北欧系。そして、弟がインドとかアラブ系な人種タイプという感じ。

 見事にバラバラだ。肌の色も違うし、みんなそれぞれの母親似だから顔も似ていない。

 瞳やパーツパーツに、どことなく父上を匂わせる共通点のような感じが多少はあるが、並んで見るとお前ら他人だろという程度には似ていない。


「選んでもらわねば困る。結婚相手のことだが・・・」


 と、父上に示された結婚相手とやらは、どれも冗談ではない相手ばかりだった。


「・・・あのな、父上? 冗談にしても、(たち)が悪過ぎると思うんだが?」

「冗談ではないと言っている。どれも至極(しごく)本気だが? 選べ、アレク。幽閉か、結婚か、放浪の三択だ」


※※※※※※※※※※※※※※


 こうしてオレは、放浪を選んだ。


 というか、他の選択肢が無さ過ぎる。


 結婚か幽閉か放浪で言うと、数十年くらいの放浪生活の方が大分マシだ。


 ちなみに、放浪生活にも縛りがある。


 まず、一ヶ所に一月以上は留まらないこと。そして、家の傘下の商業施設をなるべく使用しないこと。銀行と武器関係、仕事、あと必要物資の調達の購入は別らしいが…足の確保は駄目らしい。自力で移動しろと言われた。


 うちが持っているのは複合企業。まさしく、揺り篭から墓場まで様々な商品を取り扱っている。金融業、不動産、病院、牧場、服飾、雑貨、食品、船、そして武器。


 ホテルや別荘、保養地もヨーロッパ中のあちこち点在している…が、それらの施設はなるべく使用禁止が言い渡された。


 まあ、それは別にいいんだが・・・

 エレイスの家に帰れないのはなぁ……

 あと、レオにも頼り(にく)いし・・・


 レオ…レオンハルトは、父上の友人スティングとクレアのエレイス夫妻の息子。レオとオレは兄弟のように育った為、実の兄よりも親しいくらいだ。年が少し離れていたから、それもよかったのだろう。


 まあ、そのせいでレオと兄さんはよく喧嘩をしているのを見るが・・・レオと兄さん、姉さんは年の近い幼馴染だし。


 一応、兄弟仲は本当に良い。良いのだが・・・兄さんの愛情が重過ぎて困る。具体的に言うと、兄さんと二人きりになると、身の危険を感じるくらいの愛情の重…深さというか・・・


 とりあえず、放浪では兄さんとの遭遇…いや、接触を避けるのが第一の目標だな。


 あのヒト、過保護というか、束縛が激しいというか・・・「大丈夫です。あなたのことは僕が守りますから安心してください」とか笑顔で言って、嬉々としてヒトのこと幽閉…というか軟禁? するだろうし。


 しかも、幽閉したあとは、兄さん以外のヒトとは誰にも会わせないとかを、素でやりそうなくらいには怖いヒトでもある。


 非常に優秀なヒトではあるんだけど、身内に関しては、ネジを何百本単位とかで落としてるくらいにはブッ飛んでるヒトでもある。


 好きなモノに対する執着心が強いというか、粘着質というか・・・その代わり、興味の無いことにはかなり淡白なんだが・・・


 既に結婚して家を出て、子供までいる姉さんを、離婚させて実家に戻そうとするくらいに愛情が重…深い。


 つか、姉さんは政略結婚ではあるが、珍しく恋愛結婚でもある。そもそも、相手を選んだのは姉さんなのに、その旦那さんを未だに恨み続けている。今でも、会うとイヤミと嫌がらせ攻撃をされて・・・姉さんの旦那は憐れだ。

 姉さんの旦那、能力的には優秀で、性格もかなりいいヒトだと思っている。オレら兄弟を差別しないから割と好きなんだが・・・オレが表立って擁護(ようご)すると、逆効果になってしまう。色々と憐れというか・・・苦労性なヒトだ。


 まあ、その旦那も、あの兄さんの気合いの入った嫌がらせ攻撃にへこたれないくらいには、姉さんを愛しているらしいが・・・


 兄さんは()(かく)、姉さんには連絡を付けておきたい。万が一、兄さんに監禁されたときの保険というか・・・兄さんは姉さんに弱いし。

 あとは、レオとスティング養父(とう)さん。二人は物理的に兄さんよりも強い。

 保険は多いに越したことはない。もしものときには助けてくれることを願おう。

 そして、う~ん・・・リリは、悩む。珍しく、あの兄さんが苦手としている相手ではあるが・・・やっぱリリは保留にしておこう。


 直接顔は合わせ難いが、手紙や伝言くらいはいいだろう。


 まあ、うだうだ考えててもしょうがない。適当にあちこちふらつくとしよう。

 読んでくださり、ありがとうございました。

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