EP85 蟲VS銀河旅団 カウント2
ス・ラ・ン・プ
とかではない
雨宮率いるマッサマン突入部隊は、NVDの肩に取り付けられた収納式の取っ手に捕まり、次々とラピスを離れ宇宙港へと侵入していく。
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突入部隊 ロウフェル
銀河帝国の一員となって早数ヶ月、我々天使も何とか新たな世界にて落ち着きを取り戻した。戦えない者達や其れ等を守る者達、又宇宙を恐れる者達は海楼の城へと残り、新しい生活の為に管理者代理である彼女等から指導を受け、この世界に適応しようと心を砕いている。
私も始めは見た事のない世界の景色に心を奪われ、好奇心の赴くまま、良くしてくれる皆に説明を強請った物だ。しかし、この世界の情勢は狭かった我らのヴァルハランテに比べて非常に複雑怪奇で、話を聞いていても半分も理解出来なかった。一応必要な知識を最低限学ぶ為に開かれた講義には参加したのだが、未だにメモ帳が手放せない・・・・・・。
「ハッキリ言って事情は全く飲み込めないが、此処がとんでもなくおかしな状況に陥っている事だけはハッキリと解るぞ」
「当たり前でしょう、それ位分からなくて如何するのですか、主上の妻の一人で在ると言う自覚を為さいませロウフェル」
未だに馴染まない知識を馴染ませる事を放棄しようとしたのと同時に、それを見透かしたかの様に釘を刺してくるシャムエル。彼女は不用意にも銀河殿の大切にしていた宇宙船を壊した事で酷い目に遭ったというのに、今はそれをも最高の思い出と言わんばかりに何故か私に自慢げに話してくる事がある。
私が一応監視と言う事で彼女と同行しているのだが、今回の突入作戦には人手が居るらしく、眷属化をしていない者達を中心に多くの戦闘可能要員が集められ、その中に彼女も含まれていた。彼女は昔から妙に上昇志向が強く、それでいて考え無しに行動する事が多い。しかも何かを成功させた試しも余り無い。野に放つ訳ではないが、それでも不安は拭えない。
「つ・妻かどうかは取り敢えず置いておいてだな、今回は非常に危険な任務だと聞く、我ら眷属に成り立ての者達ではやや不安が残ると銀河殿は仰っていた」
「それでもあの界獣とか言うのよりはまだマシなのでは?」
考え無しの楽天家、私の彼女に対する評価は昔から余り変わらない。だが此処に居る間に彼女も大分矯正されたという話は聞いている、だがそれでも言い知れない不安が頭を過る。
「銀河殿が危惧しているのは、装備が奪われる事だ。最悪我々は死んでも問題ない、だが装備は違う。自爆機能の有る物はこの限りでは無いが、そうで無い物は奪われると後の障害たり得る事が想像に難しくない」
殆どの武装には自爆装置が仕掛けてあるという話は聞いている。私が着て居るこのびー・・・・・・びー・えむとやらも、自爆装置が仕掛けられていると言う事は聞いた、だが大凡それが機能する事はない、と私はそう思っている。だってそうだろう?自ら脱ぐ事でも無い限り、私の身体からこの鎧が離れる事など有りはしないのだから。
「それよりも・・・・・・」
銀河殿の愛娘?とでも言って良いのだろうか、シス殿は私達が宇宙の港に着いてから、あちらこちらを駆け回り遊んでいる様だ。とても微笑ましい。
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突入部隊 シス・セブン
「六十八番ドック敵性無し!各部隊はドックの制圧後各方面に散って各々の使命を果たすのです!」
不安です。こんなに長くラピスを離れる作戦は初めてです。きっと数日は帰れないでしょう。危ない事はあんまりしないようにとパ・・・・・・お父様から言われているけれど、部隊長を任されたらそうも言っていられません。
それにしてもあの天使さん達はどうやってBMを装着しているのでしょうか?翼までナノマシンで覆われているのは動き辛くないのでしょうか?不思議です。それはそうと、こっちが忙しく状況を進めているのにあの二人は何故か後ろで仁王立ちしたままでおしゃべりしています。ロウフェルさんは他の天使さん達に比べて比較的マシな方だと思ったのですが、ナノマシンが上手く適応していないのでしょうか?頭が悪いのはあんまり変わらないようです。
「シスちゃん、此処の制圧は完了したよ、私達は直接中央に向かいましょう。宇宙港の地下から直通路があるみたいだよ」
「うん、ロウフェルさんともう一人のえーっと・・・・・・鳥の人」
「私も天使だ!」
名前を忘れてるって言う事は気にしていないのかな?
「次の所へ行くので着いてきてくださいね?」
「分かった」「うむっ」
返事は良いんだけれどなぁ。
地下に下りて、一番早くに中央に行かないとね。
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突入部隊 雨宮
シス達が制圧したドックには避難してきたであろうマッサマンの住人達が詰めかけようとしていたのだが、勿論不用意に招き入れたりはしない。それは当然の事で、混乱している住民達は統制も取れず、ただNVDが侵入してきただけの真空中のドックへと詰めかけようとしていた所、シス達に慌てて追い出され事なきを得た。
「まさか月の人間は真空中でも生きていけるとかそんな特殊能力があったりするのか?」
ーそんな物は無いはずだが・・・・・・まぁそれだけパニックになっていると言う事だろう。
独り言の延長線上に新庄が反応し、この扉の向こうが危険地帯で在る事を容易に想像させる事態に成っているのだと改めて雨宮は感じ取る。
「シスは上手くやれている様だな」
突入部隊の一つを纏めるリーダーの様な事をさせてみようと思い、今彼女の指揮下には十人の部隊員がいる。
「ロウフェルは真面目にやってくれるだろうかなぁ」
何時もは誰か近しい眷属が一人は近くに居るのだが、今日はそう言った者達は誰一人居らず、雨宮の後ろには風魔の二人、そして・・・・・・。
「殿、もしかして拙者の事を忘れて・・・・・・」「居たのかござる」
基本的にござる事服部宗野心蔵乃助は雨宮の近くに潜んでいるのだが、特に触れる事はなく雨宮は好きにさせていた。
「これでもそこそこの戦闘能力はあるつもりです、眷属の皆様とは線を引かれてしまいますが」
「分かった分かった」
「時間が惜しい、行くぞ」
「「「了解」」」
雨宮は三人の忍びを連れ地上部の大通路へと進み出ようとする。すると先程からドックの扉を叩いていたと思われる者達が雪崩を打って押し寄せてくる。
「殿、後ろへ」
「殺さんでええぞ」
「承知しております」
風魔の二人はどのようにしてか扉の上、壁面に張り付き、雪崩れ込んできた群衆を上から叩く事の出来る位置に陣取った。
「何故ここへ来た」
ござるが聞いても意味が無いと思われる質問を投げかけると、泡を食った様に必死の形相で倒れたまま捲し立てる。
「本気で言っているのか!早く逃がしてくれ!」
「・・・・・・」
(慌てているからこうだと思いたいが、こう言う時こそ地が出るとも言うしな)
「どけろ、邪魔だ」
「御意」
ござるは雨宮からの許可を受けると同時に、両手の指を重ね三角形を作ると、ふっ、と息を吹きかけ前方を警戒する様にゆっくりと歩みを進める。
そのござるの行為の後、尋常ではない程の風圧を持った只の風が群衆を押し戻し、通路を元の静かな状態へと戻した。
相変わらず宇宙港内は彼方此方で怒号、悲鳴、破壊音が響き渡り、事の程が如何に緊急か思い知る事が出来る。
正面を警戒するござると後ろに付く風魔の美陸、美空は雨宮の隣に立ち左右を警戒する。
ー雨宮、月が重力圏を振り切るまでの限界時間の計算が出来た、現時刻から三時間と数分、と言った所だ。移動時間を考えると二時間半が経過した頃には船に戻って居るべきだと思う。
「実質二時間位か、突入部隊の様子はどうだ」
ー問題は今の所出ていない・・・・・・が、やはり強敵の様だ既に数人負傷者が出ている。
「負傷者?BMを着て居て尚そんな事になるのか?」
ーいやそれが・・・・・・。
新庄からの耳を疑う報告に雨宮は若干苛つきながらも、押し寄せてくる群衆を風によって弾き飛ばしながら進み、宇宙港の受付迄辿り着いた。待合所を含めた全てのスペースに人が鮨詰めになり、先程吹き飛ばされた避難民と思われる人々の一部が、再び雨宮達の前に立ち塞がった。
「お!おまゴッ!?」
「暴言はいけません」
突如として後ろに居たはずの美海が、口を開いた男の顎を的確に打ち抜き意識を瞬時に刈り取った。振り抜いた拳をひらひらとしながら男を見下ろしていると近くに居る仲間と思われる別の男が彼女の肩を掴み、キラキラした瞳で話しかける。雨宮はその様子を見ながら長くなる様なら分解そうと心に決めた。
「聞いてくれ!此処はもう危険なんだ!君達の船に乗せてくれ!私だけを逃がしてくれ!金なら幾らでもやる!」
男は糞だった。
「へぇ。幾ら出せる?」
だがその話に何故か乗ってしまう美空、後ろで雨宮の表情が凍り、ござるは手で顔を覆っていた。
「じゅ・十万!十万でどうだ!」
「子供か」
スパーン!と辺りに響く破裂音を鳴らし平手打ちを放つ美空は、「どけどけ!親方様がお通りだ!」と、不機嫌さを隠しもせず周囲に詰めかける群衆を素手で押し退け、護衛の陣形など頭からすっ飛んでしまったかの様にずんずんと前へと進んでいった。
「あいつも子供か」
「申し訳ございません、拙者の教育が行き届かず・・・・・・」
「まぁいいか、アレも味だろ」
雨宮達はその美空の無理矢理作った空間を悠々と歩き、宇宙港を出た。
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月面都市マッサマン宇宙港前ロータリー
「酷い有様だな」
既に宇宙港周辺は高層ビルが薙ぎ倒され、到る所から火の手が上がり、怪獣映画のワンシーンの様に次々と宇宙港へと人々が飛び込んでいく。
マッサマンの空には鈍い銀色の粉を撒き散らしながら優雅に飛び回る蝶と、瓦礫を薙ぎ倒しながら転がり人々を踏み潰す芋虫、そして・・・・・・。
「あのビルの上にあるのは繭か」
「どうやらその様ですな、地上は火の手が上がっているせいでしょう、理に適っていると言えます」
「・・・・・・なぁ」
「はい」
「何でBMのマスクを外すと思う?俺には分からない」
雨宮は先程新庄から受けた報告に納得がいっていない様で、頻りにあーでも無いこーでも無いと理由を探っていた。
「景色が見たかったとか?」
美海が何となくそう思ったと発言したが、直ぐにその言葉を取り消し、自らも装着しているBMをコツンと軽く叩いた。
「見えますもんね」
(そうだよな。特撮のバイク乗りみたいに、闘いが終わった後なら分からんでも無いんだが)
「わからん」
「後ほど確認しておきましょう」
「そうしてくれ、喉に小骨が刺さったみたいでしょうがない」
時間はそれほど残されていないのだが、雨宮達四人が本気で滑走すれば、マッサマンの端から端まで十分もかからない事も有り、非常にのんびりとした空気が流れている。
しかし、そんな四人の前に先程から謎の粉を撒き散らしながら飛んでいた蝶が巨体を揺らしながらゆっくりと目の前に降り立ち、周りから悲鳴が上がる。
「デカいな、五・六メートルと行った所か」
「あ!コイツ!」
美空は目聡く目の前でバッサバッサと力強くホバリングし、辺りに爆風を撒き散らしている蝶の腹の辺りに指を指し、不倶戴天の敵を見つけたとばかりに雨宮を振り返る。
「あいつが私達を喰った奴だ!」
「ふーん」
雨宮はナノマシンを撒布し蝶をスキャン、その詳細を読み解く事に成功した。
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食用バタフライ ベントラン
状態
興奮Lv2
空腹(重度)
疲労(重度)
個有アビリティ
魔眼スタンショック
先天アビリティ
増殖ウィルス鱗粉散布
エアプレッシャー
ダイナマイトプレス
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「んん・・・・・?」
雨宮は情報を共有し、この情報を知っている物を探す。
ーー私そいつに覚えがあるよ!
(ドゥールーシ・・・・・・だったか?・・・・・・と言う事は第五双性世界か)
ーーそいつは私達の世界で人間が食用に養殖していた奴だよ!
(お前の言う人間って言うのは?)
ーーあー・・・・・・人種って事。
(あんまり考えたくないな、旨そうには見えない)
ーー私達だってそんなの食べないよ?
(そうであって良かった)
「ふぅ」
「余所の世界からわざわざ・・・・・・」
「リベンジマッチ・・・・・・する?」
「「勿論!」」
(好きだねぇ)
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風魔美空
あいつ許さない、ゼッ殺!
「美海!速攻だ!」
「時間は余り無いのよ」
「だからだよ!」
美空と美海は刃渡り三十センチ程の小太刀を取り出し、暴風を撒き散らしながらホバリングする蝶の左右から同時に回り込み、見た目から柔らかそうに見える腹へとその小太刀を突き立てる。しかし小太刀は貫通せず、ぷよん、とその弾力によって弾き返され、一瞬二人は体勢を崩すも一回二回とバク転で距離を取り、腰の裏のホルスターから忍びにあるまじき装備を手にする。
(熱核レーザーなら!)
チカッと銃口が光ったと思った瞬間、二人の銃口から飛び出したと思われる熱線が蝶の上半身を焼き、産毛と羽根を蒸発させた。
大きな地響きを上げて地面に叩き付けられた蝶は自重に絶えられないのか腹部は平たく変形し、上半身は重みで千切れそうになっている。
「この虫野郎!この間はよくもやってくれたな!」
「・・・・・・虫は嫌いです」
熱や火に圧倒的に弱かった蝶は重力に逆らえず、二人にされるがままミスリルピアッサー、ミスリルの硬い針が仕込まれたハイヒールで全身を隈無く穴だらけにされ、ミルキーな体液を噴射しながら息絶えた。
「ったくよー!あんときゃ銃が使えない所だったからやられっちまったけどよ!やってやったぜ!」
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雨宮銀河
(口の悪いやっちゃなー)
ー雨宮、全部隊に敵の弱点と思われるアトミックレイの使用を許可した・・・・・・が、良かったのか?
(外さなければな)
ー了解、厳命しておく。
当然の事ながら威力の高い銃器を使う際は絶対必中が基本となる。外してしまえばそれはもう無駄に大きな被害が生まれるだろう事は想像に難しくない。なにせ制作者はあの雨宮だ。風魔の二人がミスをしなかったのは喜ばしい事ではあるが、二人のシンクロニシティが少しでも乱れていたなら、恐らく残った高層ビルの残骸へと熱線は向かい、蒸発させマッサマンの生活を成り立たせる為に上空を覆っている、ハイブリッドオゾンフィールドを薙ぎ払っていた事だろう。
雨宮は死骸となった蝶を分解し、サーバーへと送り込んだ。
「終わったな、行くぞ、時間が惜しい」
雨宮達四人は、メインストリートを抜けて大きな繭の巣喰う建物、マッサマン冒険者ギルドへと足を向ける。
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突入部隊 ドゥールーシ・セリオ・ボンジュ
この世界に突然やって来てから少しだけ時間が経ち、銀河帝国という国に籍を置かせて貰う事が決まった。故郷の世界でも籍を置く国なんか無かったから不思議な気分。
この世界に詳しくない私だったけど、部隊、パーティかな?一緒に行動する事になったおじさんととっても綺麗なおねーさん・・・・・・、四人で行動する事になった。今回の事態が想定されていたのかは分からないけど、この四人はほんの少し前から訓練や基礎教養を共に学んできた・・・・・・とは言え、仲間と素直に言える程仲が良い訳でもなく、私は旨く前に居たパーティの時の様に言葉を紡げないでいる。
この鎧も不思議、私の居た世界ではこんなに完全に全身を覆う鎧は、もっともっと無骨で身体にぴったり合う様な物では無い上に、昔試しに装備してみた時は重くて身動きが取れなくて死を意識した事があった。身体の内側から力が湧いてくる様な、支えられている様な、安全を意識出来る、そんな鎧。
でもそれでも怪我をする奴が出た、でもそれはこの鎧のせいじゃない。私達市街地開放に向かう部隊の一つが何故かこの町に入った途端兜?マスクって言っていたかな?を突然脱ぎだして、港の外に飛び出したと思ったら、食用蝶蝶の群れとかち合い、羽根の羽ばたきでマスクを転がし、有毒な鱗粉を命一杯吸い込んで・・・・・・泡を吹いて倒れている。ナノマシンとか言うので何とか生きているみたいだけど、普通はあの鱗粉を吸うと肺が焼けて死ぬはず。
私達の目の前には、以前私が人間達の国で見た事のあった食用蝶蝶とは比べものにならないレベルに巨大化したモンスターが、無数に羽ばたいて強烈な風を送り込んでくる。生身だったなら私もああなっていたかも知れないが、未知の環境ではマスクを決して外さないとティオレ先生から教わったから、私は大丈夫。
「ドゥールーシ、緊張しておるのか?あの蝶は確かにデカいが、大した戦闘能力は無さそうだ」
「う・・・・・・そんなつもりはないんだけどね、見た目がちょっと気持ち悪いのよ」
「分かる分かる、あの眼とか怖いよねー」
「小さい蝶蝶しか見た事がないので驚きです・・・・・・」
レキオンさん、クレアさん、見えるさん・・・・・・ミ・エルさんか、レキオンさんは巨人族と言う事もあってとっても大きい、クレアさんはこのマッサマンが故郷なんだって言う話し、見えるさん、じゃないミ・エルさんは天使族の戦士、って言っていたけどルーン魔法が得意って言ってた、レキオンさんは天使は思慮が浅いとか言っていたけど、彼女だけは別らしい。大人しくて小柄・・・・・・とは言っても私よりは背も高いしスタイルも全然良い・・・・・・ぐぬぬ。
「全て蹴散らせとの命だ、視界に入る奴は全部潰すぞ」
「分かりました」
「どんと来いです!」
「うん」
ミ・エルが聞いた事の無い言葉で魔力の塊を口から吐き出していくのが見える。その魔力の塊は私達全員を包み、鎧の効果で一段軽く感じる身体が更に軽く感じる様になった。補助魔法だ。
クレアさんも魔法使いだって言う話を聞いている、私もそうだ・・・・・・今思えばバランスが悪い。レキオンさんは前に出る戦士だが、それ以外が全員魔法使い・・・・・・ってあれ!?クレアさんは両手両足に金色の光を纏ってものすごいスピードでレキオンさんと共に蝶の群れに突っ込んでいく。
「はっはぁ!!」
「あたぁ!!」
レキオンさんが何も無い所から取り出した柄の長い斧、バトルアクスは意匠を凝らした特別製らしい、全然抵抗らしい抵抗もなく無数の蝶がバラバラになっていく。クレアさんの拳を喰らった蝶はミルク色の体液を撒き散らし破裂し、触覚を片手で掴んだままで別の個体へと叩き付ける、相当な重さがあるのか叩き付けられた側の蝶は無残にも原形を留めない程に潰れ、バウンドもせずに舗装された道を捲り上げながら二匹の蝶は息絶えた。
(二人共強すぎじゃない?)
私の横で新たな魔法を紡ぎ出しているミ・エルさんもえ?え?って両目がはてなマークになっている。
良かった、私の感覚がおかしい訳じゃ無いみたい。私もそれなりに冒険者としては成らしてきたつもりだったけど、この世界でモンスターとまともに渡り合える気がしない。マイリン、レディオン・・・・・・私とんでもない世界に来てしまったかも知れない、帰りたいと思う気持ちもあるけど、寧ろ二人もこっちの世界に来てくれたらなぁ。
こっちの世界は色々・・・・・・そう色々素晴らしいのよ・・・・・・。
「あ・あの?ドゥールーシさん?」
「へっ!?」
「どうした?何を呆けて居る」
「はぁー、虫ってべちゃべちゃになるから嫌いなのよねー」
うわぁ・・・・・・現実逃避してた。しかもその間に敵性反応が無くなっている・・・・・・って元々レーダーには何も映らないのか。何もしないままで終わっちゃった・・・・・・。
「次は何処へ行く?」
「えっ?」
「リーダーでしょドゥールーシちゃん」
いつの間にそんな事に・・・・・・あっバイザーの画面にドゥールーシ部隊って名前が出た・・・・・・。
「んんぅ・・・・・・よ・よーし、じゃあ私達は市街地を外側からぐるぐる回って、順番に内側へ向けて掃討作戦だー!」
「「「おー!」」」
(ふふふ、中々心得て居るではないかこの娘)
「良し、では次へ向かうぞワシの背に乗れ!」
「わ・私は飛べますー」
「訓練になるから私は走ってくよー」
「ええっ!?」
うはっ!なんか流れ的に私も走る感じになるかと思ったら、レキオンさんに摘まみ上げられて肩に乗せられた・・・・・・。一際でっかいわぁ。高いたきゃぃ~~~!?
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突入部隊 エルドーラ・リー・コーン
(正直眠たくてしょうが無い。でも、ちゃんとしなきゃ・・・・・・ちゃんと・・・・・・。)
「こら!寝るな!寝てる場合じゃないだろ!」
立ったままで意識が遠のくエルドーラの両肩を掴み、ガクンガクンと身体を揺さぶるのは、お目付役としてエルドーラの側に置かれる事になった、エミヤン・ドロッセル。純デーモン種と呼ばれる長命種の新人銀河旅団員だ。
「でもぉ・・・・・・眠たいよ?」
「知らねーよ!起きろよ!もー!」
彼女がこうやって定期的にエルドーラを覚醒させなければ、あっと言う間に夢の世界へと落ちてしまう。エミヤンは面倒だとは思いながらも、主からの勅命とあっては疎かにすることも出来ず、市街地へと情報収集を行いながら、エルドーラの頭が船を濃き始める度にフルフェイスで覆われた頭を叩いたり、今の様に身体を揺さぶったりしながら辛うじて彼女を眠らせないでいた。
「あ・あの?」
「あ、ごめん。で警察署はあっちなんだっけ?」
隣にいるエルドーラをガクンガクンと揺らしながら首だけ情報提供者である現地の住民に向け、その視線は今だ辛うじて防衛線を維持している太陽系連合軍警察月圏本部へと向ける。
「あんた一人で逃げられる?」
「えーっと、大丈夫だと思いますこれでも一応冒険者ですので」
「そか、困ったことがあったら七十七番ドッグの銀河旅団を訪ねてよ、私の名前を出せば保護位して貰えると思うし、あ私エミヤン、エミヤン・ドロッセルね。ラピス警備部隊のエミヤンって言ったら分かると思うから」
「ありがとう、でもここから出られるの?」
「ラピスに居られたらそれだけで安全だよ。全部事が済んだら又出てくりゃ良いし」
「・・・・・・うんわかった、じゃあ気を付けて」
冒険者と別れたエミヤンはエルドーラを揺さぶるのを止め、背中をバシンと叩く。BMの金属がガンッと一際大きな音を立て、蹈鞴を踏むエルドーラは辛うじて持ち直し、意識を保っていた。
「あそこに行けば何か分かるかも知れませんねー」
「だと良いけどなー?ほら見て見ろよ、実弾使ってるぜ?」
「魔法使いはいないんでしょうかねぇ?」
「おっ、二人共戻ってきたか」
エルドーラも四人での部隊行動を行っており、エミヤン、そして先程まで周辺の偵察に向かっていた、純エルフ種のアヤカ・ムーン・トキカゼと人種とメロウ種のハーフヒューロウのサザナミ・イナセが空高い場所から降下し、軽く周囲へと風を撒き散らしながらそっと着陸した。
「眠っては居ないようね、その夢魔法はとっても面倒ね、今から中和するわ」
「ヘイヘイ、警察署の周りに蝶蝶の大群が押し寄せているぜ?」
「マジかー、まぁどっちにしても全部倒さなきゃだしなー」
「人間が集まっているのが分かるのかしらね、餌箱みたいに見えるんじゃない?」
「かもねー」
エルドーラに向かって魔法を向けるアヤカは夢魔法の力強い抵抗を押し退け、エルドーラを普通の覚醒状態へと導いた。サザナミはヘイヘイ、とリズムを取りながらも周囲へと目を向け、警察署の防衛部隊の状況をつぶさに確認している。
警察署の前では二十名程の警察官がバリケードを敷き、太陽系連合軍警察正式採用の量産型SWデュアルⅣムーンカスタムが三機、蝶蝶や芋虫と取っ組み合いの格闘選に縺れ込んでいる。
ーーーーーーーーーー
連合軍警察 ナオ・シルババオト上級警部
「小型の芋虫はバリケードで防ぐんだ!蝶蝶は羽を焼け!」
(何人死んだ?此処を抜かれたら避難している人達も巻き添えになる・・・・・・)
「警部!SWのエネルギーが持ちません!現場の実弾がもう・・・・・・」
(クソッ、政策の煽りを受けてエネルギー武器を失ったのがこんなにも決定的な実害を産むとは・・・・・・)
月の首都マッサマンは地球圏からの離脱を防ぐ為に、毎日夜中のブースター噴射を行っている。その為に使うエネルギーは都市全体に有るエネルギープラントから賄われているのだが、少しでもブースターへとエネルギーを回す為にそれ以外での無駄なエネルギー消費を禁止している。この政策の煽りを受け軍や警察でもマッサマン周辺でのエネルギー装備の使用が著しく制限され、SWが使用するエネルギーでさえ一日の補給は一回に限られている。
しかしそれが必要なことで有ることが分かっているマッサマンの民は、この政策に対して不満を持っていても次善の解決策を提案出来ない者達は何も言えないのだった。
プシュー
「!?」
報告があってから数秒と経っていないが三基のうちの一機、大型芋虫と取っ組み合いをしていたSWのエネルギーが底を突き、その重みで徐々に後ろへと傾いていく。
「はっ!退避!退避しろー!!」
SWの影から援護を行っていた警官部隊は蜘蛛の子を散らす様にその場を離れ、砂埃を巻き上げてデュアルが一機完全に行動を停止した。
(くそぅ、これ以上は持ちこたえられない・・・・・・?ズボンのポケットに何か入って・・・・・・)
ナオが腰に手を当て、尻餅をついた尻をさすっていると僅かにポケットの中に違和感を感じる。
ー困ったことがあったらこの紙を破ること
紙切れにはそう書かれていた。
仕事柄観察眼には自信があり、逆に何でもかんでも観察してしまう職業病とも考えられるその行動は、その紙切れの違和感を看破する。
(ずっとポケットに入っていた?なのに皺一つ無い。しかも重さを感じない・・・・・・)
ふとした拍子に飛んでいってしまいそうになるのを慌てて持ち直し、その言葉を咀嚼すると一路の望みを掛けてその紙を破る。
(破った・・・・・・けど?)
「ハーイ」
ナオが壮大な現象が起こることを考えながら、オーバーなアクションで紙を破り捨てた瞬間、真後ろから突如声を掛けられ全身に鳥肌が立つ。
「!!!!????」
「あ、ごめん、なんかびっくりした?銀河様から聞いてるけど・・・・・・ピンチ?」
驚きの余り萎縮してしまったポーズのまま、可能な限り大きく首を振り肯定の意を示すと、まぁまぁと宥めながらその女は何かを蝶蝶に向かって投擲し、蝶は肉片を撒き散らし大爆発した。
「!?」(えーっ!?)
声も出ない程の驚きは後ろから口を塞がれ、声にならずもごもごと顔面を握りつぶされるかと思う程の握力で抑え付けられ、注目を集めること無く事は成就した。
「あんまり大声を出したら周りに居る蝶蝶が群がってくるでしょ?ね?」
目元だけを出し顔の大半を覆う様に布を捲いている女性は、ナオの要請に応じてやって来たのだという。
「じゃあ私達は助かるんですか?」
「そうね、只時間が無いの。今私も忙しいからそこらの蝶蝶を始末して直ぐに別の所に行かなければならないのよ」
「じゃ・じゃぁ」
「今からちょっと離れた所に居るウチの部隊と貴方達は合流して、宇宙港へ走るのが最善かな?急いで中の人を連れ出した方が身の為よ?」
「分かった!おい!誰か直ぐに避難民を宇宙港へ連れ出すんだ!」
警官達へと指示を出した後ナオが振り返ると其処には既に誰も居らず、足下に青い輝きを放つナイフが置かれていた。
(これで戦えという事かしら?)
暴風が吹き荒れる様な轟音が鳴り響くと同時に周りを覆い尽くさんとしていた虫達が弾け飛び、一瞬の静けさが訪れる。
「ヘイヘイ!其処の刑事さん!ダッシュダッシュ!」
そんな声が聞こえてきたと思えば、ナオの後ろ、所内に避難していた人々が雪崩を打って飛び出し、連携した警察官達によって次々と宇宙港へと誘導されていく。
(ここから港まで徒歩で二十分はかかるけど大丈夫かしら?)
「この周辺の虫達は皆眠らせてあるから大丈夫ですよー。ほら貴方も一緒に避難避難」
「えっ?えぇ有り難う」
(何だかよく判らないけど信用しても良いのよね?)
警察署周辺に止められていた車両は全て破壊され、移動手段が限られているが、何とか警察署に詰めかけていた避難民約二百名と警察官達二十名は宇宙港へと避難することに成功したのだった。
ミ・エル 百六十八歳 天使種 銀河旅団医療部隊所属
類い稀なる補助魔法の才能を持った天使、知天使の一派に所属していたが、魔法の研究の為以外の考えは無く、ヴァルハランテの反乱の際にも国に残り何とか世界の消滅を防ごうと奔走していた。
しかしその努力が実ることは無く、世界の消滅を僅かに遅延させただけに終わってしまったのだが、その僅かな遅延が銀河旅団の避難・救助活動に貢献し、世界の消滅に巻き込まれた天使や巨人は一人も出なかった。
(2)
彼女は自らの意思でラピスへと乗り込むことを決意、世界の消滅に対抗する為の秘術を求め開発研究室へと配属を希望したが、魔法への理解が足りないことを理由に却下、涙を呑んで医療部隊へと配属される。
しかし彼女の得意分野は医療では無く飽く迄補助であるが故に、配属された部署で自分の力を発揮出来ないと医療部隊直属の上司へと直訴するも逆に、補助魔法で何をしたいのかという質問に答えられず今の部署で看護業務の見習いをしている。
ロペの意向により彼女の真の才能を開花させるべく、医療部隊へと配属されたのだが、誰もその事を伝えていないが為に本人のやる気は最底辺を維持、かなり腐っていたが月圏に入り人海戦術による作戦進行の為に突入部隊へと抜擢、今回の作戦で彼女の才能の開花が望まれている。
趣味は編み物好きな食べ物はバタークッキーをミルクで溶かした物。
彼女は幼い頃から他聞に漏れずバタークッキーが大好きだったのだが、知人の一人から悪戯に砂で固めて作ったクッキーもどきを喰わされてから、固形のクッキーを口に入れられなくなり、必ず液体で溶かして本物かどうかを確認してからでしか口に入れられなくなってしまった。しかし今ラピスのPX(売店)では多数のお菓子が販売されており、彼女がバタークッキーを卒業する日も近い。
エミヤン・ドロッセル 五百六十二歳 デーモン種 銀河旅団零番艦警備部隊所属
彼女は異世界からこの第三世界に召喚されたデーモン種の移民一世と呼ばれる、最初期に労働力としてこの世界にやって来た。それ以来数百年に亘り月圏の様々な労働力として、派遣業務に就いていたが一般労働業務に対して強い不満を持っており、後に冒険者へと転身、元々の高い身体能力を生かし、前線でパーティを守る盾の役割をこなすガーディアンとして様々なパーティを渡り歩き、ランクを上げてAランクまで上り詰めるが、人種以外がAランクで居る事が許せない冒険者のグループに謂われの無い罪を被せられ、月圏を去ることになった。が、それが彼女の転機となり、偶然宇宙港で見かけた銀河旅団員募集のポスター引っぺがし、その足で海王星宙域へと向かうラピスへと乗り込んだ。
(2)
トライアルで血を吐きながらも辛うじて合格し、そのまま適性を元に警備部隊へと配属、頼れるお姉さんとして周囲の新人を教育しつつラピスでの業務に就いていたが、ひょっとしてこれは以前の派遣と同じ事をしているのでは無いだろうか?と疑問を持つも、その業務は普通では考えられない程の機密に溢れ、機密の漏洩は即・死であると伝えられた瞬間、彼女の中で何かが弾け快感に打ち震える。
それからというもの、彼女は周りの警備部隊員をも巻き込み限界を超えたトレーニングを自らに科し、警備部隊全体のレベルアップに貢献したとして、雨宮から直々に指揮官専用のBMブラックを与えられる。
趣味はVRゲームスペースアーク2好きな食べ物は栄養補給用ゼリー飲料。
彼女はスペースアーク2に置いて最強の一角とされるクラン『猫耳保存委員会』の幹部であり重度の獣人スキー、自らのアバターも猫獣人を元にしたアバターを設定しており、VR空間に存在する猫をペットとして集めるロールプレイをしている。サービス開始当初からの最古参プレーヤーで、同じく最古参プレーヤーを多数擁するトップクラン『銀河研究会』とは犬猿の仲なのだが、同じ時期から始めたフレンドも数多く、プレイを始めてから百年程の付き合いとなる、アバター名魚肉ソーセージを始めとし多くの銀河旅団関係者から勧誘され、リアルの方で銀河旅団へと加入する切っ掛けとなった。
アヤカ・ムーン・トキカゼ エルフ種 八百五十歳 銀河旅団医療部隊所属
月に存在するトキカゼ氏族の末席に名を連ねるエルフの一人。元共和国軍SW部隊の隊長を務めた退役軍人、階級は中佐。
トキカゼ氏族は代々共和国の軍部に人員を送り込んできた名家で、共和国軍内の異種族排斥派を抑える急先鋒を務めていた、共和派の中核を担う集団であった。
彼女も多分に漏れず軍部へと送り込まれ、様々な軋轢の中軍務を遂行してきたが、近年起こった採掘戦争の煽りを受け、前線に出ていた彼女は大怪我を負い退役を余儀なくされる。
なお、彼女と前線で戦い、彼女を破ったのはAGフォース。当時共和国最強と謳われていた大型SWライファーンを駆り、首都陥落作戦を実行していたAGフォース擁する幸運艦隊と呼ばれる艦隊と一人で大立ち回りを繰り広げていたが、AGフォースとの戦闘中突如としてSWのOSにハッキングが掛かり、一時的に機能を停止している間にロペ・キャッシュマン専用ゲルン・ガウススーパーエースカスタムがその守りを突破、自爆攻撃を仕掛け停戦に至った。そして機能を停止している間に彼女はAGフォースからの集中砲火を受け、撃墜されることになった。
(2)
大怪我を負い生死の境を彷徨った彼女の元に、一通のメールが届く。
ー銀河旅団へ来られたしー
送り主の名前がロペ・キャッシュマンで有った事も有り、彼女は取る物も取らずに実家を飛び出し、銀河旅団へと合流するべく自らの所有する小型宇宙船を飛ばし、セレクションへと参加、その際にロペからナノマシン治療を施され、採掘戦争の際に失った右目と右足を再生された。
元々医療畑から軍部へと転向した彼女は医師として活動する事を嘆願、その意向を汲み取られ彼女は医療部隊へと配属されたが、高い戦闘能力をそのまま放置しておくつもりの無かった雨宮は、彼女を突入部隊付きの衛生兵へと振り分け、マッサマン攻略作戦へと参加するに至った。
趣味はポエム、好きな食べ物は温野菜全般。
彼女のポエムは遠い過去の時代から脈々と時代を経てアイドル達へと供給され続け、電波ソングの神と電子掲示板などで称えられ、長くアンダーグラウンドで賞賛され、崇拝の対象へと昇華されていた。
ペンネームは『月☆風』
サザナミ・イナセ 二十一歳 ウルテマヒューロウ 銀河旅団諜報部見習い
元ミュージシャン兼ジャーナリストの一般女性。特に戦闘能力は無く幼い頃からミュージシャンを目指しその腕を磨いてきたが、父親の伝でニュース配信専門業者に就職。ミュージシャンを続けながら冒険者を追うジャーナリストを続けていたが、そのジャーナリズムの矛先はやがて銀河旅団へと向かい、旅団員の募集をしていることを突き止めたサザナミは、潜入取材をするべく銀河旅団非戦闘員向けセレクションへと突貫、見事潜入に成功するがナノマシンにその行動を不審と判断され合格の一時間後には七番艦の研究室へと連行、肉体を再構成されウルテマヒューロウ化、改造が完全に終わった後雨宮から小一時間潜入目的や、これからの身の振り方などを問い詰められ号泣、助命を懇願するが元々命を取るつもりなど無い雨宮は、ダブルスパイとして元の会社に籍を置いたまま此方で銀河旅団の人間として活動するようにとの提案を受けこれを受諾、各地に散る諜報員達の様になるべく、訓練漬けの日々を送っていたが、人海戦術が必要なマッサマン攻略作戦において戦力としてデビュー、素早い動きと洞察眼を持ってパーティの斥候としての役割を担う。




