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第三世界トラブルツアー~世界すくってほしいんだけど?~  作者: もろよん
異世界ダンジョン編
98/110

EP94 危険な何か

師走もお願いしわっす

 (エスパーか・・・・・・)


 雨宮の記憶に残るエスパーと言えば、不結理に寄生していたもはや生物と呼べるのかも分からない物体と、今医療部隊に面倒を見て貰っているミクスパー・・・・・・ガーディオン型アンドロイドとエスパーの混合生物だ。後者は雨宮が新しく生み出した生命体ではあるが、元々存在していてロペの精神を蝕んでいた天使響(あまつかひびき)の精神生命体を修復し、サーバーに保存して置いた物をコピーして自我の芽生え始めたガーディオン型アンドロイドへと植え付けた。


 今正に面倒事が起こっているこの状況で新しい面倒事が舞い込んでくるのを喜ぶ事など無く、雨宮は何とかして地球圏へと近付いてくるギルドの人間・・・・・・エスパーと思われる奴らを遠ざけたい。少しでも時間稼ぎが出来る方法が無いかと策を巡らしていく。現状を考えると今の月ダンジョン攻略を邪魔されるのを避けたいのと、不確定要素であるエスパーと思われるクランと接触したくないと言うのがあるのだが・・・・・・。


 (めんどくせぇ・・・・・・)


 暇をしている時は徹底的に暇で居たい、怠惰を貪りたいのが雨宮だ。既に雨宮の気持ちは休日のそれになり、気持ちの上ではこのブリッジすら離れて折角購入したVRシステムを自らと接続し、皆が楽しんでいるというスペースアーク2とやらを遊んでみたいと完全に心ここにあらず、ふわふわの状態が出来上がっていた。


 (こうなってくるとどうしようもねーな・・・・・・)


 上位の眷属達によってこのブリッジに押し込められる事は仕方が無いと受け止めたが、だからといって此処で何かをやるかと言われれば先程のように通信の対応をするぐらい、しかも此処に銀河旅団がいる事を知っている人間もそう多くなく、滅多な事では連絡など来ない。


 一方的に眷属達の位置を把握する事が雨宮には出来、リンクを構築する事無く彼女達の居場所を把握出来るが、今の眷属達は世界の壁の向こう側に居ると言う状況下にあり、仮にダンジョンがこのまま大きく姿を変え、向こう側に取り残される事になってしまうと、助けに行くのが非常に面倒になる。具体的にはエネルギーが足りない。そう言う事が有るものだからいざという時、彼女達全員をこちら側に連れ戻す為にこのメインブリッジに居なければならないのだ。


 (あと五日か・・・・・・充分かねぇ?)


ーーーーーーーーーーチームエクス


異世界ダンジョン最深層 前線基地


 「それじゃ各パーティこの辺の散策と、上位勢はユグドラシルへと侵攻を開始しようかぁ」


 各パーティの配置を確認したエクスは、世界樹を北とした地図の上で北西方角にある小さめの集落へと向かう。


 鬱蒼とした森の中は人の手が全く入っていないようで、喧噪なども聞こえず只緩やかに流れる空気に押された木々が僅かに揺れる音と、チームエクスの皆が木々を掻き分け進んでいくサクサクという音と、時折地面に落ちている小枝を踏み抜くパキッと言う音が静かな森に響く。


 「静かな森ですね」


 シスがふとエクスの服の裾を掴み、警戒を怠らないままでボソリと感想を漏らす。


 「確かになぁ、生き物の気配が全くあらへん」


 数時間は経っただろうか、警戒しながらの侵攻ではそれほどの距離を稼げた気はしていないエクスだったが、薄暗い状態のままで一向に日が落ちる気配の無い周囲に対し、そう言えばダンジョンの中だったと今更ながらに思うぐらいには、時間の流れを感じない世界であった。


 「ずっとこの薄暗いままやと、あんまり時間がわからへんねぇ」


 「ナノマシンのお陰で時間は把握出来ますが、この時間は飽く迄外の物で在って、この世界の物とは違いますし」


 ヒューニは自らの視界に時刻を表示させるが、太陽系標準時間にして二十時を少し回った所である。眷属クルーにとっては特に問題の無い時間という概念ではあるのだが・・・・・・。


 「・・・・・・はぅ」


 「イミルはもうちょっと眠たいねー」


 「今日は色々有ったさかいなぁ」


 さっとイミルを背に乗せたシスは、それをフォローするように動くレレイを横目に見ながら、イミルを起こさないように魔法で少し宙に浮いたまま歩みを進める。


 更に少し進みイミルが完全に熟睡した頃エクス達の視界には、明かりの消えた集落が映り、微かにナノマシンに反応がある。


 集落の周囲をぐるっと一周確認したエリナの案内で、外れにある空き家へと集まったチームエクスは、ちょっとした違和感を憶えたと言うエリナの話を聞く事になった。


 「全くと言って良い程気配を感じなかったのよ、何処の家にも人間は居たわ。でも気配が無いのよね。因みに此処はフェアリーの集落のようね、それ以外の種族はいなかったし、それ以外の生き物も居なかった・・・・・・食料と思われる物さえ発見出来なかったわ」


 「やはり夢魔法、実体を伴う幻想か・・・・・・」


 「此処は誰かの精神世界の中という認識で良いのかも知れませんね」


 「ホンならその正体はあのユグドラシルっちゅー事でええのかもねぇ」


 ユグドラシルの見た夢の世界、その中に居ると仮定したチームエクスは夜中の内にイミルをのまま空き家のベッドへ寝かせ、シスを見張りに置き集落を探索する事にした。


 「気が付かないと思ったか!侵入者め!」


 (思いっきりウチ等が空き家に居るのバレとったんか)


 「そんな筈は無いんだけどねぇ?」


 エリナが首を傾げながら空き家の周りを取り囲んだフェアリーの男性達の一人の後ろへと回り込み、サクッと肩口から心蔵の真横を目掛けてミスリルナイフを突き刺し、伸びた刀身は脇腹から貫通しポタポタと血液のような物を滴らせた。


 「なんなんやろうなぁ?手応えは?」


 「体温無し、血液の循環はあるようだけどまるで栄養素が無いわね。形だけ模して創られたイミテーション・・・・・・偽物ね。とても生物と呼べる存在では無いわ」


 「ぐっ・・・・・・貴様・・・・・・」


 死なないように傷付けられたフェアリーの男は僅かに身動ぎし、臓器を傷付けないように制止させていたナイフの刃に当たるように身体が動いた。


 「!?」「あーあ」


 そのまま崩れ落ちるフェアリー男性。するりと抜けた刀身からは殆ど出血は無く、死亡した男性は光りの粒となって消えていった。


 「・・・・・・あー。成る程」


 「貴様!何故殺した!」


 「何故って自殺しただけじゃん」


 「訳の判らん事を!」


 数人のフェアリー男性達が事の顛末に憤り、武器を持って文字通り飛びかかってきたのだが、エリナに素手で薙ぎ払われ先程の男性の様に光りの粒となって消えていった。


 「弱・・・・・・」


 弱いと言うより寧ろ虚弱すぎると思える程の彼らは蹈鞴を踏み後ずさる。流石にエクスもここまで弱いとは思っていなかったが、アナライズの魔法で確認してみればそれも直ぐに理由の分かる事だった。


ーーーーーーーーーーアナライズ結果を表示します


ヤンヤヤ・マガタ・インフォ・スタゲ・セル・シンジ イミテイトフェアリー 


HP 1/1


MP 100/100


先天スキル


ユグドラシルの加護ver0


後天スキル


大声


ーーーーーーーーーー


 (・・・・・・人間のステータスとちゃうんよね)


 アナライズに表示されたそのステータスはモンスターの物で、尚且つあまりにも儚い。しかも本人達はそれを知っているのか分からず、エクスの確認した限りではアナライズの魔法を使えるフェアリーは存在しなかった。


 (何て雑な世界・・・・・・。ウチ等の世界がどれだけちゃんとした世界かよぅわかるわ)


 これ以上調べても今此処では何も得られないと判断したエクスは、空き家を囲んでいたフェアリー男性達を押し退け、集落の中心にある長の家と思われる少し大きな建物へとそのまま入っていく。扉を開けるのも面倒だとそのまま手で払い、玄関ごと破壊して長の家へと入ったエクスは他と雰囲気の違う二人のフェアリーを見つけた。


 「あら、随分乱暴な来訪者ね」「流石に玄関が無いと困るわね、寒いわ」


 外に居た男性フェアリーよりも二回り程大きな・・・・・・、一般の人種女性と比べても変わらない程の女性フェアリーが二人食卓を囲み、全く興味が無さそうにエクスを一瞥し食事を続ける。その口元に運ばれているのは何かよく判らない、認識出来そうで出来ない靄の掛かった何か。それは霞・・・・・・では無く魔力の塊を更に昇華させたような高純度のエネルギー、つまりマナだった。


 「あんたらマナを直接喰っとるんか」


 「よく判らないわ?」「マナって何かしらね?」


 (あんな高純度のマナを取り込む?モンスターとは言えそんな事が出来るか?・・・・・・そんな事が出来るのは精霊しか居らんけど、此奴らは精霊とちゃうし・・・・・・)


 暫し理解の及ばない状況に固まるエクスだったが、エリナからのアナライズが通らず渋々ナノマシンによる解析を行う事にした。その結果・・・・・・。


ーーーーーーーーーー


イリ・エント・レレレレレイ・シナ・ジョシー 二万八百五十六歳 古代フェアリー種 多元世界調律司


状態 平静 沈静 傀儡 失明


種族スキル 


 調律(封印)


固有スキル 


 門を閉じる者(封印)

 

付与スキル


 ユグドラシルの加護ver1.5(封印)

 ユグドラシルの加護ver0

 強制生存システムver1.5

 強制エネルギー変換システムver1.5

 思考封印(M)

 行動ルーチンプログラムver0.9999999


後天スキル


 樹木系システムエンジニアリング

 真なる閉鎖の紋章

 停滞の紋章

 火炎の紋章

 風神の紋章

 雷鳴の紋章

 ストラングルダガーアドミニストレーターLv8

 瞬間移動システムLv1

 支配されない想いLv9


ーーーーーーーーーー


コリジョ・イイマー・セニン・ショウ・ジンジルルルイムウ 古代フェアリー種 多元世界観測司


状態 平静 沈静 傀儡 失明


種族スキル 


 調律(封印)


固有スキル


 全てを見抜く瞳(封印)


付与スキル


 ユグドラシルの加護ver1.5(封印)

 ユグドラシルの加護ver0

 強制生存システムver1.5

 強制エネルギー変換システムver1.5

 思考封印(M)

 行動ルーチンプログラムver0.9999999


後天スキル


 知識の湖の紋章

 知恵の紋章

 拡張の紋章

 制御の紋章

 停止の紋章

 神力の紋章

 硬質化の紋章

 ストラングルパワーアドミニストレーターLv4

 重力遮断プログラムLv1

 ウルトラど根性Lv9


ーーーーーーーーーー


 (予想より随分斜め上の奴やったわ・・・・・・)


 「今何をしたのかしら?」「目が見えないから分からないわ?」


 「「何か仰って?」」


 手を止める事無く食事?を続けている二人だったが、ナノマシンによるスキャンに何かを感じ取ったらしく首だけを動かしエクス達の方を向いた。しかし身体はそのまま食事?をする事を止めず、カチャカチャと食器を擦る音が静かな部屋の中に響く。


 (可能性は有るかな?)


 「あんたら何しに此処に居るん?」


 ステータスを確認したエクスは見覚えのあるステータス構成に可能性を感じ、まだ残って居るであろう自我へと向けて揺さぶりを掛ける。


 「・・・・・・ぐぅ・・・・・・バグを直しに・・・・・・が・・・・・・」「無辜の民をが・・・・・・す・救う為・・・・・・ぐ」


 (成る程な只もんや無い訳か、仮にも管理者の支配を完全では無いにせよ撥ね除けては居るみたいやし)


 二人は行動を強制されているらしく、口を告いで出てくる言葉は殆ど意味を成さないものばかりだったが、エクスからの質問に反応し何やら強烈な意志を持ってその強制力に抗い、辛うじて質問に対する返答をひねり出した。


 「こ・これを持って行きなさい・・・・・・」「不用意に・ぐが・・・・・・近付いては駄目よ・・・・・・ブッ」


 (!?これは!)


 彼女達の力は凄まじい抵抗を見せ、目や鼻から本物の血を吹き出しながら、その強制力に抗いつつエクス達にも気を遣ってみせる。


 「ぐ・他の仲間が居るなら・・・・・・急ぎなさい・・・・・・」「此処が限界ライン・・・・・・よ」


 (ロペはん!止まって!!)


 エクスは二人から白く輝く指輪を受け取り、直ぐにそれを分析に回そうとして思い留まる。


 「駄目よエクス、それはきっとアーティファクトだから」


 「うっ、今は無理やな・・・・・・」


ー何か有った?


 (ロペはん今どの辺りに居る?世界樹に近付いたらエラい事になるよって教えてもろたわ!)


ーあー・・・・・・もう集落の目の前に居るんだけどナー・・・・・・


 (直ぐそっちに行くさかい、少しでも離れて待っててな?)


ー了解、ナノマシンフィールドに何かが当たってエネルギーがゴリゴリ減ってるから急いでー


 (えー!?)


 リンクを再開し情報を交換したエクスは取り敢えずシスにこの場に止まるように指示を出し、エクス・ヒューニ・エリナ・レレイの四人で一気にチームロペの元へと向かうのだった。


ーーーーーーーーーーチームミンティリア


 「皆を任されたとは言え・・・・・・濃いわぁ」


 チームミンティリアは前線基地から北東方向、階段の上から謎の小屋が発見された場所へと足を進めていた。


 ミンティリアをリーダーとし、ロウフェル・シャムエル・ゴルゴネア・ヘラ・アイオネアの六人で構成されているのだが・・・・・・。


 「あの、私多分足手まといになると思うんですけど」


 「撮影するんでしょ?アンタ眷属じゃないからそのカメラを通じてしかサーバーと映像が繋がんないから、別に俯瞰の映像が有れば良いのよ」


 「まぁアンタは私がちゃんと守ったげるから安心しなさいって」


 ヘラは普通の人種サイズに成った姉のアイオネアを肩に乗せ、ゆっくりと歩みを進めている。他の皆と違い身体の大きな彼女にとってこの森は非常に歩き辛い。


 「じゃーヘラっちの事はアイオンに任せた。正直何が出て来るか分かんないからさ、あんまり警戒させたくないけど・・・・・・」


 巨人娘であるヘラはその四メートル程の巨体でバキバキと小さな木や草花を薙ぎ倒しながらカメラを構えてゆっくりと進む。その進みに併せてパーティは周りを警戒しながら進んでいるのだが、周りに気配は一切無く、寧ろ此方が騒音レベルで五月蠅いだけで在り、森は至って静かだった。


 「警戒ってレベルじゃ無いわねー」


 ゆっくり進む地上組は騒音を撒き散らしながら目的の方角へと真っ直ぐに進んでいるのだが、それはナノマシンによる誘導では無く、上空獣数メートルを飛ぶ天使二人の誘導によって実現しているのだった。


 「ロウフェル、うろちょろしないでくれる?そっちには何も無いから・・・・・・」


 「いやしかし気配が無いからと言って何も居ないとは・・・・・・」


 「あのねぇ、私達はさっと偵察して直ぐ帰るのよ。この先には小屋しか無いんだから。上から散々見たでしょ?」


 「むぅ。じゃあ先に小屋まで行ってくる」


 「だから何でジッとしてられないのよ・・・・・・」


 パーティーメンバーから離れずに辺りを見渡し上空からの偵察を行う二人の元天使は、一人はフラフラとあっちへふらりこっちへふらりと偵察をしているのか観光をしているのか分からないような状態で、キョロキョロと辺りを見回したかと思えば突如目的地方向へと高速で飛び去ってしまった。後に残されたもう一人は地上に降り、もう放って置こうと安全が確認できたことを告げた後、他のメンバーとともに歩いて先へ進む事にした。


 「シャム、ほっといて良いの?」


 「言っても聞きませんから、でもあそこまで行ってしまうとどうなるか・・・・・・」


 五人は漸く見えてきた小屋の前に佇んでいるロウフェルを見ながら、何をしているのかと近付くと、その身体にはビッシリと木の根が纏わり付き腰から下が完全に呑み込まれていた。


 「炎よ」


 シャムエルはその様子を見るや否や自らの魔法を行使しあっさりとロウフェルごと木の根を燃やし、アイオネアは拳の拳圧で小屋を丸ごと吹き飛ばした。


 「お前は何をやっているんだ・・・・・・全く」


 「い・行きなりだったんだから仕方ないだろう・・・・・・」


 ロウフェルとて上位の眷属としてそれなりの力はあるはずなのだが、それを以てしても破れない程の力・・・・・・では無く単純に彼女は焦ってどうすれば良いか迷っていただけだった。


 「別に助けて貰わなくても大丈夫だったんだぞ?」


 「そんな事分かってるわよ。みっとも無いから普通に罠に掛かるのとか止めてよね」


 ミンティリアはやれやれと頭を振り、バラバラに砕け散った小屋の中に居た男が瓦礫の中から姿を現した。


 男は所謂ダークエルフ種と言われる種族ではあるのだが、第三世界に居るダークエルフ種とは何かが違うとミンティリアはアナライズを実行するが、その魔法は弾かれ男は傷だらけの身体を庇うように少し後ずさった。


 「アナライズ等通るかよ、お前達は何者だ、行きなり何故こんな事を・・・・・・」


 「第三世界のダークエルフとは何か違うわね?額に何か付いているようだけど」


 目の前に居る男の額には水色に光る宝石のような石が埋め込まれており、その話題になると男はしかめっ面になりこの場から直ぐに立ち去りたそうに辺りをキョロキョロと見渡すような動きを始める。しかし足を骨折したのかその場から動こうとはしなかった。


 「面倒は止めましょうよ、時間が惜しいの。貴方は何の為に此処に居るの?」


 「聞かれて応えると思っているのか」


 「別に応えなくても良いのよ、バラして後から調べれば良いだけだし。その手間を掛けさせたくないだけ」


 「この私がそう簡単に死ぬと思うなよ・・・・・・」


 「アンタが誰だとかそんな事はどうでも良いの、話さないならそれで良いわ」


 男は抵抗をしようとしたのか右手をミンティリアへと向け何かを発しようとしていたが、ミンティリアは至って普通の足取りで男に近付き、平手打ちで辛うじて立っていた男を張り倒し、そのまま分解した。


 「分解ってまだなれないのよねー」


 「分かります。私もまだ触れないと出来ませんから」


 シャムエルはミンティリアに同意し、瓦礫の後をさっと纏めて分解に掛かる。


 「成る程ねー。これもアーティファクトかぁくっだらない」


 ミンティリアが男を分解した際に分かったのは、男が第五双性世界人で在る事と、彼がクローンエルフで有ると言う事、そしてこの世界に囚われていただけだったと言う事。それだけだった。


 「此処はハズレね。私達は基地に戻りましょう」


 「先へ進まなくても良いのか?」


 「あっちにはロペさんが行ったでしょ?私達まで行く必要なんか無いわよ」


 「そうか・・・・・・」


 不完全燃焼と行った感じでチームミンティリアは元来たルートを引き返し、前線基地へと戻ったのだが・・・・・・。


ーーーーーーーーーーチームD


sideドゥールーシ


 「レキオンさん!大丈夫!?」


 「こっちは気にするな!その男をたたけぃ!」


 「おやじっ!」


 「ガイキン!併せるぞ!」


 見上げる程巨大なキメラディードが前線基地を襲ったのは今から数分前。周辺警備に当たり特に何も無く問題も起こっていない、それだけを確認する為に森の近くまで行ってちょっと木を伐採してみたり、コンコンと杖を地面に突き立て少し魔力を浸透させ地中を確認してみたりと、欠伸をかみ殺して数時間も経った頃、南側の地平から突如巨大な影が基地の間近に現れ、眷属の一人を口の中へパクりと放り込み、一瞬何が起こったか把握する迄に時間を要し、暴れ転がり回るモンスターがキメラディードで在る事が漸く分かった時は既に周りの眷属達は戦闘を始め、折角設営したテントを薙ぎ倒し、下敷きにしてゴロゴロと破壊の限りを尽くすアリクイのようなその姿に烈火の如く飛びかかったのは、元巨人王レキオン・ヴァンガルドだった。


 レキオンはその巨大さを見るや否や自らも元の大きさに戻り、十メートル以上在る巨人の姿へと戻ったのだが・・・・・・。


 「ドゥールーシ!緊急事態だ!」


 「え!?何!?凄い声が大きくて逆に聞き取れないよ!?」


 かなり焦った様子で大声を出したレキオンはナノマシンリンクで通話すれば良いのだと思い出し、直ぐに頭を切り替える。


ーエネルギーが直ぐに無くなる!この姿で居られるのは一分だけだ!


 (嘘でしょ?又エネルギー枯渇なの?)


ー違う!エネルギープールからエネルギーが送られて来んのだ!


 (当たり前でしょうが!そのエネルギーを確保する為に此処に居るのを忘れたの!?)


ーこの姿なら直ぐに倒せはするが・・・・・・


 (さっさと倒して分解しましょうよ、これだけ大きいんだから相当エネルギーも有るでしょ!)


ーそうだな!


 微妙に天然さを見せるレキオンを促し共に巨大化しようとしていたテツを思い留まらせた彼女は、マッサマン攻略作戦からチームを組んでいた他の二人と共に、がっぷりと巨人王モードのレキオンと組み合っているキメラディードの足下へとやって来ると、ナノマシンの制御へと意識を向け、その足先からジリジリと分解を始める。


 (あ”~~~これは凄いエネルギーだわぁ~~)


 自分の身体を通してエネルギープールへと送られていくエネルギーの波に恍惚とし、一種の万能感を憶えたドゥールーシはハッと正気に戻り、そのエネルギーの一部を使い分解の出力を一気に最大まで引き上げる。それを見た他の三人も同じ様に出力を上げ右足一本が完全に分解され、バランスを崩したアリクイのようなキメラディードは、レキオンが手を離した事で大きな振動を起こしながら地面へと倒れた。


 しかしそれを見た何者かは南の森から飛び出し、チームDへと襲い掛かる。


 「チッ、デカいモンスターを創るのにどれだけ苦労したと思ってやがる!」


 「そんな事を言っている場合ではないぞ、あの巨人只者では無い」


 そんなやり取りをしているのを見ながら、ふと視界の端に表示させたままにしてある時間を確認するドゥールーシ。


 (あ、一分経った)


 「縮むぅ~」


 「バカ親父・・・・・・」


 「レキオンも一緒に分解して下さい、直ぐに力も戻るでしょ?」


 しおしおとエネルギー枯渇させたレキオンも三人の眷属と共に分解へと加わり、みるみるうちにマッスルボディを取り戻し分解の出力を上げていった。


 問題が無いと思ったテツはそのまま四人を背に、ドゥールーシと共に南から現れた六人の冒険者とは思えない一行へと向き直る。


 「穏やかじゃねぇな、こんな化けモンを嗾けてくるなんてな」


 「まぁキメラディードを使う位だから、第五双性世界でエルフを攫っていた奴らの仲間なんでしょうけどね」


 「お前何者だ!?」


 腰にロングソードを下げた騎士のような男は、ドゥールーシへとその切っ先を向け青白い電撃を突如として放つが、彼女には全く効果が無く逆に杖をコツンと地面に突いた彼女が放った岩の杭に身体の中心を貫かれ、串刺しとなり息絶えた。


 「ああっ!?オリジナルがっ!お前等なんなんだ!?」


 「ふふんわたしt」「お前達に名乗る名前は無いっ!」


 つい聞かれた事に応えてしまう素直系ツンデレ女子ドゥールーシが、意味も無く銀河旅団の事をバラしてしまうのを阻んだのは、アヤカ・ムーン・トキカゼ元エルフ種の上位眷属だった。


 「バカッ。不用意に敵に情報を渡すんじゃ無い!」「ゴメンナサイ!」


 ひそひそと慌てて乱入してきたアヤカはつい声に出してドゥールーシを叱責するものの、ナノマシンリンクで通信すれば良かったと後悔した。


 (チームC・Dと合流、侵入者を捕縛、解析する!)


ー了解


 キメラディードの存在もほぼ完全に分解され、チームDのメンバーもついでにエネルギーを全快させ戦線へと復帰し、襲撃者六人マイナス壱とチームC四人及びD五人、九対五の構図が出来上がった。


 「チッ、数で俺達に勝てると思うなよ!」


 「実力の無い奴は直ぐそう言う」


 両手にハンドアックスを持ったドワーフと思われる男は、両脇に侍のような男と忍者のような女を従えて突撃してきたのだが、そのスピードに併せて後ろに回り込んだチームCメリンダ・ジュピタ・ジュードによって走った勢いのまま首から上が宙を舞い上がり、彼女はそのままの勢いで両脇の二人にも武器を向けたのだが、その攻撃は防がれてしまう。

 構図的に二人の間に囲まれてしまったメリンダだったが、二人が足を止めた瞬間にアヤカは銃を抜き辺りに響く銃撃音を響き渡らせ、二人の膝を撃ち抜いた。


 「ふっ。膝に銃を受けてしまってな・・・・・・」「そんな事を言っている場合か!」


 倒れた二人は結構余裕があるらしく、ふざけた事を言いながらも抵抗はしなかった。残った二人は何やら通信機のような物を手に誰かと話をしている様なそぶりを見せていたのだが、どうやら通信は届かないらしくドゥールーシ達に向き直り、銃を構えようと腕を動かした時には既に手首から先は無く、盛大に出血しながら後ろから誰かに蹴り飛ばされ、チームC・Dの前へと転がった。


 「ジリー・ライヤー見参~なんてねー」


 諜報部所属のジリーは偶々報告に戻った所でエネルギー問題の渦中に飛び込む事となり、そのまま突入パーティーへと参加した。


 「ご苦労様、ジリー一応止血はしておいてね、彼らは普通の人間らしいから」


 「らじゃらじゃ~」


 ドゥールーシはチームCの鮮やかな手並みを目の当たりにし、自分はまだまだ未熟だと少し俯いた。


 「貴方は用兵の経験が殆ど無いのでしょう?初めはそんな物よ。私はコレでも経験が長かったりするから・・・・・・巧く出来るだけよ」


 「むぅ」


 「さて・・・・・・此方は片付いたみたいね?・・・・・・?」


 「あんまり活躍出来なかっ・・・・・・?」


 チームDに参加していたクレアはマッサマンにて何度か話をしていたアヤカと並び、自分が活躍できなかったことを悔いていたのだが、不意に辺りが暗くなり目前に壁が迫ってきている事に気が付く。同じ様にアヤカもその壁に気が付き、もしや世界の終わりかと考えたが、ナノマシンによる巨大なエネルギー反応があり危機を感じ取ったナノマシンがスキャンデータを周辺の眷属達へと散蒔いた。


ーーーーーーーーーー


世界獣 メテオスライムver0999


状態

 Lv -

 HP ー

 MP ー

 

個有アビリティ

 分裂

 硬質化

 加熱

 ウルトラジャンプ

 

先天アビリティ

 不死

 導かれし者の元

 マナの保有者

 大いなる栄養素

 根源たる水


ーーーーーーーーーー


 (!?)


 「世界獣って何・・・・・・?」


 ぷるんっとした山がそのまま迫ってくる状況を整理しきれず、上位眷属達は前線基地に展開していたアーティファクトや機器類を位相空間へと無理矢理放り込み、森の方へと走って逃げるのだった。

ーーーーーーーーーーチームロペ ロペ アーニー キャンディ エスト パメラ


ロペ・キャッシュマン 31歳 超人種 冥星軍大尉


 (BEROPE35426(べろぺ)の転生体。連合宇宙軍冥王星宙域海賊対策室所属の大尉。雨宮たちを転生させたベロペ本人が転生した姿。転生したことで力の大半を失っているため、ほぼ普通の人間と本人は雨宮に伝えたが、その実は管理権限を凍結されただけで、力は失っておらず、普通の人間を逸脱した力を使うことが可能である。ただ本人が隠しているわけではなく、純粋にそう信じている為に使おうと思えば使えることを知らない。現状すごくできる軍人といった評価。

いつか魔法を使えるようになりたいと常々思っている。(実際は既に使用可能)


(2)ハイパーヒューマノイド化


 眷属化し徐々にベロペの時の記憶を取り戻しつつあるが、それに伴い本来の役割を全うするべく暗躍し始めるも、他の眷属達もそれぞれの目的に動き出した事を察知し、雨宮の確保に力を入れる。人であるか人で無いかの境目が虚ろになりつつある他の眷属達とは逆に、明確な自我に目覚め自らの欲望を満たしつつ、雨宮の幸せを願うより人らしい存在へと昇華した。(EP31)


(3)ウルテマヒューマノイド化


 数多の経験を経て準備を整え、雨宮に触れた時、全ての存在が収束し一つになった唯一のロペ。


 ウルテマヒューマノイド化した事により本来有るべき姿に戻る事が可能になったが、彼女の思惑と現状がかけ離れてしまっている事が瞬時に判明、軽く絶望を覚えるも修正は可能だと思い直し、改めて雨宮の存在するこの世界を堪能しようと計画を練っている。


 進化後間も無いが元々の彼女は雨宮と同じ高密度精神生命体という、第三世界内には存在しない上位存在であり、悠久の時を過ごしてきた世界の管理者である。

垣間見た光景は一体何だったのか。それは彼女のみぞ知る。(EP78)


(4)髙鐘(たかがね) 蓮華(れんげ) ??歳 元銀河研究会幹部


 閲覧制限 コードEAM 閲覧権限が有りません 管理者に問い合わせてください(EP78)


(5)銀河帝国后妃 銀河帝国諜報部司令


 古い友人達から思い出の欠片を集め、本来の自分を取り戻した存在。彼女にとって雨宮は様々な点で欠かす事の出来ない存在であり、唯一無二の目的。


 雨宮の認識出来ない過去から訪れた存在。未来を目指し未来を想像し未来を自らのてで創り上げた原理存在として、三千世界にとって唯一無二の存在と昇華したがその目的が揺らぐ事は無く、彼女の目的はただ一つ。


 腰のホルダーに備えた黒いチョークのような物を使い、この世界に存在しない魔方陣を描きあらゆる事象に干渉する事が出来、世界の原理原則を書き換え修正する事が出来るが、ハイパーヒューマノイド系列の存在として活動し戦う為のエネルギーが、雨宮の造り出した超巨大アーティファクトとも言える位相空間内に設置した超演算装置ワールドエミュレーターを通じ、電子空間と繋がる未知の空間に存在するエネルギープールからしか供給されない為、書き換えのような莫大なエネルギーを使用する力は雨宮の許可無くしては使用出来ないが、現段階(異世界ダンジョン進行時)でエネルギープールの蓄積可能エネルギー量は天文学的な程多く、僅か一桁%を消費するだけで前述の力を行使する事は可能である。しかしそう言った力の行使は波として波及しやすく、連鎖的に多くの事象を引き起こす為、超演算装置の未来予測を用いる事が必須となっている。


 肉体的には既にベロペで在った頃の能力を超えているのだが、その力を使う必要が全く無い為、運動不足にならない程度にトレーニングルームで汗を流す程度に留めている。最近のマイブームは雨宮の筋トレ中にちょっかいを出す事。


 趣味は戦略シミュレーションゲーム、好きな食べ物はにぎり寿司。


 得意属性は静寂・停滞・抵抗・浄化。聖と闇の相反する二つの属性を得意としており、戦闘時には敵の攻撃を止める、止めさせる、敵その物を停止させる等多岐に亘る事象干渉が出来る。又相対する存在の精神生命体その物を浄化し、世界から消し去る事も得意としている。


 遠い過去、有名戦略シミュレーションゲームにて兵糧攻めプレイを得意としていて、一つのゲームを数年間CPUが滅亡するまでプレイしていた経験を持つ。彼女のそう言った忍耐力の強さが今日に迄続く、永遠と呼んで相違ない時間雨宮の為に世界を造り続ける事が出来たのでは無いかと言われている。


 好きな寿司ネタはハマチ・ブリ。特に脂ののった養殖物が好き。


 第三世界において魚や牛、豚等という食用の家畜は高級食材として市場に出回っており、元々セレブリティと言っても過言ではない家庭に育った彼女は天然物すら食卓に上がっていたのだが、当時記憶の戻っていない状態でも何故か天然物を不服そうな顔をして食べていた。


キャンディ・キャッシュマン 超人種 33歳 キャッシュマン一族の三女 6


 ブループラチナのツインドリル。身長百八十、体重六十。上から98/63/77


 全面的にセレブリティな雰囲気をまとうキャッシュマン一族の三女、上から数えると序列は六番目、力の次女アーニー、技の長女エストの二人と違いバランス型の努力する天才。現在ロペを含むキャッシュマン一族の中で最も戦闘能力が高いが、淑女としての在り方を模索する中でその力を見せることは決してしないと誓いを立てる、しかし雨宮たちがキャッシュマン邸に訪れた際、自分と同レベルの者やはるかに格上の存在を見つけ力を隠す必要性を感じなくなった。


 雨宮の存在に違和感を覚える数少ない一人、キャッシュマン一族の中でも異質な存在ではあるが、家族への愛情は人一倍、特に末妹のパメラに対しては非常に甘い顔を見せる。


 冒険者としてのランクはBランクこれはエストがAランクより上に行かない事から、その一つしたくらいでいいとの考えであえてランクを上げずにとどまっている。姉エストと同じく火星ダンジョンへとソロで侵入し傷一つ無く帰ってくる姿から、『不懐の乙女』と呼ばれているが、パーティを断られた男達からは『ツンドリル』と、陰で呼ばれている。


 趣味はVRゲーム、特にRPGに目が無く幼いころから新旧ソフトウェアを買い漁り、バグゲ~で有名な『エンダーVSジャパン』でトッププレイヤーとして君臨していた。その時のPNは『ねじり棒』(EP29)


(2) 銀河旅団近衛第四部隊エスト隊副隊長


 雨宮に完全に傾倒しているわけではないが、非常に好ましく思っているのは確か。


 先頃ライによる量産型量産計画の一端を担い、雨宮とロペの合作であるウルトラロボットクリエイターをクリアし、周回プレイを繰り返し行っている。現実に干渉する謎のプログラムを解析するべく、繰り返し量産計画と並行し解析を行おうとしてはいたものの、妹と共にゲームに打ち込むのが楽しくてしょうが無い。


 親衛隊ミリュによって異世界の存在としてマークされている事を知っており、接触されるのを待っている。


 中二をこじらせたような内面をしており、上手く仮面を使いこなして他にはばれないようにしているつもりだが、サーバーの中を監視出来る雨宮、ミリュ、リファンリアの三人には筒抜けであり雨宮に至っては彼女が楽しめるように、ウルトラロボットクリエイターの大型アップデートを実装する事に決めている。


 立場上中々ロペやエスト達姉妹との接点が持てず、一緒に食事ぐらいしたいと思っているのだがお互い忙しく、今のところかなう予定がない。


 ウルトラロボットクリエイターにて自分の為に最強のマシンを作る事を目標にして日々素材集めに奔走しているが、実は機械音痴でありプレイヤーとして最高の能力は持ち合わせてはいるものの、クリエイターとしてはライの手助けが必須であるが故に思うように行かない事を少し残念に思っている。(59


(3)ウルテマヒューマノイド化


 雨宮の姉妹達に接する接し方に疑問を持ち、雨宮の私室へと突入したが最後、雨宮との壮絶なナイトバトルに敗北し、何時しか雨宮を完全に受け入れる事を許していた。元々彼女は雨宮に対して好意を抱いており、その好意がロペの邪魔になってはいけないという考えの元雨宮と距離を取っていたが、最近は考えを改め自ら前へ出て雨宮の目に留まるような動きをすることが多くなって来た。


 進化した彼女はΔの存在を感じ取ることが出来るようになった他、Ωの存在を認識出来るようになり、エリーの力を借りれば不可逆進化『裏返り』を行う事が出来るようになったが、現状それを行う必要性が無い為雨宮にその情報を伝えるだけに止まっている。


 雨宮からウルトラロボットクリエイターの第一次大型アップデートの情報が下りてきた時、彼女は歓喜し盛大にガッツポーズを取っていたという。


 眷属化した事により全体的に大幅にパワーアップしており、戦闘能力に関してはロペと並ぶレベルのものとして認識されている。


(4)銀河帝国教導連隊上位教導官


 銀河帝国全体のレベルを底上げする為に組織された教導連隊に所属する連隊幹部の一人。


 彼女は主にVRシステムに関するプログラムや、VR仮想世界の構築による世界的優位性についての教えを銀河帝国内で広め、雨宮より使用を許可されたウルトラロボットクリエイターが在り、その内部に存在する事象干渉システム、|マシンクリエイター《二世界間相互干渉プログラム》の使用方法を研究、研鑽する事に因り様々な可能性の扉を開く事が出来ると新たな研究チームを立ち上げ、ウルトラロボットクリエイターを研究する規模を拡大、戦力の拡大や新技術の研究についてクルー達を集め教鞭を振るう事もある。


 研究の成果が少しずつ上がるにつれ、研究に割かれる人数が増えチームライとしてのゲーム攻略が進み、無限とも思える程のNVDを生産されていくのだが、既に一人一つ以上割り当てられるレベルでNVDが余っており、新しく作り出さなくて良いと雨宮からやり過ぎを指摘され、本格的にウルトラロボットクリエイターの第一次大型アップデートに備え、共に新シナリオを戦う仲間を募集している。


アーニー・キャッシュマン 34歳 キャッシュマン一族の次女 5ジェニママ 力のアーニー


 ブループラチナのショートボブ、身長百八十三、体重五十八、上から105/60/69


 キャッシュマン一族の中で最も順当に生きてきた苦労人。


 太陽系連合軍のホープとして軍に迎え入れられ、名門キャッシュマン家の一員として大いに期待されていたが、本人には全く軍に対しての興味が無く僅か二年で軍を退役、その後は様々なコロニーを渡り歩き、アルバイトをして生計を立てていた時期があった。その後ジェニから別に怒っていないからかえっておいでと促され、家に戻った時には代わりにロペが軍へ入隊したから何も問題は無いと聞かされ、自分のせいでロペが軍に無理矢理入れられたと勘違いしてしまう。


 数年後ロペが休暇の為に実家に里帰りしてきた時、その内協力して貰う事があるからちゃんと身体を鍛えておいてと言われ、その時が来るのを待ち冒険者へと転身する。ダンジョンアタックを繰り返し、姉エストが冒険者を一時休業し婚活に専念すると言い始めると「無理だろ」と冷酷に言い放ったという。


 雨宮転生後ロペから再度連絡を貰い冒険者を休業合流し銀河旅団へと合流する。


 (2) ハイパーヒューマノイド化 銀河旅団近衛第四部隊エスト隊所属


 アトレーティオ4襲撃の際、皆と装備を調えにやってきたのと同じタイミング別の場所で巻き込まれ、自身も人知れず海賊を討伐しながら他の冒険者達と共にシェルターへと避難、その際に建物の屋上からゲルン・マースを応援する雨宮をみておかしな奴もいるもんだと、その直ぐ近くのシェルターへと逃げ込んで事なきを得た。


 合流後他の姉妹達と暫く共に行動していたが、雨宮の私室に侵入しようとして失敗しそのまま奥の部屋に連れ込まれる。その時偶然雨宮は誰にも言え無いような実験をしている途中で、雨宮は彼女に傀儡として死んで操られるか、全てを差し出し永遠に眷属となるかの二択を迫られる。しかし彼女は雨宮の中の暗い欲望を知ったが「どちらも選ばない。でも私が貴方の味方でいてあげる。全部あげるから笑っていよう?」そう言い雨宮の全てを受け入れた。


 現在アーニーは近衛に所属しているが、正式にマギア・ジェドの艦長でもある。七番艦を任されるアーニーは雨宮からの真の信頼を勝ち得たと言えるかもしれない。(59


(3)ウルテマヒューマノイド化 銀河帝国近衛


 現状雨宮が最も信頼を置いている七番艦の管理を任せているのだが、特にコレといってする事も無く、艦長は常に代理に任せており暇を見つけては雨宮の私室で昼寝をしている。


 雨宮の事を常に近くで見ており、最近はござる事服部宗野心蔵乃助はっとりむねのしんぞうのすけと雨宮の背後の場所取りをすることが多く、徐々に隠密スキルが成長しつつあるが、本人にこそこそする気は毛頭無く、いっそトトやイミルがいなければ自分が雨宮の膝の上に座りたいのにと、隙を覗っているだけである。


 近衛と位置づけられては居る物の部下に仕事を任せるのが旨く、自身は常に暇を持て余している。それ故雨宮の私室に他の眷属が来た時、常にアーニーは一人で先に雨宮と共にいると皆が首を傾げている。


エスト・キャッシュマン 35歳 超人種 キャッシュマン一族の長女  4


 超人キャッシュマン一族の長女、成人後大学生と両立し冒険者ランクAを達成した生粋のエリート。学生の頃は冒険者としてのあだ名『流星のエスト』として多くの女学生に慕われていた。キャッシュマン一族としては唯一、火星ダンジョンをソロで中層まで到達した超人中の超人。冒険者としての実力は既にSランクに届いているという噂があるが、婚期が遠のくという理由でSランクに昇格することを頑なに拒んでいる。

 軍には入らず冒険者一本でやってきたが婚活のため休業、太陽系各地の婚活パーティに参加するも本名がばれるたびに、言い寄ってきていた男性は離れていくため、冒険者として活躍し過ぎたことを後悔している。しかしそんな考えもある中、火星ダンジョンの謎を解き明かしたいとも考えているが、今の実力では中層を攻略することが出来ない為、パーティを組むことを考えている。(EP23)


(2) ハイパーヒューマノイド化 近衛第四部隊エスト隊隊長


 雨宮と合流し協力する事に決めてから暫く、アーニーが一時行方不明になる事があった。このことを不審に思い雨宮とアーニーが二人でいる所を捉え、問いただしに行こうとしたものの、総司令官と一般クルーの差は中々埋められず正式には雨宮に中々会えなかった。嫁であるロペにそのことを尋ねるのもおかしいと思い、独自に雨宮の事を調べていた所親衛隊ティオレによって捕縛、雨宮の秘密の部屋に閉じ込められる。


 程なくエストと雨宮が完全に腕を組んで歩いている所が目撃される様になり、漸く結ばれたのかと周りはほっと胸をなで下ろしたが実はそうではなく、アーニーの一件があり雨宮は普通にエストにも同じように二択を迫ったが、エストは躊躇無く後者全てを捨てて眷属になる方を選んだ。しかしこの答えを予測していた雨宮はいい加減半端な距離感で迫られると怖いと言う事もあり自身の秘密を共有、味方に引き込む事にしたが本人は遠慮しなくて良いんだよ?と全てを捨てても一向にかまわないといい、エストに詰め寄られている。


 好きな食べ物はアップルパイ。元々凝り性なエストはパイ生地から作る事を至上とし、アトレーティオ4へ行った際雨宮達と離れコンテナいっぱいのリンゴを購入している。しかしアップルパイ以外の食べ物を作る事が何故か出来ず、他の物を作っても何故か失敗しロペからは汚物。と誹られる事もしばしばあった。


 アーニーと同じく近衛ではあるが正式にはマギア・ジェドの副艦長でもある。


(3)ウルテマヒューマノイド化 銀河帝国教導連隊上位教導官


 ハイパーヒューマノイドの上位に進化し、身体能力思考能力魔力等全体的に能力が底上げられた。


 銀河旅団の人数が増え、管理業務の一部を割り振られた彼女は雨宮の研究の心臓部とも呼べる七番艦の管理を任され、執務室を与えられた事に首を傾げながらその部屋に入ると、小型のナノマシン端末の最新型が設置されているだけの空間が有り、頑張ってよろしく。とロペからの書き置きと共に突如部屋の中に閉じ込められ、ダンジョンアタック当日まで缶詰状態のまま仕事をさせられていたのだが、突如として端末の電源が落ち、解放されると思ったのもつかの間、優先順位のせいで監禁・・・・・・執務室の扉への電源供給が遅くなり、サーバー経由で遠隔管理されている扉は開かなくなり、あわや一人だけダンジョンへ行けない所だったがロペがエストの不在に気付き、一時的に扉を開放する事で脱出に成功し、取り残される事は無かった。


パメラ・キャッシュマン 20歳 超人種 キャッシュマン一族の六女 10


 キャッシュマン一族の末っ子。冥王星圏で大人気の『魔法少女インフェルノミキ』が大好きで、様々なグッズを買いあさるのが趣味。今年初めて冒険者として登録し、ランクはF、姉のエストの様になりたいと、ソロでダンジョンに潜る日々を続けている。


 得意武器はミスリルロッド。魔法は苦手では無いが練習中の為まともには扱えない。またアメリアに甘やかされて育ったため身体能力はかなり低く、超人種としては最低ランクの戦闘力。特筆すべき特徴の無い普通の美少女。本人はスキルがまともに使えれば凄い。と言っているが・・・?(EP23)


 姉キャンディよりVRゲームに関する英才教育を受けており、VR空間では無類の強さを誇るが、現実ではそれに追いついておらず現実との乖離に悩んでいる。(EP29)


(2) ネオヒューマノイド化 無職


 VR空間と現実の狭間で揺れる新人類・・・。では無く雨宮と交わる事で眷属として生まれ変わり、ハイパーヒューマノイド化するはずだと思われていたが、謎のスキルに阻害され不完全なハイパーヒューマノイド、ネオヒューマノイドとして生まれ変わった。


 パメラは光の戦士として巨大化して戦う事を実は躊躇っており、楽しんでいる体を見せつつも何か身体をむしばまれているような感覚を覚えている。ロペと雨宮の検証の結果、光の戦士化のスキルがナノマシンによる進化の妨げとなっている事が判明、中途半端な存在として初めてナノマシンによる進化が失敗した。


 このことに危機感を覚えた雨宮は、急遽パメラをエスト達から引き離し秘密の部屋へと連れ込む。このことを発端とし、アーニーやエストを引き込む事になる。


 雨宮は光の枷と光の戦士化のスキルを分解する為何度かパメラを呼び、実験を繰り返していたが強い力に阻まれ幾度となく失敗を繰り返していた。


その原因は・・・ひみつである。 図鑑2


(3)ウルテマヒューマノイド化


 光の戦士化のスキル分解に成功し、進化失敗の原因を突き止めた雨宮によって改めて改良され、晴れて上位進化系ウルテマヒューマノイドへと進化した。


 因子を特定し分解解析すると共にその因子を改めてパメラは自らの内に受け止め、このスキルが何を意味するのかを知る事に成った。


 外宇宙から飛来したエーテル寄生体デリン(パメラ命名)は精神生命体に寄生し、エーテルサーキットを通じて生命力を吸い上げ、その代わりに巨人化して戦う術を与え外的に更なる生命エネルギーを手に入れ、進化する為に必要なエネルギーを入手する事に成功すれば肉体を食い破り現世へと顕現、銀河を支配し仲間をその銀河へと呼び寄せる・・・・・・筈だったのだが、デリンは雨宮によってパメラの外へと摘出され、完全にナノマシンによって分解され制御されるに至った。そして完全に制御されたデリンをパメラは自らの進化に必要だと言い張り(要らない)、再び巨人化する術を得たのだが、ウルテマヒューマノイド化した事で身体能力・魔力等は向上し、生身でも実戦に耐えうる能力を得る事に成功している。更に巨人化する際に必要なエネルギーをサーバーのエネルギープールから賄う事が可能となり、実質変身時間無限大と思っていたのも束の間、エネルギー問題が発生しダンジョンアタックの間は変身を禁止され、ぶー垂れたままロペのパーティーの一員としてレベルアップする為に闘いに身を投じる事になった。

ーーーーーーーーーーチームミンティリア ロウフェル シャムエル ゴルゴネア アイオネア ヘラ


ミンティリア・リーミゾーワ 三十一歳 ヒューエル Aランク冒険者


 暗いブルーのサイドテールにきつめのつり目が特徴の高身長。


 元Aランク冒険者パーティ『三本の矢』リーダー。


 木星圏出身の幼なじみ三人で構成されたパーティはそれぞれの役割が分担されていてとてもバランスが良く、長い時間をかけて培ってきた連携もベテラン冒険者として特筆すべき点。

 パーティの紅一点にしてリーダーそして魔法使いと、肩書きは多いが他人に関して非常に無関心。幼い頃から魔法使いの弟子として師匠の元で修行を積みながら冒険者としての実力を磨いてきた。彼女の戦闘能力は他二人よりも群を抜いて高く、攻撃魔法に関してはSランク冒険者を上回ると言われその師の優秀さも密かにささやかれている。


 彼女の師は同パーティー、レードの妻となったエルフ種の元Sランク冒険者テンリン・ショーリー。


 結婚の際テンリンから招待状を受け取ったが流石に自分が振った相手の結婚式には行きたくない、と言う気持ちがあった為本人に祝福のプレゼントを贈るに留めた。


 レードの結婚後は気まぐれという体で、ダンジョン攻略に行く時だけ集まろうと言う決まりを作り、パーティを解散する為に徐々に下地を作り始める。こうする事でフレグにもその内良い相手が見つかると確信のあった彼女は、一人アトレーティオ4へとマイSWを購入する為出かけていた所、偶然テレビのニュースで見た新人類とされる雨宮を見かけ追いかけては見たものの、既に海賊が暴れ回っている状況であった為に完全に見失ってしまう。コロニーの至る所に海賊がいる状況で彼女は魔法を駆使し何とか雨宮を探してみようとしたが、結局かなわず十数人の海賊を魔法で焼き殺しただけに終わる。


 しかし家に帰るにも宇宙港が混乱の中で稼働せず、消沈し遠巻きに宇宙港の入り口を見つめていた時、宇宙港の入り口に雨宮がうろうろしている所を発見、慌てて声をかけようとしたが雨宮は突然掻き消えるように人混みの中に突入してしまう。


 ミンティリアには雨宮に合わなければならない理由がある。その一心で雨宮を探し太陽系中をを探し回っていた所、何故か師匠テンリンから銀河旅団新人隊員募集の情報を聞き身の回りの全てを整理して参加を打診、ラピスに乗り込む事に成功するが何故かパーティーの二人も付いてきてしまう。


 目下の懸念事項はフレグのことで有ったが、暫くラピスにすし詰めされている間は殆ど会話らしい会話もなく、何故付いてきたのか疑問だったがセレクション直前、突然の結婚宣言を受け漸く自分で付けたおもりを外す事が出来たと内心安堵した。(38


 (2)ウルテマヒューエル化 マギア・ラピスサブオペレーター→メインオペレーター


 高ランクの魔法使いは頭の回転の速い者が多く、雨宮自身が彼女を気に入った事からラピスのメインブリッジへと配属される事が決まった。


 彼女の吸収力は非常に高く、同じ様に気に入ったという理由でサブオペレーターに配属された、ザミールの成長度合いと比較すると、圧倒的に短い時間でオペレーター業務を習熟、数ヶ月もする頃には新庄・エリーと並びメインオペレーターの一角を担う程にまで成長した。


 上位種へと進化した事に寄り、全体的に身体能力が向上どちらかと言えばマギアノイド寄りの進化を果たし、保有する魔力量も激増した。しかし大きな魔力こそ身に付いた物のそれを解き放つ機会に恵まれず持て余しがち。


 四大属性魔法として数えられる、地水火風の四つの属性魔法を得意としており、攻撃も回復もサポートもお手の物。そして彼女には転生前から別世界で身に付けたスキルや、第三世界とは系統の違う竜言語魔法と呼ぶ特殊な魔法を身に付けているが、無意味に注目を集めたくないが為にこの世界では未だに一度も使用していない。


 前世で住んでいた『桜舞う蒼き大地』ではドラゴニュートと呼ばれる人間とドラゴンのハーフとして存在し、その際に先天的に身に付けていたドラゴンブレスやテレパシー等特殊な力も持ち越し、現在は一応人種の一部でありながら、惑星も砕くとされるブレスを何時でも使用出来るのだが、やはり使用する機会は無く、一寸位力を使う所が有っても良いんじゃないかと、異世界ダンジョンではガンガン前に進むつもりでパーティを組み久々のダンジョンアタックに気持ちを高ぶらせている。


 趣味は新魔方陣作成、好きな食べ物はプリン。


 彼女は無類の甘党で、様々在るスイーツの中でも特にプリンが大好物。その中でもカスタードプリンを至高の一品としており、時間の空いた時には自らもプリンの極地を目指して自作し、世界中様々な所から材料を取り寄せ、至高の一品を生み出すべく研鑽を重ねている。又彼女はブリッジにマイ冷蔵庫を持ち込み、その中には試作し食べきれなかったプリンが詰まっており、ブリッジクルー達は何故か常に補充され続ける不思議な冷蔵庫からプリンを取り出し、舌鼓を撃っている。


ロウフェル 五百七十歳 天使女王 ヴァルハランテ連合軍天使将


 三百年前の異世界からの攻撃の際、前任の天使将であった母を失い、力を求める事に執着した彼女はヴァルハランテに僅かに残っていたドラゴンを狩り尽くし周囲の強者達を相手に剣を振るい続けたが、満身創痍の巨人王に片腕で敗北しその軍門に降った。


 巨人王に敗れた彼女は、度々竜の顎と呼ばれる世界の隙間へと向かい、界獣と戦っては小さなダメージを与えて重傷を負って帰ってくる、と言うような無茶を繰り返していたが、その経験を持って軍門に降った後僅か数年で天使、巨人の両陣営を束ねる天使将としてトップに君臨する事になった。


 将を束ねる立場となった彼女は母を失う以前の冷静さを取り戻し、徐々にヴァルハランテ全体からの信頼を勝ち得ていった。


 銀河旅団がヴァルハランテへと侵攻した時、巨人王より若い天使の監視を命じられるも、手出し無用との命令を受けていた為、ザムエルの暴挙を止める事が出来なかった。


 赤みがかった黒い髪を自然に流し、腰まで伸ばした髪の艶は周りの男達を魅了するという。多くの天使や巨人達からプロポーズを受けていたが、「そんな風にお前達を見ていない」と一蹴、自分より弱い存在をそもそも男として認識していない事が判明した。


 過去に一度自分を倒した巨人王に彼女からプロポーズをしたが、娘としてしか見れないと断られている。


 趣味は武具の手入れ、好きな食べ物はバタークッキー。


 彼女も例に漏れずヴァルハランテ唯一の甘味であるバタークッキーの信者であり、彼女は多くのクッキーを隠し持っていると女天使達の間で噂が絶えない。と言うのも、彼女の腰には常にクッキーでパンパンになった小袋が下げられており、気が付くと一枚又一枚と口に運んでいる姿が多くの天使達から目撃されている。しかし現実は彼女にプロポーズする為に多くの男達が貢ぎ物として持ってきていた為、腐ってしまう前に食べてしまわないといけないと思い、常に沢山持ち歩いていただけである。勇気のある戦士は、欲しいと言えばもらえるのだが彼女から部下の天使達に話しかける事は殆ど無く、入手経路を知っているのは儚く散った男達だけだった。


(2)エンジェノイド 銀河旅団白兵部隊見習い


 雨宮と交わり眷属と化した天使種のロウフェル、マッサマン攻略作戦が始まる直前まで進化の眠りに付いて居た為状況が飲み込めないまま、金星圏周辺まで向かう六番艦オーバスへと引きずり込まれ、集めたデブリを延々と選別し続ける役割を与えられ白目を剥きながら脳をフル回転させている所を確認されている。


 眷属化した事で翼をナノマシン化して収納出来るようになり寝やすくなったとはしゃいでいる。


 最近アニメが非常に気に入っているようで、初めて貰った給料を甘味とアニメに全て注ぎ込み、ロペから小一時間説教され、生活についての基礎情報を無理矢理ナノマシン経由でインストールし、次の給料までお菓子が手に入らない状態なのだと改めて食堂の隅で燃え尽きていた。


 アニメに影響され、戦闘状態の時に身に付けている簡易アーティファクトの鎧を雨宮の元へと持って行き「宇宙闘士ヘイヤーみたいにしてくれ!」と喜々として差し出した。

(3)ウルテマエンジェノイド化 遊びたい盛り(無職借金中)


 様々な文明に触れ探究心の赴くままインターネットで情報を収集し、様々な物を通販で購入、預金の残高が底を突く事も屡々・・・・・・常々。そして底を突く度に雨宮におねだりをし雨宮の端末から買い物をするようになる。彼女の私室には物が溢れ箱のままで開封されていない物も多々有り、買い物をすることで一定の満足感を得る事が問題視され、買った物をちゃんと使うなり食べるなり処分しろと言われるようになった。


 最近は太陽系全土迄ネットで脚を伸ばし、様々なサブスクライブサービスを契約しまくり、月額の支払額が支給される給料の九割を超えるまでに膨らんでいる。その結果毎月彼女宛に謎の箱が大量に届き、倉庫の管理を行うクルーは日々危機感を募らせているのだとか。


 只訓練にはちゃんと参加しており、肉体に関しては完全に支配出来るようになった事で現在の状態にまで進化する事が出来たのだが、頭の回転こそ良くなった物の判断が不確実なままで拙速な決定を下す事が多く失敗が多い。


 アホの娘の名を欲しいままにする今の状況をレキオンや雨宮、他の天使達もよく思って居らず、ヴァルハランテ出身の他の者達から示しが付かないと嘆願され、雨宮は彼女を一時反省室へと放り込み、七番艦にて試験段階に入った人格強制プログラムの被検体として彼女を使用、自らの行動を省みる事が出来るようになるまでには改善の兆しを見せている。しかしその事で今迄のテンション爆上げ且つ意味不明な散財の後始末を自ら行っている際に、酷く落ち込み部屋の隅で頭を抱えて転げ回っている所をリファンリアから観測されている。彼女の中二病は収まったようだ。


 ダンジョンアタックに際し、きちんと襟元を正し以前の凛とした姿を取り戻したかに見える彼女だったが、先にお上りさんを卒業したシャムエルに散々揶揄(からか)われて顔を真っ赤にしてシャムエルを投げ飛ばしている。


 チームミンティリアの前衛としてタンク兼アタッカーのデュアルポジションを熟し、同じくアタッカーしか出来ないシャムエルを力で操る用に指示を出し絶対に抜けない前衛を掲げ、後衛のミンティリアを守る盾としてパーティーの要を担う事になった。


 趣味は読書好きな食べ物は唐揚げと少し大人な彼女になったが、好奇心や探究心は早々抑えられる物では無く、今度は適切なお金の使い方を学ぼうとFPファイナンシャルプランナーであった眷属の元へとお金の運用方法を学びに行っているらしい。



シャムエル 三百八十歳 上級天使 ヴァルハランテ連合軍天使将


 ヴァルハランテの炎と命を司る管理者、最前線を率いていた巨人将グゥルディルからの連絡が途絶えた事に疑問を持ち、確認の為に前線に出てきたが、超高速で移動していた為に突如目の前に現れた移動倉庫に激突、自身の纏う超高温の炎によって破壊してしまった。

 しかし価値観の違いから、障害物を破壊しただけとそれに触れる事も無く雨宮に対し暴言を吐こうとしたが、散々似たような奴を見てきた雨宮は、取り敢えず頭を下げさせようとくの字に折り曲げる方を選んだ。


 ヴァルハランテ随一の美貌を持ち、並ぶもの無しと言われている実力者であったが、更にその上に実力者が揃い天使将として名を連ねたのはつい最近の事だった。

数百年に亘り将の座を争ってきた候補者を忙殺し、将の座に着いたがヴァルハランテの実情を知り自らの愚行に頭を悩ませていた。

 第三世界では天使=脳筋として知られているが、彼女もその例に漏れず身体を動かす方が得意・・・・・・な方で、謀殺した天使はヴァルハランテ随一の頭脳と思慮深さを持つ次代を担うはずの天使だった。だが勿論そんな彼女に謀殺など出来る程の頭は無く、とある天使に唆され天使殺しと呼ばれる酒を飲ませてしまい、彼女のライバルは姿を消してしまった。

 

 得意武器はショートソード、力任せに剣を乱れ振っているだけだが、その力の大きさ故超高速で繰り出される剣戟は並の戦士では視認する事すら出来ず、叩き潰される。

 好きな食べ物はバタークッキー・・・だが、それは天使全員に言える事で有り、現在のヴァルハランテで手に入る唯一の甘味である事もありそれはそれは大切に食べているのだとか。


(2)ウルテマエンジェノイド化 最先端乙女モード(無職)


 進化以前の自分の行動を記録されており、雨宮から散々揶揄われて早数ヶ月、涙と共に中二病を卒業するに至った彼女は自らの女を磨く事に余念が無く、最近はネイルアートならぬネイルエンチャントに熱意を燃やしている。銀河旅団の開発したミスリルマニキュアをエンチャントの触媒にし、様々な紋章を爪一つ一つに描く事で魔法のような力を引き出し、新しい戦闘形態を確立彼女は女の闘いは斯く有るべきと、様々なメイク道具を戦闘用に改良する案を次々と開発部へと提出、自らの眼球に一時的なエンチャントを施すミスリル製アイシャドウや塗るだけで魔力を回復させるマジックリップクリーム等、美しさと強さを両立させる乙女モードなるブランドを立ち上げ、密かに太陽系各地へと浸透販売を行い、女性冒険者を中心に確かな人気を得ている。


 彼女も又ロウフェルや他の天使達と同じ様に新しい文明に触れ、カルチャーショックを受けると共に感動し、大きな盛り上がりを見せていたのが、罪深い自分を助けてくれただけでは無く今の生活の面倒まで見てくれていた雨宮に惚れ直し、ちゃんとした謝罪を申し入れ雨宮から許しを得る事が出来た。


 個人的にライバル視しているロウフェルとの間には大きな戦闘力の差があったのだが、ロウフェルが遊びほうけている間にも彼女は心を入れ替え社会勉強に修行に明け暮れ、現在ではその強さは逆転し、ロウフェルを揶揄って遊ぶ中良く投げ飛ばされているのだが、見事に着地し彼女を上回る身体能力を手に入れた事を見せつけている。


 ダンジョンアタックに際し彼女は戦い方その物を一新、ミスリルネイルを中心とした徒手空拳を学び、元々得意としていた炎と光の天使言語魔法に更に磨きを掛け、魔法をその身に纏って戦う流派の一つ、魔導八卦装(まなはっけしょう)を身に付け近接戦闘に特化した戦闘スタイルを確立、そして雨宮に頼み込みエーテルサーキットの拡張手術を受ける事で保有魔力の劇的な拡大を促し、戦闘能力において銀河旅団内で十指に入るまでに成長した。


 趣味はファッション雑誌購読、好きな食べ物はバニラアイス。


 第三世界を知る中で様々な菓子と出会い、その中でも彼女のお気に入りはバニラアイスだった。それはあらゆるスイーツと相性が良く、様々なデコレーションで着飾る事も出来、今の自分には最適な物だと彼女はその存在の虜になり、あらゆるトッピングを研究し映える写真を携帯端末で撮影し、SNSナノッターや数々のプラットフォームへと投稿し、注目を集めているのだとか。


ゴルゴネア・ヘルヘル 二十九歳 ゴルゴン種 ブレーメンの魔女所属Sランク冒険者


 リーダーであるネミッサリアの幼なじみにして、超希少種と呼ばれるゴルゴン種の女性。自身の魔力を制御することが出来ず魔眼と呼ばれる目から、魔力が漏れ出してしまう為、常にオリハルコン繊維で作られた布で両目を覆い隠している。

幼い頃からネミッサリアと共に水星圏を駆け回り、数々のダンジョンを攻略してきたベテラン冒険者だったが、ブレーメンの魔女を結成して以来、クランのまとめ役として中々冒険に出られないことに常日頃不満を漏らしている。

 理由が分からないまま雨宮に熱を上げるネミッサリアについて、冥王星圏に出てきたが入れ違いになってしまい、結局直ぐにとんぼ返りすることになってしまったのだが、復興し始めていたアトレーティオ4の宇宙港にて銀河きゅん人形とイントたん人形をお土産に購入して戻った。しかしこれが災いし、ネミッサリアからどこで買ったか問い詰められ、これを購入する為だけにもう一度アトレーティオ4を訪れることになった。

しかし彼女も転んでもただでは起きない気質であった為、休日と割り切って両手いっぱいに土産物を買いあさり、私室の中をいっぱいにしているという。

 趣味はぬいぐるみ製作。様々な土地であらゆるぬいぐるみを買いあさり自作のぬいぐるみの為のネタ作りをしているが、近年金欠が続き中々高価なぬいぐるみが買えないことがストレス。

好きな食べ物は穴子の白焼き、タレも良いが塩も良い。(46


(2)ウルテマゴルゴン化 銀河帝国生産プラットフォーム管理者


 かつて大所帯であったブレーメンの魔女を仕切っていた実績を買われ、雨宮に銀河帝国で生産を行う全てのプラットフォームの管理責任者に任命され、眷属化する事になった。


 太陽系外来種ゴルゴン種は現時点で太陽系に三人しか居らず、彼女を除けば妹が二人居るのだがその二人は現在何者かに追われているらしく行方不明となっている。


 そんな家族が失われるか否かの瀬戸際の状態で、彼女は太陽系中の情報を集め妹達の捜索を始めていたのだが、エネルギー問題が発生し捜索を一時断念せざるを得なくなってしまった。しかし彼女の妹達も戦闘能力が無い訳では無く、無事で居る物だと言い聞かせダンジョンアタックに参加チームミンティリアのヒーラーを買って出た。


 進化した事に寄り彼女は自身の魔眼を制御出来るようになり、自らの視線を遮るアイマスクを付ける必要が無くなり、久しぶりに宇宙の景色を楽しんでいる。身体能力や魔力等も総合的に向上しており、かつて太陽系を震撼させたゴルゴン種の英雄メデューサを彷彿させる程の力を手に入れた。


ヘラ・オリオン 三十六歳 巨人種 ブレーメンの魔女所属Aランク冒険者


 双子の巨人姉妹オリオンズの妹。オリオンズとはブレーメンの魔女として活動する前の二人だけだった頃のパーティー名で、水星圏金属ダンジョンでは、ローカルランキングトップの実力の持ち主達だったが、ダンジョンの中層に辿り着くなり全く先に進めなくなり挫折、ダンジョンの中に存在する広大な部屋を繋ぎ合わせたような構成の階層にて姉とはぐれ、置き去りにされたまま一月以上放置されていたトラウマから、広い場所にいることを認識すると全身が痙攣し呼吸困難の症状が現れるようになってしまった。このトラウマの為にSWで出撃することが出来ず、パイロットとして秀でた能力を持ちながらも、その能力を全く使うことが無くなった。


 ブレーメンの魔女として活動し始めてからは、宇宙空間での活動が極端に増えて仕舞った為、全身を覆うパイロットスーツを常に装着し、出撃前には自らに閉所にいるという暗示をかけてから出撃する。


 趣味はレトロカメラによる撮影と暗室にこもってフィルムを現像すること。しかしブレーメンの魔女として活動し始めてから、自らに入ってくる収入が極端に減ってしまった為新しいフィルムを購入することが出来ず、カメラのレンズを磨く毎日が至福。


 好きな食べ物はビーフジャーキー。ダンジョンに置き去りにされた際に命をつないだ食べ物をこよなく愛するようになり、報酬が分配されると箱でお気に入りのメーカーから取り寄せて自室で密かに楽しんでいる。(46


(2) 銀河旅団マギア・ラピス所属 銀河帝国広報課


 レトロカメラを超次元ナノマシンカメラへと持ち替え、銀河帝国を世に知らしめるべく広報活動を行う広報課へと何故か所属する事になった彼女は、普通のサラリーマンのような生活を思い描いていたのだが、何故かその新しいカメラを使いSNSへと自ら動画を撮影し投稿するMYUTuber(みゅうちゅうばー)として活動する事になっていた。しかし黙々と撮影し見目麗しい眷属達を動画に収め投稿する作業に天職を感じ、毎日一人の眷属にスポットを当てた動画を制作し投稿する事が日課となり、帝国系MYUTuberと言う謎のタグを付けられ、人気は急上昇中である。


 しかし動画投稿の為に編集作業を行っていた所でエネルギー問題が発生し、作業を中断せざるを得なくなり毎日投稿していた皆勤賞を失うかどうかの瀬戸際に立たされている。しかし流石にこの事態を静観する訳にも行かず彼女も又ダンジョンアタックへと参加し、チームミンティリアに参加したもののアタッカーの枠は既に上位者で埋まっている上、身体を生かしたタンクポジションでさえ眷属クルーには敵わず、取り敢えずカメラを持って周りの眷属達を撮影しているだけとなっているが、彼女の固有スキルはチームミンティリアに必要だとされ、パーティーメンバーとして止まっている。


アイオネア・オリオン 三十六歳 巨人種 ブレーメンの魔女所属Aランク冒険者


 幼い頃から水星冒険者ギルドの孤児院にて育つ。双子の姉妹の姉で元々姉妹で前衛と後衛を分けてパーティーを組んで冒険者をしていたが、同じ巨人種の多いヴァルハラダンジョンでは全く歯が立たず数年アタックした後断念。姉妹揃って同じ水星圏にある、金属ダンジョンの攻略者として時間をかけ名を馳せる。しかし前衛の戦士と後衛のハンターだけではどうしても攻略できない場所があり、他のメンバーを探していた所、クランを立ち上げる為の幹部メンバーを探していたネミッサリアに見初められ、後衛しか居なかったブレーメンの魔女のメンバーになった。


 趣味はギャンブル。稼ぎの九割をつぎ込む程のはまり具合だが引き時はわきまえている為ギャンブルが元でのトラブルは無い。好きなスロットは『真・機動少女マッスルマギカ』


 好きな食べ物はおでんのこんにゃく辛子マシマシ派。(46


(2)銀河旅団マギア・ジェド所属 見習いクルー


 彼女は個人的に大きな借金を背負っていた為銀河旅団によってその借金を肩代わりする代わりに、自身を提供するという契約を交わす。これに伴い、彼女は雨宮の実験サンプルとして、七番艦マギア・ジェドへと配置され、改造手術を待つ事になった。


(3)ウルテマギガント化 銀河帝国皇帝親衛隊所属 


 巨人種の因子を研究する為に七番艦へと渡り、研究チームから様々な研究サンプルとして体中を弄り回されたが、彼女の精神は正常を保っておりその精神生命体の強度が双子の妹よりも遙かに高強度で在る事が確認され、その事が雨宮の興味を引き眷属として私室に招き入れられる事になった。


 彼女達オリオンズは元々巨人種としてはかなり容姿端麗で、肉体の大きさを考えない男達からは非常に持て囃されていた過去があり、彼女は数人の男との関係を持った事があったのだが、愛も無くその壁は乗り越えられず結局姉妹は二人だけで冒険をしていた。しかし自身より少し小柄だが雨宮は彼女にとっては剰りにも相性が良く、一晩で虜になりその内にナノマシンを受け入れる事に一切抵抗を示す事無く進化した。


 元々巨人族として生まれ四メートル程の身長を持っていた彼女だったが、進化した事に寄りその体格を自由に変化させる事が可能となり、巨人としての巨体をあっさり捨て、彼女は普通の人種の女性より少し大きい位の肉体を自ら調整し、他の眷属達と同じ様に雨宮の膝に乗ったり背中にしがみ付いたりして楽しんでいる。


 しかし戦闘能力は前よりも圧倒的に向上しており、その拳は惑星を粉砕し、その蹴りは時空を裂く・・・・・・のでは無いかと思われる程の力を手に入れたのだが、やはりその力を使う機会は中々訪れず、魔法を使わない彼女の戦闘はデコピンで消しゴムを飛ばすかの如く慎重に手加減をする必要が有り、非常に力の調整に難儀しているのだとか。


 ダンジョンアタックに際し、妹と二人でチームミンティリアへと参加し、妹の身体が戦闘に邪魔であると思いながらも引っ込み思案な妹を引っ張りながらピュアアタッカーとして、ダンジョンを壊さないように慎重に戦っている。


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ンヤヤ・マガタ・インフォ・スタゲ・セル・シンジ ??歳 イミテイトフェアリー 


 ユグドラシル零号機によって生み出された古代フェアリー種を模して創られたモンスター。


 自立行動可能なように調整されているが、零号機の加護によってユグドラシルの意のままに操られている。



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